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『King of Rock'n Roll』インタビュー特別編|遠藤洋平、おしゃべりをする。

アセット 2-8


—— もう公演もはじまっているわけだけど、俳優たちのインタビューがけっこう好評なんで、演出を担当している遠藤くんにも、お話を聞いてみようかなと。

遠藤 うんうん。よろしくお願いします。

—— よろしくお願いします。まず何から聞こうかなって思って、でもやっぱり時系列順というか、作品づくりの流れに沿って聞いてみようかな。

遠藤 じゃあまずオファーが最初かな。

—— うん。今回は『アピカのお城』『ハッピーママ、現る。』に続く3度目のきまポ演出だったわけじゃない。で、また新しい脚本でしょ。最初読んだときってどんな印象だったの?

遠藤 まず、こりゃ大変だなー!参ったなあ!って(笑)。

—— 大変だったんだ(笑)。

遠藤 大変、大変。セリフとかシーンに、露骨なメッセージが出てこないんだよね。そういうのを待ってると、終わっちゃう作品で。そこがこの本の良さなんだけど。だから何回も読んで、想像の舞台に落とし込んでみて、それでようやく面白さが分かる作品なの。

—— 台本を読んだだけじゃパッと気づけない面白さ。

遠藤 そうそう。それが良いところで。でもじゃあこの面白さを、お客さんはもちろんだけど、最初は座組の皆さんに伝えなきゃいけない。それって、どうやったらいいかなぁ、参ったなあ!って。

—— それは参っちゃうね(笑)。しかもこれってさ15年前の作品でしょ。2021年に上演することへの悩みとかもあったんじゃない?

遠藤 最初は、どうやって現代版に作り直そうかって考えてたんだけど、途中で「素材そのままの方が良さそうじゃないか?」って思ったの。そこからは、あまり悩まなくなったなあ。稽古するたびに、現代と大きくリンクしているのを感じて。その感覚がたまらなく楽しかった。

—— 稽古でも脚本の面白さについて新発見があったんだ。それは楽しそう。遠藤くんってすごく稽古に真摯に向き合っている印象があって。今回の稽古はどんな感じだったの?

遠藤 どうだったんだろう。こればっかりは分からないなあ。でも、常に楽しい稽古を目指してた。楽しくない稽古はダメ!

—— 楽しい稽古、いいよね。

遠藤 そうそう。でも、落ち込んだり、悩んだり、深刻になったりするのさ。これが一番難しいから、稽古ってやっかいなんだよね。演劇ってドSだと思う。あ、演劇人は大多数がドM(笑)。

—— じゃあ今回も、たくさんのドMな方々と(笑)。流れで、ドMな皆さんにコメントとか聞いていい?

遠藤 いい!全員言える!

足達君! 今回ダサい役だけど、輝いていてセクシーな瞬間もあって素晴らしい!
百餅! 舞台勘の鋭さでがんがん頼りになるぜ!
長谷川君! めんこくていつも真摯的で偉いぞ!
ジャムさん*! どっしりと構えたその存在感最高!(*編注:岩波さん)
寺地さん! 新境地の寺地ユイ素敵だ!
あさぎちゃん! 仕事人ビューティーやっぱりかっこかわいいな!
石川兄貴! 優しく強い唯一無二の怪優の姿に惚れ惚れします!
ロマンさん! その恵体で沢山動く姿はいつも魅力です!
タツミチ兄さん! 安心安定感抜群で流石です!
らんらん! 最強のスーパー個性羨ましいぞ!

—— 演出家から見たキャストの印象って、けっこう好きなんだよね。お客さん視点とは違う、稽古場での姿とかも全部見えているわけで。ちなみに、月並みな感じだけど、今回の見所とかも聞いてみたい。

遠藤 見所、全部としか言いようがないなー!全部なんだけど、換気休憩があってね、その前と後でお芝居の雰囲気が変わっていくのさ。今回はそれが面白いなって思ってる。

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—— 今度は遠藤くん自身についてちょっと掘り下げてみます。遠藤くんって、普段は俳優業がメインでしょ。そんななかで、演出家・遠藤洋平としてのこだわりって、どんなところにあるんだろう?

