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アイタタの記録

齢30を目前にして、人生初の骨折をした。

よく聞く「痛くて痛くて眠れない」とか、「3倍くらいに腫れ上がる」とかそういうのじゃなくて、何かにつけて、控えめながらしっかりと主張してくる骨折だった。

***

整形外科へ行った。

3週間も前に左手を突き指したのが、まだ痛む。
第二間接の節がポッコリと盛り上がったままで歪だ。
事務仕事。家事。お風呂。何かにつけてじんわり痛むんで、とうとうイライラしてきて、原因をはっきりさせようじゃないかと病院に足を運んだ。

痛みを訴える間もなく、先生と助手さんがテキパキと診てくれる。痛む場所を触診し、ポージングをばっちり指示してサクッとレントゲン撮影。出来上がった画像を見てすぐ診断が下る。剥離骨折とのことだった。

「骨折ぅ・・・?」

普通にしていたら全然なんともないくらいなのに、急にズクンズクンと疼く痛みを感じる。気のせいかしら、血の気も引いてきた。
骨折という単語ひとつ聞いただけで血の気が引いてきちゃうなんて、私もカワイイやつである。

病状はしかし、運がよく大事ない状態で治まっているのだそう。
けれども完治ではない。不用意に指を延ばすと、くっつきかけた骨が筋に引っ張られてペロンとはがれてしまう可能性があるので、ちょっこし曲げたまま、固定する必要があった。
お湯で変幻自在に形を変える素材で、やんわりと指の位置を定めてもらった。
先生のムチムチした手が、お湯で柔らかくなった素材を整えるたび私の手にもふれて、ちょっとニッコリしてしまった。
「痛かったでしょう」
そう労わってくださった先生と、同様に労わってくれた助手のお兄さんに丁寧にお礼を言って病院を出る。

人生初の骨折。
激しい痛みだけが、骨折じゃないんだぁ…。
急に夏めいた日差しを避けるために日傘を広げ、帰路についた。

***
ちなみに、突き指をした原因は、キャッチボール。
某流行り病で外出できず鬱憤がたまったので思い付きでやった遊びでこんなことに。
まるで、子の運動会で張りきったあげくに怪我をするお父ちゃんである。
慣れない運動を、足りない装備でやるもんじゃない。人生は教訓だらけ。
ここまでドンクサいやつは中々いないでしょうが、同様の怪我人が増えないとも限らない。
みなさま、体を動かすときはどうぞお気をつけて。


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