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(最新)モスクワで行われたロシア政府によるウクライナ軍事侵攻に関する観衆動員について。

ロシア政府が2014年にウクライナ領クリミアを併合すると一方的に宣言してからちょうど8年目となる3月18日、モスクワのルジニキー・スタジアムとその周囲に主催側発表で合計20万人の観衆が動員され、ロシアを代表する著名歌手オレグ・ガズマノフ、ポリーナ・ガガーリナが登壇して政府主催によるラリーが行われた。

その主プログラムとして、ロシア大統領が登壇し、併合後のインフラ改善事業などでクリミアが発展したと強調の後、ウクライナへの軍事侵攻の理由について、ネオナチにより東ウクライナ・ドンバスの住民に対するジェノサイドが行われていた、それを救うための行動である、との説明が行われた。

そのうえで、このような友人のために心を捧げること以上の愛はない、そのように聖書にうたわれている、と述べた。
(ロシアの現政権は、ロシア正教会との結びつきを強化してきており、2008年に現在のキリル総司教(在モスクワ)が正教会の実権を握ってからは、ロシア連邦のイデオロギー的な後ろ盾は、かつての共産主義から実質的にロシア正教に移行している。キリル総司教がロシアの現政権による今回のウクライナへの軍事侵攻を支持していることを知っておく必要がある。)

また、軍事侵攻で戦っている人々は互いに肩を寄せ合い銃弾からお互いを守り合っているとも述べた。(この説明は、ウクライナでロシア側が非常に大きな兵員の損失を出している状況と関連していると思われる)。

今回のロシア大統領の演説を聞いてわかることは、ウクライナ軍事侵攻の目的がロシアの現体制の維持にあり、したがって、ロシア側が停戦条件として要求しているウクライナの完全な中立化、および、ドンバスの地位についてはロシアの意向を反映させること、に関しては譲歩する考えがないと思われることだ。

ロシアは、目的達成のためには手段を択ばないと思われることから、形勢を挽回させるための化学兵器使用などの非人道的手段への傾倒、あるいはチェチェン進攻時の時のようにロシア国内で偽旗工作を行い、それを言いがかりにウクライナでの無差別的な攻撃をエスカレートさせるなどが強く懸念される(チェチェン侵攻時にロシア連邦保安庁FSBは、モスクワなどロシア国内3都市で集合住宅の爆破を自作自演し、それをチェチェン独立派のテロと言いがかりをつけ、ロシア軍がチェチェン首都グロスヌイを瓦礫の山にする無差別攻撃を行なった)。

(Text written by Kimihiko Adachi)

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