"PROJECT IM@S 2nd VISION"を振り返る⑭(終) 総括と3.0 VISIONへ向けて

本シリーズを締めくくるにあたり、2nd VISIONの総括と、3.0 VISIONの展望を述べていきたい。

2nd VISION 総括

2nd VISIONの展開をざっくりまとめた。

アイマスのゲーム展開は、早い段階で家庭用からソーシャルゲームへと主場が移っていった。とりわけ2015年のスターライトステージ(デレステ)は空前の大ヒットとなり、この作品をきっかけにアイマスは大いに盛り上がることとなった。
アニメでは、2011年放送のアニマスが9・18から沈みに沈んだコンテンツを復活させた。この成功が無ければ後のデレステのヒットも、他のブランドの登場も無かったのかと思うと大変な功績である。
2nd VISIONの終盤には5ブランド合同での展開が積極的に推され、MOIW2023では全てのブランドが等しくアイマスであることを改めて再認識できたライブであった。

各ブランドの展開~765AS

この14年間を唯一始動から完結まで駆け抜けた765AS。アニマス以降はこれまで以上の盛り上がりを見せ、7thでは念願のアリーナライブを実現させた。ワンフォーオールで初の"13人"全員のプロデュースが叶ったこと、アニメでは劇場版にライブは10周年にドーム公演を実現するまでに至った。
一方、10周年以降の765ASは単独展開が激減。10th以降で開催された単独ライブはたったの2回。様々な事情があることは理解できるが、やはり寂しさを感じずにはいられない頻度である。
後続ブランドがソシャゲを主場とする中、765AS単独としては家庭用を軸に展開してきたが、プラチナスターズの不評が痛く、スターリットシーズンこそ出たものの"単独"のゲームは2017年のステラステージを最後に発売されていない。近年は事実上ミリオンと一体化している現状だが、それでもミリオンで活躍の場が設けられているのは有難い。
今日では生身でなくてもMRライブなど「アイドル自身」がライブを行うことが可能となっている。今年もミリオンやSideMがMRライブを開催しているが、765ASとしても今後積極的にこの手のイベントを開催して欲しいところだ。

各ブランドの展開~シンデレラ

アニマス放送中の2011年に登場したシンデレラ。最初はコンプガチャの問題など色々あったが、二次創作などを中心に徐々に支持を拡大。先述のデレステで爆発的なヒットを遂げた。デレステの名前がアイマスのネームバリューをも上回る勢いで、2016年前後のシンデレラはアニメ、ゲーム、ライブ共々絶頂期を迎えていた。
また、総選挙でアイドル達を応援するシステムに、毎年新たにボイスが実装される新鮮さなど、長く楽しめる要素が多かった。所謂ポチポチゲーと呼ばれるゲームが10年以上続いたのも、多くのプロデューサーによる評価があってこそのものだろう。
しかしながら、10年経ってもなお半分近くのアイドル達にはボイスが実装されていない。シンデレラの長年の課題と呼んでいいが、10年以上楽曲が貰えているアイドルがいる一方で、リリース当初からプロデュースできたアイドル達にもボイス未実装のアイドルがいる。果たして、190名全員にボイスが付与される日は来るのか…?

各ブランドの展開~ミリオン

当初は765プロが50名となった世界線での展開だったが、ミリシタの登場以降は正式に765プロの後輩ブランドとしての地位を確立した。
765ASの往年の名曲をゲームやライブに使用でき、実質的に2ブランド分の財産があるのは他にない強みである。また、ミリオンスターズ39名と大所帯ながら誰もが等しく登場の機会があり、楽曲面でもユニット制ではないため常に新しい組み合わせで登場する。
ミリオンに関しては他ブランドの影に埋もれがち、という評価がなされることがある。それでも4thライブで武道館ライブを開催できたことは、ブランドとしての悲願でもあるし、他が凄すぎるだけ、と思えばそこまで悲観することはないだろう。
いよいよアニメの放送が間近に迫ってきた中、10年越しの全盛期到来…となるか、今後に注目である。

各ブランドの展開~SideM

アイマス初のユニット制で展開する作品となった。男性アイドルを主体としていることもあり、他のアイマスとは一線を画す展開も多い。従来のアイマスでは見られなかった曲調や、ライブイベントにおける男性ならではのパフォーマンスは魅力的で、それがMOIW2023でも良いスパイスとして機能したことと思う。
2017年にはアニメが放送された。「Reason!!」は改めてSideMのアイマスらしさを表現する一曲であるとともに、MOIW2023の765ASでのカバーは非常に大きな意味合いを持った披露となった。
ゲーム面では「エムステ」がリリースも奮わなかった。一方で文字通りの再スタートを切った「サイスタ」は新たにC.FIRSTを迎え、アニメPV等制作陣の気合いが非常に伝わるゲームと進化した。
2nd VISIONではそれでよかった…のだが、再スタートへ気持ちを新たにしたはずの「サイスタ」がサービス終了、単独のゲーム展開が消滅してしまった。"ポータル"として誕生日コミュ等は残るが、やはりゲームの存在は大きい。今後はこれまで以上に積極的な展開を期待する他ない。

