見出し画像

キーボードは文具

今回は、JISカナ入力な筆者が、毎日使う「文具」であるキーボードの話をしてみたいと思います。

備忘録を「書く」文具のお話し

紙とペンという便利な文具がありますね。日記を書くような人は紙(ノート)とペンを毎日使っていると思いますが、筆者にとっては長らくキーボードが文具です。前回の記事でHTMLで備忘録を書いていたという辺りからも察していただけるでしょうか。

筆者にとりパソコンとキーボードは年齢1桁の頃から慣れ親しんだ最もよく使っている文具なのですが、文具店(百均に席巻されて今は減ってしまいましたね…)に行くと様々なペンがあるように、キーボードも家電量販店等に行くと様々な製品が見られます。

JISカナ入力とローマ字カナ変換

日本語圏でいちばんの特徴は何といっても日本語入力。主に2通りあります。
(他に、昔はケータイ入力というのもありましたし、スマートフォンのIMEやキオスク端末で見かける五十音順スクリーンキーボードなどもありますが、本稿では割愛します。)

JISカナ入力は素直にキーボードに表示されているカナ文字を打鍵する方式です。字数は英字の倍ありますが(濁点と半濁点を含めて52、他に記号少々)、英字とカナの切替をするだけで、あとはキーボードの表示に沿って打つだけなので簡単かつ直感的に使えます。ただし、日本語キーボードが必要になります。

(かつてはcannaで配列マッピングを自作してUSキーボード等でカナ入力していた猛者がいないわけでもないですが、そういう逸般的な話は措きます。)

ローマ字カナ変換はIME(昔はFEPとも呼ばれていた)が登場してからの入力方法で、入力したいカナ文字を頭の中でローマ字変換し、そのローマ字を打鍵して、IMEが再びカナ文字に変換する方式です。(頭の中とPCの)処理が煩雑になりますが、日本語専用キーボードが不要で、米国向けのキーボード(いわゆるUS配列)でも使えます。

筆者はIMEなるものが登場するよりも前からパソコンを触っていたので、自然とJIS配列のカナ入力を習得しました。習得すればしめたもので、ほぼ1字を1打鍵で入力できる&頭の中でローマ字変換処理をする必要がないので日本語入力効率は格段に高まります。

頭の回転が悪い筆者でもそこそこな早さで入力できるのは、JISカナ入力の効率の高さのおかげです。

打鍵数のみならず、直感的に打てるのも魅力です。たとえば「キーボード」と入力するときに、JISカナ入力ならば素直に「き」「ー」「ほ」「゛」「ー」「と」「゛」と打てばいいですが、ローマ字変換では「k」「i」「-」「b」「o」「-」「d」「o」と打たねばなりません。

この例では打鍵数はあまり変わりませんが、言わずもがな「キーボード」の英文綴りは「keyboard」であって「ki-bo-do」ではありません:)。

よくJISカナ入力はキー配列を覚えるのが大変といった誹りを受けますが、ローマ字入力するにはローマ字変換テーブルを習得せねばなりませんし、しかも日本語に多いカタカナ言葉では頭の中で英文綴り「keyboard」とローマ字表記「ki-bo-do」が混在することになって混乱しがちです。頭の回転が良い人にはへっちゃらなのでしょうが、実際にはこの打ち間違いで再入力している人、よく見かけます。

もうひとつ例を出しましょう。今は亡き「ツィッター」と入力してみます。
JISカナ入力では「つ」「Shift」+「い」「Shift」+「つ」「た」「ー」です。
ローマ字変換では「t」「u」「x」「i」「x」「t」「u」「t」「a」「-」ですね。
英字では「t」「w」「i」「t」「t」「e」「r」ですから、ローマ字打ちの人の頭の中には「tuxixtuta-」と「twitter」が混在し、使い分けられていることになります。

こんなアクロバティックな変換を苦も無くこなしている人は、頭が良いんだなぁと思います(私には苦行です)。

ローマ字カナ変換は、頭の体操には良さそうですが、日頃からこれをするのは、毎日アンクルウェイト(身体を鍛えるために足に付ける重し)を付けて歩いているような感じに見えます。そういうストイックな人も嫌いじゃないですが、万人に押し付けるものではないだろうと思います。

昔のタイプライターやワープロ専用機を使っていた人のみならず、日本語が母国語の人には、JISカナ入力を習得する方が高効率だと思うのですよね。ローマ字入力が苦手という人には、ぜひカナ入力を試してみてほしいです。

