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366日紡ぐ【夜のうた】

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2023年8月の記事一覧

366日紡ぐ【夜のうた】180日目 8月1日「夜に眠る風」

366日紡ぐ【夜のうた】180日目 8月1日「夜に眠る風」

踏み出す足が風になって
どこまでも飛んでゆける
はじまりの朝の流れに乗って
休息の夜まで飛んでゆけ

君の足は風になれる
どこまでもどこまでも

夜に眠る風に

366日紡ぐ【夜のうた】181日目 8月2日「裸足」

366日紡ぐ【夜のうた】181日目 8月2日「裸足」

夜の芝生の上に立ち
誰もいない空を仰ぎ
星だけが話している
どうしようもなく心
満たされる息継ぎで
君がくるのを待って

366日紡ぐ【夜のうた】183日目 8月4日「内側」

366日紡ぐ【夜のうた】183日目 8月4日「内側」

日に当たるから
輝くのではなく
きっと夜でも
凛々しく逞しく
生きているのだろうな
そう思えるような
姿でありたい
命でありたい

366日紡ぐ【夜のうた】184日目 8月5日「ひとつ」

366日紡ぐ【夜のうた】184日目 8月5日「ひとつ」

自分だけが生きてるんじゃない
だけれど泣きたくなる夜に
自分を守らないでどうするんだ
月も星もあなたも
夜の中ではひとつ
誰もがそうなんだから
そのひとつを自分でしか守れないとしたら
その時他人を優先する心はいるのかい

366日紡ぐ【夜のうた】185日目 8月6日「喪服」

366日紡ぐ【夜のうた】185日目 8月6日「喪服」

喪服の黒には
夜が隠れていて
みんな夜になって
亡くなった人を天に帰そうとしている

星になれ
そしてまた
出会えるように

366日紡ぐ【夜のうた】186日目 8月7日「あなただけの」

366日紡ぐ【夜のうた】186日目 8月7日「あなただけの」

きっとそれはもう夜ではなくて
あなただけの世界だ
絵の具でもない
筆でもないもので
描いていくあなたの

星も月もあなたの心の中で
生まれたひとつだけの記憶

夜みたいにあなたの瞳に映る
あなたにしか見えない世界

366日紡ぐ【夜のうた】187日目 8月8日「幽霊」

366日紡ぐ【夜のうた】187日目 8月8日「幽霊」

夜を食べても食べても
一日の終わりにまた現れる
もしかして僕は幽霊で
君を食べたつもりで
ただ通り過ぎているだけなのかい
なぁ なぁ

366日紡ぐ【夜のうた】188日目 8月9日「靴紐」

366日紡ぐ【夜のうた】188日目 8月9日「靴紐」

夜を靴紐にして結ぶと
夜に迷子にならないんだって
そういって不思議な靴紐を結んだ子供が
星のような光に導かれていく
きっとあれは 星の

366日紡ぐ【夜のうた】189日目 8月10日「LED」

366日紡ぐ【夜のうた】189日目 8月10日「LED」

もうすぐ永遠の眠りにつきそうな祖母が
「星、星が見える」
と嬉しそうな顔の視線の先には
たくさんのLEDライト

「そうだね。星だね」
優しく寂しそうな声で答える
現実を変えるのは
真摯なやさしさであって

366日紡ぐ【夜のうた】192日目 8月13日「気分」

366日紡ぐ【夜のうた】192日目 8月13日「気分」

瞳に夜を飼っているみたいな
あなたを目の前にして
珈琲を飲んでいると
私が何だか夜になったような
気分になるのです

月は腕時計
星はアイシャドウ

366日紡ぐ【夜のうた】193日目 8月14日「真昼」

366日紡ぐ【夜のうた】193日目 8月14日「真昼」

昼寝をして夢を見た
夜に寝ているのに夜空を見ている夢だ
不思議だけれど綺麗だった
幾千の星が見えて月が笑っていた
目が覚めたらあたりは明るく
異世界に行っていたのかと思うほど
世界はこんなにも突然に
僕らにいたずらをする