遠藤 「気付いて欲しいこだわり」と、「(気づかなくてもいいけど)気づいたら超面白いこだわり」の2つを、明確に示すことは大事にしてる。お客さんが見てて「これってどういうこと?」って疑問が生まれるでしょ。これに「適当」とか「勘」って答えになってしまうのを、なるべくゼロにしていく作業を大切にしてる。未熟ゆえ、なかなか全部がうまくはいかないけど。

—— 舞台上のできごとの理由に気付く楽しさ。アハ体験だ。具体的にはどんな?

遠藤 今回だったら後半、女子高生のメイクが薄くなっていくんだけど、これってどんどん統制されていってるからなの。ほかの生徒の身なりもそう。後半にいくにつれて、戦争の気配が強まってるからなんだよね。

—— なるほど!演出ひとつとって、なんとなくじゃない理由があるんだね。見ながら気づくの難しそうだけど、見つけたら超面白い。遠藤くんは俳優として立っているときも、そういうことを考えてるの?

遠藤 いや、逆に役者の遠藤は、「適当」とか「勘」をものすごく大事にしてる(笑)。

—— そうなんだ。じゃあけっこう真逆というか、別の頭で動いてる感じなんだね。じゃあそろそろ締める感じで。今もちょっと出てきたけど、この作品って戦争の気配があるじゃない。でもお話自体は、高校生の青春っぽいなにかがメインで。この作品のなかで、青春とか戦争って、どういうイメージなんだろう?

遠藤 うん。「当然のようにある、自分を自由にしてくれるもの」が青春で、それを侵食する「大きな力」が戦争。観た人それぞれが、身近な青春と戦争を想像してくれたらいいなって思ってます。僕の身近なところで言うと、青春が「稽古場」で、戦争は「コロナ」。

—— うわ、なんかそれすごいしっくり来る。たしかに侵食されてるんだよなあ。じゃあ最後に聞いておきたいんだけど、遠藤くんの青春時代ってどんな感じだったの?

遠藤 一匹狼ぶった、むっつりスケベでした!

—— 割とこじらせてる(笑)。

遠藤 え、質問これで終わるの!?むっつりスケベで終わるの??

—— 終わります(笑)。じゃあ今回は、きまポ『King of Rock’n Roll』の演出家、遠藤洋平さんにインタビューでした。小屋入り中、忙しいのにありがとうね。

遠藤 いえいえ!まだ今週の土曜まで、公演も残っているので、ぜひ観に来てください!ありがとうございましたー。

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きまぐれポニーテール『King of Rock'n Roll』

ここは童立桜ン坊高校貞球部、その部室。
俺らの活動は交流と麻雀、それからグラビア考察。
部室では自堕落教師が牌をつかみ、番長が胸ぐらをつかむ。
女子も時折やってくるが、あれはつかめない生き物だ。
これが青春。36度の、平和な青春!

ダラダラしながら流れてく、流されていく。
俺たちの戦場って、ここじゃないのか!?

チケットバナー

足達泰雅(劇団怪獣無法地帯)、百餅、岩波岳洋、長谷川健太、寺地ユイ、吉田諒希(劇団イナダ組)、石川哲也(わんわんズ)、Roman(演劇公社ライトマン)、池江蘭、サイトータツミチ

演出:遠藤洋平
脚本:ミヤザキカヅヒサ(絶対鈍器)/脚色:里美ユリヲ(絶対鈍器)

◎残りの上演スケジュール
8月4日(水) 19:30
8月5日(木) 19:30
8月6日(金) 19:30
8月7日(土) 13:00/17:00
※開場は開演の40分前を予定しています。

◎会場
演劇専用小劇場BLOCH
札幌市中央区北3条東5丁目5岩佐ビル1F
TEL:011-251-0036

◎チケットについて
一般前売り:3,000円(税込)
学生前売り:1,500円(税込)
※日時指定、全席自由席、未就学自動入場不可
予約サイト:https://ticket.corich.jp/apply/112579/

感染対策

[お問い合わせ]
MAIL:kimagure.pt@gmail.com
TEL:080−4042−5510(きまぐれポニーテール制作)


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