物語「忘れても忘れないもの」
この猫の前世は本だった。
何でもない朝の日にコーヒーを入れて本を読む。
それが至高であると彼は知っていた。
だがそんな彼の日常を邪魔をする愛らしい小さな命がいる。
本を読んでいるとその本の上に乗ろうとするかわいらしい猫が一匹。
ノルウェージャンフォレストキャットという上品な長毛種だ。
その猫は小さな小さな手を彼が持っている本の上に乗せてぐっと押す。
彼はその行為に毎回困らされている。
構ってほしいのかと思って構ったり、ご飯が欲しいのかと思ってご飯をあげたりするのだけれどダメ