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フランス大統領選挙: La France Insoumise(LFI)、決選投票における投票行動への参考指標について。

 4月17日はイースターの日曜日のため、マクロン陣営、ル・ペン陣営とも遊説は一切行わず、両候補ともフランス全土に倣い終日休息日とした。

 第1回投票で3位につけた急進左派メランション氏が率いる政党La France Insoumise(LFI)はこの日、メランション支持者が来たる4月24日の決選投票にどのように臨むべきかの参考指標に供するために、第1回投票でメランション氏に投票した有権者の協力を得てヒアリングした結果を発表した。それによると、全体のヒアリング母数215,292人のうち、37.65%が決選投票で白票を投じると回答、マクロン氏に投票するとしたのは33.4%、28.96%が棄権すると回答した。また、この結果について、同党所属下院議員コケレル氏がフランス公共放送局Radio France 及び 民放ラジオ局Europe 1 の取材に応じ、メランション氏が支持者に対し決選投票においてル・ペン氏に投票しないように呼びかけを行ったことに関して支持者の間で反対意見が多数あり、くすぶっていることを認めている。

 今回LFIが発表した内容では、メランション氏の呼びかけに従い、ル・ペン氏という選択肢はあらかじめ除外されているので、決選投票でル・ペン氏への投票を考えている層は、このヒアリングへの参加そのものを断っているか、あるいは、白票を投じるか棄権の数のなかに含まれているのだろう。

 コケレル氏はRadio France 及び Europe 1 の取材に対して、メランション支持者に対して、今回の決選投票では特定の候補へ投票するようにはガイダンス(une consigne)は行わない、しかし、メランション氏からあったように、戦略的な呼びかけとしてル・ペン氏へは投票しないようにと呼びかける。そのうえで、メランション氏支持者には今回のヒアリング結果を決選投票での投票行動としての参考指標(une indication)としてとらえてもらいたい、と説明をした。

 調査会社イプソスが17日に発表した並行して実施された聞き取り調査の結果では、第1回投票でメランション氏に投票した有権者のうち、決選投票では33%がマクロン氏へ、16%がル・ペン氏へ投票すると回答、そして、残りの50%超はイプソスへの回答そのものを拒否しており、メランション氏支持者の間で、決選投票における投票行動についてかなり意見が割れていることがうかがえる。

 今回、LFIがメランション支持者に対して、決選投票においてマクロン氏への投票への呼びかけを行わない決断をしたのは、第1回投票で3位に終わったもののメランション陣営にとりかなりの手ごたえがあったからであろう。LFIは、あえてメランション支持者への決選投票投票先の指示を避け、マクロン氏およびル・ペン氏双方と距離をおくことで、大統領選挙後6月に行われるフランス議会選挙の方に支持者の勢いをぶつける戦略をとることにしたのだろう、その様に筆者には思われる。

■参考文献: Résultat de la consultation pour le second tour de l'élection présidentielle, Mélenchon 2022, 17 AVRIL 2022

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(Text written by Kimihiko Adachi)

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