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ワイン本感想🐈「WINE ブラインドテイスティングの教科書 科学的アプローチからワインを理解して品種を当てる」

大人気、鈴木明人先生のブラインドテイスティング本。一通り読んだので感想書いていきます🐈


概要

書名:WINE ブインドテイスティングの教科書 科学的アプローチからワインを理解して品種を当てる
著者:鈴木明人
出版社:グラフィック社
発売日:2024年2月8日
仕様:A5 並製 総272頁
定価:2,970円(10%税込)
ISBN:978-4-7661-3792-7

入門書として

吾輩はテイスティングに関するワインスクールには通ったことがなく、ブラインドテイスティング歴がかなり浅いため、入門書として読み進めました。イラストが多様され、カラーで印刷されていて読みやすいですね。
初心者からすると、目からウロコの情報もサラッと書いてあります。
例えば、上のリンク先のプレビューページにも書いてある以下の内容。

”例えばカリフォルニアのシャルドネのように熟度が高く、糖分量の多いワインがあった場合にはマンゴーのような香りがしなくとも、そのワインの果実感を表すためにパイナップル、マンゴーと表現することでそのワインのキャラクターを明確化しているのです。”

鈴木明人「WINE ブラインドテイスティングの教科書 科学的アプローチからワインを理解して品種を当てる」 第5章 p114

マンゴーの香りがしなくても、マンゴーと表現していい!?
言われてみると確かに、インポーターコメントやお店のソムリエのコメントで「マンゴー」と書いてあったワインでも、実際に自分で買って飲んでみると、言うほどマンゴーか?と思うことが稀にありました。(多くの場合は確かにマンゴーと表現できるのですが)

ここで個人的に学びとなったのは、酸や熟度の高さに対応する”フルーツの順番”があり、それに加えて品種特有の”特徴香”があるということ。

今まではワインを嗅いで、とにかくピンとくるフルーツ名を挙げる、という飲み方をしていました。この方法では品種ごとの香りをどのように整理すべきか分からず、特徴もなかなか掴めません。
ソーヴィニヨン・ブランであれば、柑橘類やリンゴが強く香るものもあるし、桃、パッションフルーツやグレープフルーツの香りが強いものもある。
結局どのフルーツがソーヴィニヨン・ブランを表すものなのか分かっていませんでした…。

本書に習い、酸や熟度の高さに対応する”フルーツの順番”と”特徴香”で整理すれば、「冷涼感があり、酸が高そうなところを表現すると、柑橘やリンゴ」「それに加えて、ソーヴィニヨンブランに含まれることが多いチオール系化合物による、パッションフルーツやグレープフルーツが香ることがある」と理解することが出来そうです。

これは一例ですが、本書ではその他にもブラインドテイスティングの経験を積んでいく上で重要な軸となる知識が多く記載されており、その点が非常に勉強になりました。

ソムリエ・ワインエキスパート 二次試験対策として

ワインエキスパート独学勢であれば、二次試験対策本としてこれ一冊あれば戦えるのでは?と思うほどぴったりでした。

例えば、二次試験の選択肢で出てくる「スマートな」「ふくよかな」「流れるような」という独特な表現。
この言葉だけでは何を示す表現なのかが不明瞭ですし、ソムリエ教本にもあまり詳しく書いていません。ワインスクールでは教材が貰えるのかもしれませんが、独学者である吾輩、きまぐれワイン猫が二次試験に沿った形式で勉強するのには、適切な教材がありませんでした。
それが本書では、”日本ソムリエ協会教本で用いられているテイスティング用語”を使って、具体的に酸味や苦みがどうであれば何と表現するのか、その関連性を説明してくれています。

ブラインドテイスティングの成績アップにつながるか?

この本に習ってブラインドテイスティングの経験を積んでいけば、確実に成績アップにはつながると思います。
吾輩はまだこの本を実践に活かすことが十分にできておらず、むしろ、「自分の分析と直観では●●だと思ったけど、この本で挙げられている品種の特徴に一番近いのは××だから、××にしようかな」などと付け焼刃の情報にすがり、逆に外してしまうことも…。
これまで自分の味覚や嗅覚が積み上げてきた経験が、自分専用の分析軸として一番信頼できるもの。しかしブラインドテイスティング初心者なので、考察のヒントやブドウ品種の候補がなかなか広がらない。そこで、まずは自分の引き出しをひとつでも増やすための資料、という位置づけで本書を参考にしています。
また、ブラインドテイスティングをした後、反省点を探すために読む。それからまた飲む、そして読みに戻る、という使い方をしていくことで、地道に自分の経験として力に変えていくことができそうです。

最後に

調べたところ鈴木明人先生はブログを書かれており、本書に記載されているエッセンスのいくつかはこちらのブログにも記載されていました。
購入を検討されている方は、こちらのブログも参考にされると良いかと思います。



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