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クロアチア、人との触れ合いが旅の大切な一コマになった

私がクロアチアを訪れたのは2018年11月、半年ほど前のこと。
観光都市・ドゥブロブニクと、首都・ザグレブを旅行した。

「魔女の宅急便」の舞台としても知られるドゥブロブニクは、期待をはるかに上回る美しさ。
屋根のオレンジ、壁の白、海と空の青…そのコントラストがなんとも言えない。今まで見た風景の中で間違いなく指折り!

けれども私の印象に最も強く残ったのはこれではなく。
ザグレブで暮らすクロアチアの人々との、ささやかなやり取りだった。

エピソード① 通りすがりの学生

ザグレブにはトラムが走っている。丸っこくて可愛いトラム。

主要な所は大体走っているので、現地の人々の移動にはもちろんのこと、観光の足としても欠かせない。

ドゥブロブニク観光を終えてザグレブに到着した日、私と友人は夕飯を食べに行こうと、ホテルから中心街へトラムで移動することに。
しかし、おっと。ザグレブのトラム路線図、東京の地下鉄並みに複雑じゃないか…?路線も多いし、沢山交差している。

おまけにクロアチア語の駅名は頭になかなか入ってこない。
なんとかして駅のある交差点に来たはずなのに、同じ交差点に複数の駅が存在していてどこに行ったらいいかわからないぞ?
あれ、切符売り場も閉まってない?

到着早々路線図を片手に彷徨ってしまった私たちに、一人の男子学生が「May I help you?」と声を掛けてきた。
私たちは恥ずかしながらその時はクロアチア人の親切さを知らなかったので、「お金とられる!」と思い込み、一旦は「No,thank you!」と断ってしまった。彼は完全に善意だったのに。

しかし途方に暮れた私たちは、人に頼らずして目的地にたどり着くのは無理そうだと思い、結局再度その学生に声を掛けた。
男子学生は快く、切符の買い方と目的地に行くためのトラムの路線、乗り換える駅名を説明してくれた。救われた。

エピソード② トラムの運転手

少しトラムにも慣れた時のこと。

車内で切符を打刻した後、友人がそわそわし始めた。
どうやら中学生くらいの女の子にカバンを開けられそうになっていたらしい。
(クロアチアは基本的に治安は良いと感じたけれど、スリもあることにはあるみたい。今回私たちが会った少女達は貧しさ故に盗む、というよりも学生不良グループのいたずらに見えた。)

友人は咄嗟にカバンを押さえてスリを阻止したけれども、
次の駅で降りて念のために貴重品が盗まれていないか確認した。

そしたらなかなかトラムが出発しない。
運転手はずっとこっちを見ている。
なんで?私たちお金払ってるよ?と運転手に打刻済みチケットを見せるも、
止まっている目的はそうじゃないらしい。
彼は自分の財布を胸ポケットから出すなりこっちに向かって振った。
「財布あった?」と私たちにジェスチャーしてくれたのだ。

友人が財布の無事を確認して運転手に見せると、
彼は親指を立てて微笑み、「ちゃんと閉まっとけよ?」と言うかのように財布を胸ポケットに閉まってポンポンと叩いた。そしてトラムは発車した。

そこでもし財布が見つからなかったら、犯人から取り返す術を失わないように、彼は発車を待ってくれていたんだ。
トラムは日本の電車のように運転席と乗客の乗るスペースは壁で仕切られている。
そのため彼は車内での私たちの困惑には気がつかなかったはずで、
降りてからの私たちの様子だけを見てスリかもしれないと止まってくれた。

ここでもまた、彼の親切に心から感謝した。

エピソード③ スーパーで出会った漁師のおじさん

ザグレブ滞在最後の夜、スーパー「KONZUM」に寄ってお土産を選んだ。
KONZUMはクロアチアではあちこちで見かけるスーパー。イオンみたいな。
私はチョコやクッキー、紅茶をカゴに入れてレジに並ぶ。

そしたら、一列前に並んでいた白髪の男性が私に声をかけてきた。
「日本人?日本は素晴らしいところだよね、僕は東京と大阪、千葉を知ってるよ!クロアチアではどの都市を周ったの?いつまで滞在してるんだい」
おしゃべりなこのおじさんは、漁師をしているらしい。

2〜3分たわいもない会話を楽しんだところで、彼は私にこう言った。
「レジの順番譲るから前に行きなよ。君はもう明日日本に帰るんだ、僕はここに住んでいるけど、君にはここでの時間が限られてるだろう?」

驚いたが、ご厚意に甘えて、感謝して。
レジ1人分のクロアチアでの時間をこの素敵な思い出とともに貰った。

人とふれあう旅がしたい

こんなにお店の店員さん以外の現地の人と会話をした旅行は初めてだった。
一人旅ではなかったし、なんせ私の英語力はミミズレベル。
クロアチア人のフレンドリーさ、親切さは、クロアチア旅行で巡ったどんなに美しい名所よりも、「知ってよかった」ものになった。

クロアチアって、ヨーロッパの中では物価が比較的安いみたいで。
スーパーなどで見た感じも日本より少し安いな、という印象。
けれどもそれ以上に、彼らの平均収入は低いそうだ。日本人の3分の1だとか言われている。
これ、生活苦しいんじゃないかな…とショッキングだった。
帰国後に知った話だと、クロアチア国内での生活は苦しいからと、ドイツに移住する若者も増えてるのだとか。
そういう背景を知ると、もっとクロアチアの人々のことを知りたくなる。
私たちに親切にしてくれたあの人の日々はどんななの?って。

初めての地を訪れる際は、そのどこかに現地の人々と関わる機会を持てたら、より深みが増すのかもしれない。
彼らにとっては一瞬の日常でも、旅行中の私にとってはその国のイメージと深く結びつく大きな出来事になるんだろうな。
逆も然りというやつで、日本で外国人観光客に会ったら親切に接したい。相手の日本の良いイメージの一部となれたら最高だ。

そんなことを思った。
英語をちゃんと勉強したらもっと感じられること、あるだろうな。

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