各ブランドの展開~シャニマス

14年間にわたった2nd VISIONの中で、シャニマスの稼働期間は5年。リリース当初のフレッシュさも今は昔、現在はアイマス屈指の異端児としてその存在を大きくしている。
シャニマスは物語性を非常に重視しており、ゲームやライブでも十二分に"物語"を楽しむことができる作品だ。今後配信が予定されている「シャニソン」も、単なるリズムゲームに留まらず、しっかりとしたアイドルプロデュースゲームという印象である。
この5年の中半分以上をコロナ禍とともに歩んできたが、そんなものを吹き飛ばすが如く、2021年、2022年と怒涛のライブラッシュだった。ライブ面では現在もなお一番活発なブランドであろう。
ライブでは他ブランドと比較しても年齢層が若く、直近でも【推しの子】コラボが盛大に行われるなど、アイマスへの入り口的役割にも期待ができる。アニメもゲームもこれからということで、6年目だがまだまだ伸びしろを予感させるコンテンツである。

3.0 VISIONへ

現在の展開

3.0 VISIONが始まって早くも半年が経とうとしている。とはいえ、各ブランドのゲーム、ライブ展開はこれまでと大きくは変わらず、3.0 VISION感が湧いてくるのはもう少し先になりそうである。
各ブランドではシンデレラU149、ミリオン、シャニマスがアニメ放送。1年で3作品もアニメ化されるなど今年はまさにアニメイヤー。ミリオンとシャニマスはテレビ放送に先駆けて劇場公開と新たな取り組みも見られる。
ライブ面では、先述のようにミリオンとSideMではMRライブの開催など、3.0 VISIONではさらにバーチャルとリアルの融合を楽しむことができそうだ。

今後の展開

その他、ここまでの大きなトピックとしては「ツアマス」「ヴイアライヴ」「異次元フェス」といったところだろう。
「ツアマス」はアケマス以来のアーケードゲームということで、原点回帰ともとれる作品である。私もロケテストに参加したが、"カード"の懐かしさと、ブランド問わず一緒に踊らせる新鮮さに胸が躍った。スタマスからさらにプロデュース要素を増やした感じで、まさにプロデュース体験に相応しい一作ではなかろうか。
「ヴイアライヴ」は今年の4月に本格始動。アイドル候補生としてライバー活動を行い、支持が得られなかったら活動終了というコンセプトは賛否が分かれた。6月末の中間報告では具体的な数字も公開されたが、デビュー云々以上にそもそも採算を取れているのか不安になる数字である。支持率ではなく、大人の事情で切られそうな気がするが、本当に大丈夫だろうか…。
最後に唐突に発表された「異次元フェス」も触れたい。これはあくまで"第一弾"がアイマスというだけで第二弾以降でアイマスが関与するかは微妙であるが、ともあれ他IPとガッツリコラボライブを開催するというのは初めての試みだろう。ラブライブ!シリーズはお馴染みのAqours、虹ヶ咲に加え、新鋭のLiella!に蓮ノ空と楽しみなメンバーが揃っている。どんな驚きが待っているのか、早くも12月が楽しみである。

おわりに

最後に、18周年生配信で新規ブランドの登場が予告された。シャニマスリリースから5年、シャニマスも先輩ブランドの立ち位置になることの感慨深さと、3.0 VISIONの新たな風としてどのような形になるのか今から楽しみである。
当然ながら、既存5ブランドもこれまで以上に大事にして欲しい。今回の生配信でも新ブランド投入の発表にはニコ生、YouTubeともに厳しいコメントに溢れていた。シャニマスの時は歓迎されていた新ブランド発表とは真逆で、やはりまずは既存ブランドをしっかりしてくれ、という声が大きいが故の批判だろう。私も同意見である。
しかしながら、さらなる長期展開には新風も必要。"6ブランド目"の登場が、アイマス全体にとっても良い方向に作用することを切に願う。

…という訳で、2nd VISIONは本当に色々なことが起きた。今の段階ではまだまだ2nd VISIONの延長感が拭えないが、新ブランドの登場をはじめ、様々な新規展開が生まれる中で新時代を実感することになるだろう。
来る20周年へ向け、アイマスはどんな形で成長していくのかを楽しみにしつつ、本シリーズを締めたいと思う。

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