MS-IME (Windows) では [Alt]+[ひらがな] でカナ入力に切り替えることができます。MacOS では [Shift]+[かな(変換)] です。いずれもIME ONの状態で操作しましょう。

もちろん、ローマ字打ちを習得済みの人に今から覚えろとは言いませんが、学校でローマ字打ちを半ば強制するのは機会損失甚だしいと思います。教育現場ではJISカナ入力を選択できる機会を保障すべきでしょう。

近頃はJIS配列・カナ刻印無しという一見おかしなキーボードまで市販されていますが、そういうキーボードを使いたいという人を否定するものではないものの、そういうキーボードが増えてきた背景にある、JIS配列でローマ字打ちを半ば強制してきた歪んだ教育を痛感されられます。

あまつさえカナ入力を習得済みの人に「矯正」などと称してローマ字打ちを強制する向きもあると聞き及びますが、そうした風潮があることは残念でなりません。

…話が逸れましたが、今回は筆者にとって文具であるキーボードの話です。

キーボードは文具

筆者にとってキーボードは文具なので、どんなキーボードでもそれなりに打てますが、毎日使う道具ですから、使いやすい文具を選びたいものです。

百均で売っているペンでも普通に使えるのに、文具店に行くと1本数千円もするペンも売っている(≒それなりに買う人がいる)ことと同様だと思います。

百円ショップ「ダイソー」のペン売場も充実の品揃えで、普段使いには必要十分だ

筆者も業務等で他のPCを触ることはたくさんあって、その全てで日本語入力をするわけではないものの、ローマ字打ちも一応できます(入力効率は著しく落ちますが)。

ペンも奥深くて、色ペンを除いて黒だけで見ても、鉛筆、シャープペン、ボールペン、油性、水性(染料)、水性顔料、太さも様々。好みに合わせて選ばれています。値段も高ければ良いというものではありません。文具店には十人十色の世界が広がっていてワクワクします。

もちろんお気に入りのペンでないと字が書けないという人はいないと思いますが、毎日使う物だからこそ、使いやすい物を選びたい。使いやすい物を選ぶことで効率が上がり、気分がアガる。

筆者にとってはキーボードこそが文具なので、だいたいどんなキーボードでも使えやしますが(ただしJISとUS以外は全く使えません^^;)、使えるのと使いやすいのは別物。毎日使う道具だからこそ、使いやすい物を選びたいわけです。

価格も似たような傾向で、ただし1桁増えて、百均だと1,100円~、普及品は数千円、専門店では1万円台~というオーダーになります。

メンブレンとメカニカル

文具店で数千円のペンを見ると、いったい何が違うんだろうと思いますが、キーボードも価格差が大きいので、いったい何が違うんだろうと気になりますよね。

キーボードの価格を決める大きな要素に、スイッチの違いがあります。
大きく分けて、メンブレンとメカニカル。
(本稿ではケータイ入力やタッチスクリーンには触れません。)

メンブレンスイッチは一体成型で大量生産しやすいため、安価にできるのが魅力です。市販のキーボードの大半がこれだと思います。

薄型キーボードにパンタグラフという製品もありますが、キーキャップを支える機構を指しており、スイッチはメンブレンです。

一方のメカニカルは、キー1つずつに物理的なスイッチが入る構造になっています。109キーならば109個のスイッチが使われています。部品点数が増えてコスト的には不利ですが、カスタマイズしやすい等の利点があります。

メカニカル(機械式)スイッチには従来の電極が接触する方式のほかにオプティカル(光学式)スイッチと静電容量無接点方式もあって、後者には反応する深さを選べるものもあります。

キーボードの価格(≒製造コスト)を決める大きな要素はこのスイッチです。

他にもnキーロールオーバー、プログラマブル、ライティングやキーキャップの材質(ABSかPBTか)などもコストに効いてきますが、沼に誘っているわけではないので深い話は割愛します:)。

実際には、主に配列と打鍵感(触覚と音)で選ばれていると思います。家電量販店に行くと実機展示されていて、お客さんはせっせとキーを叩いていますが、パソコンにつながっているわけではありません。イヤホンなどと違って、キーボードの展示機はケーブルが切断されているものが多いです。すなわち動作よりも、配列と打鍵感を確かめているわけです。

価格はメンブレンが安価でメカニカルが高価ですが、使用感に絶対的な優劣はなく、好みの問題に帰結します。でも、それでいいんです。ペンも高ければいいというわけではありません。キーボードも同じです。

…実はこの記事、次の記事の前置きなんですよね。どうしてこんなに長くなった…

というわけで、つづきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?