知らないうちに自由を制限している
私は、家に入ったとき、いつも鍵を「どこかに」置いてしまう。そして、出かけようとすると
「鍵がない、鍵がない」と大騒ぎする。
これは「注意」の問題。私の注意はいつも次のもの、次の未来に向かっている。
だから、所かまわず置けるスペースがあればどこでも鍵を置いてしまう。そして家を出るときになって、「鍵はどこかしら」と。
「でも、それほどひどいことじゃない」と私は考えていた。
さらに、鍵だけではなく、眼鏡もなくしてしまう。イヤホンも片方は見つかるけど、もう一方が見つからない。仕事の領収書なども。
このことを考えたとき、オフィスがとても家に近かったことをいいことに、いったん家を出た後に無くなったものを探しに二度も三度も家に帰る、ということが少なくなかったことに気がついた。
毎日、十分間、鍵を探すことは大したことじゃないと思っていたのである。
しかし、この何かを無くす、という「戦略(ストラテジー)*」を見直すことを試みた。そして、その後で、私は少し考えてみた。
一回十分間。一年間で三千六百五十分、約六十一時間。一日三回として、
「じゃあ、これまでにこの戦略をどのぐらいやってきたのだろうか」
もう二十五年はそうやっていた。二十五年間で約百九十日、鍵を探すだけで。ほかにも、眼鏡にイヤホン、領収書もある。
これからの二十五年を考えると、貴重な人生の「二年以上」それらを探していることになるとわかったとき、正直怖くなった。
もう、絶対に変えようというモチベーションになった。
もうひとつ。
では、この探すために使っていた「時間」を他のことに使っていたらどのくらいの価値に相当するのだろうか。
ここでは、その価値を測る物差しとして「自由」というものに置き換えてみる。
五十年間、常に遅れて電車を追いかけていることは、ほかに選択の余地がないことである。間に合おうとしているのだから、まったく自由がない。
あたふたしたことがなくなれば、たくさんの可能性のなかから選択するという自由が手に入る。
鍵に関して私は、三百八十日間ただただ鍵だけを探していて、ほかのことをする自由がなかったことになる。
「一回十分間だけなのに」
ここで私の注意はシフトした。私は、実は
「自分の自由な時間を使うことを制限している」
ここに気がついたことが私にとっては大きなターニングポイントだった。
では、次のステップは何かというと、家に戻ったときに鍵をどこに置くかということである。
家の壁に美しいフックがある。宝石がついているような、きらきらしたフックである。
帰ってきたときはそこに掛けて、出て行くときはそこから持っていく。
こうして、より楽しめるゲーム性を用いることによって、人々をより開くような形の選択へと招待していくことができる。
*「ストラテジー」・・・目標達成のための効果的な戦略の立て方
NLPの基本スキル。同じミスを何度も繰り返してしまう。これは、ミスを引き起こすような行動パターンが脳にプログラムされてしまっていることが原因と考えられる。その時に必要なのは、自分にとって望ましい結果を手に入れるため、ストラテジー(戦略)を見直すことである。
<例>いつも終了ミーティングに遅れてしまう
①時計を見る(Ve)→
②仕事を一区切りさせないと、という内面の声を聞く(Ai)→
③でもほかの仕事が忙しくて焦る(Ki)→
④時間がないというアラームが聞こえる(Ai)→
⑤現実逃避して急ぎでない仕事に手を付けてしまう(Ke)→
⑥締め切りギリギリになって書類の作成に取りかかる(Ke)→
⑦時間に遅れてしまう(Ki)
↓ ストラテジーを修正
③「でもほかの仕事が忙しくて焦る(Ki)」
⇒「もう一度仕事の全体像を見つめなおす(Ve)」
⑤「現実逃避して急ぎでない仕事に手を付けてしまう(Ke)」
⇒「時計を見直して作業スケジュールを見積もる(Ve)」
◆参考文献
1)『クリスティーナ・ホール博士の言葉を変えると、人生が変わる NLPの言葉の使い方』2009~信念/観念と現実より
・クリスティーナ・ホール博士(Christina Hall Ph.D)
1978年、NLP開発者であるリチャード・バンドラー氏らによって設立された世界で最も歴史の長いNLP協会、The Society of NLPの現理事長。心理学・神経意味論言語学の博士号保持。
「究極の言葉の魔術師であり、NLPの発展に終わりがないことを証明し続ける人。NLPについて彼女に教えたことより、彼女から教わったことの方が多いと言えるだろう」By リチャード・バンドラー(NLP開発者)
2)『「なりたい自分」を手に入れる スッキリわかる!今日から使えるNLP』鈴木信市 2018
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