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フランス大統領選挙第1回投票結果について(2)

 4月10日に行われたフランス大統領選挙第1回投票結果を踏まえて調査会社イプソスが出した年代別の投票行動のデータによると、18歳~24歳の有権者は、31%が急進左派候補メランション氏、26%がル・ペン氏、20%がマクロン氏、8%が極右候補ゼムール氏に投票している。35歳~49歳では、28%がル・ペン氏、24%がマクロン氏、22%がメランション氏、4%がゼムール氏に、そして、70歳以上では、41%がマクロン氏、13%がル・ペン氏、9%がメランション氏、9%がゼムール氏に投票している。

 この結果をみると、若年層~中年層の有権者の間では、生活をとりまく経済問題への対策を重点的に打ち出したメランション氏とル・ペン氏への支持が広がっていることがわかる。金持ちの代表のイメージがついてまわるマクロン氏を積極的に支持している層は、大国として経済的にも豊かだった古き良き時代のフランスの記憶がある年齢層が中心だ。有権者の意識の根本にあるのが経済問題なので、第1回投票でメランション氏を支持した層は、4月24日の決選投票ではマクロン氏への投票を避け、棄権するか、あるいはメランション氏と同様に経済問題への対策を重点的に打ち出すル・ペン氏への支持に流れるであろう。また、第1回投票でゼムール氏を支持した層もル・ペン氏への支持に流れるであろうことは容易に想像できる。

 調査会社IFOPによる最新予測では、決選投票でマクロン氏が52.5%を得票し、ル・ペン氏の47.5%を下し僅差で勝利するとしているが、予断を許さない。決戦投票に向けて、マクロン氏が、フランス国民のためにどれだけ効果的な経済対策を打ち出せるか、よく見ていく必要がある。

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(Text written by Kimihiko Adachi)

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