ここに置き去りにされたら終わり
少し前に、『ココシリ』(2004年)という中国の映画を観ました。
《ストーリー》
舞台はチベット。貴重なチベットカモシカの毛皮の密猟者と、地元の有志パトロール隊たちの戦いと苦難の物語。実話を元にしている。
《個人的に衝撃的だったところ》
ココシリというのは、中国語では「可可西里」と書くそうです。中国の青海省に実在する地区です。現在は自然保護区に指定され、さらに世界自然遺産にも登録されているのだとか。
ココシリは、とにかく広い!!!
そして、山と高原の迫力が恐いくらいの大きさです。日本では考えられないほどの広さと大きさに圧倒されない人はいないでしょう。
「青藏鉄道」という、2006年に開通したチベットまで続く鉄道がありますが、ココシリはその通過駅の一つになっているそうです。2006年時点では、ゴルムド~ラサ間を繋ぐ、全長1,142km(北海道から茨城県くらいの距離)でしたが、2014年には西のシガツェ、さらには今後はネパール国境まで延長する計画もあるそうです。
しかし、この映画『ココシリ』が舞台になった時代は鉄道もまだちゃんと通っていない時代です。映画のモデルになったジェサン・ソナンダジェ(索南達傑)というパトロール隊員が、密猟者との戦いの中で命を落とした事件があったそうですが、これが1990年代のことです。映画を観るかぎりでは、その頃は大した交通網はなかった様子です。
大した交通網もなく、ただ広いだけ。
総面積は、45000平方㎞あり、平均標高は4600mです。
日本の九州の面積が36,780平方㎞ですから、それより大きい。さらに、富士山の標高は3776mですから、そこよりも高い標高のところというわけです。
生活している人はほとんどいません。いるのは、カモシカくらい。しかし、富士山よりも高い標高の場所へ密猟に行くなんて、行くほうも命がけです。
砂漠と同じで、目印になるものがたいしてないので、迷ったり、車のエンジンが切れたりしたらそこで死を待つのみの世界です。
映画のなかで、密猟者たちが途中で置き去りにされ、「運がよければ生き延びられるだろう、まあ頑張れ」と言われて車から下ろされるシーンがあります。
あれが自分だったら、と考えるだけで恐ろしいです。ほぼお店も人もいない九州並みの広さの場所へ置き去りにされるのですから。
捕まって、町まで連れていかれたほうがまだましなのではないかと思わずにはいられませんでした。
イケメンもカンフーも何もないけれど、ココシリの大自然にただただ圧倒され、恐れおののくだけの映画です。
しかし、不思議なことに、見終わったあとはちょっとココシリに行ってみたいかも、という気持ちになります。
私はもし行くなら、鉄道にのって優雅に窓から眺めるくらいにしたいです。
参考にしたのはこちら。