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「貧乏ゆすりと言わないで」21.IPG(刺激発生装置)埋め込み術前日と当日

頭部の手術から一週間経った。

(術後の写真が投稿されていましたが創作大賞応募のため無料記事となり
写真はいったん削除させていただきます。)


いよいよ、IPG(刺激発生装置)埋め込み術が
明日となった日
看護師が病室に来て          
「明日の手術は喜美さんの前にもう一人、
同じ手術の方がいるので、
その方が終わり次第スタートになります。
今の予定ですと12時半から13時ごろ始まりで
終わりは15時から15時半くらいです。
薬はいつも通りに服用してください。」
と説明があった


今回の手術は全身麻酔なので、
ちょっと気が楽だ
明日手術立会いに来てくれるのは
長女、環奈の予定で
手術の終わり時間をLINEで連絡して
その日は心穏やかに眠りについた

IPG埋め込み術当日

頭部の手術の時と同じ様に
術着と下着そして
静脈血栓症予防のための弾性ストッキングを履いて
「いざ出陣!」

この日は車いすで手術室に向かった

名前と患者番号の確認が何度かあり
執刀医師に
「明日私の誕生日なので、上手に縫ってくださいね~。」               と冗談を言いながら手術台に上がった。

手術台に横たわってからすぐに点滴となり、
眠気が来て、起きた時には手術終了となっていた


手術後確認をすると、
右胸にドラえもんのポケットのようなものが出来て
その中に「充電式の刺激発生装置」が入っていた。

【写真】


一瞬で終わったような感覚があり
全身麻酔のすごさを実感した
ただ、口の中に挿管をしたため
喉の奥が焼けたようにひりひりしていて痛かった


[写真】

予定より早く手術が済んだので、
今日来るはずの環奈がなかなか来なかった
環奈が到着するまで
喜美はヤキモキしていた

手術結果の説明する執刀医も
時間が気になっていたのか
看護師が何度か病室まで見に来たほどだ

ようやく環奈が到着して
執刀医との話が終わり
病室に顔を見せてくれた時には陽もとっぷり暮れていた

環奈は喜美の一人娘だ 

余談だが、
環奈は喜美のお腹にいる時
「逆子」だったので
普通なら頭部から生まれて来るところを
自然分娩で臀部から生まれて来た
そして、喜美のお腹の中にいたころの記憶を
二歳ごろまで覚えていたのだった

「せっかく気持ちよく寝ていたのに、
急にむぎゅっと押されて
暗くて狭いところを通って来たんだよ。
そうしたらママに逢えたんだ。」
と、幼いころ話してくれていた。

喜美は環奈とは母と娘と言う関係だけでなく、
出産と言う壁を乗り越えた
同士のように感じていたから
入院生活でたまった辛かったことや
哀しかったことを話して、
この「体内記憶の話」もすると
「ママ、またその話?本当に好きだよね。」
と言われた。
それでも、
「だって環奈はミラクルベイビーだもの。
何度だって話すわよ。」
と喜美は少し目頭が熱くなるのを感じながら
答えた。
そして、笑いながら
喜美の誕生日のために買ってきてくれた 
好物のバームクーヘンを一緒に食べた
小さな幸せに感謝した
一生に一度の病室での誕生会だった



Boston社製 充電式刺激発生装置の充電池とリモコン

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