徒然なるままに
つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
することもなく手持ちぶさたなのにまかせて、一日中、硯に向かって、心の中に浮かんでは消えていくとりとめもないことを、あてもなく書きつけていると、(思わず熱中して)異常なほど、狂ったような気持ちになるものだ。
『徒然草』(つれづれぐさ)は、吉田兼好(兼好法師、兼好、卜部兼好)が書いたとされる随筆。清少納言『枕草子』、鴨長明『方丈記』とならび日本三大随筆の一つと評価されている。
(出典:wikipedia)
兼好法師よ、わかる、わかるよ。君の気持ち。小池徹平ばりに。何百年と時を超え、世界の片隅で細々と生きる僕にも届き、共感されちゃう兼好法師ってどうなのよ。
まさしく今がそうだ。ここ数ヶ月、頭の片隅で「note更新せえよ」と脅し続けるもう一人の自分を、顎を重点的に殴り倒して日々過ごしてきた。そのくせ、何時間もバイトをして、側から見たらただのフリーターであるにもかかわらず、「お笑いと、あとnoteで物書きやってます」みたいな顔して日々生きている。数分の漫才と誰にも影響を与えない文章を人生のメインに持っていきたかったのだ。そんな自分にも腹が立ってきた。土曜日で、お日柄もよく、いつも通り暇なので、またnoteを書こうとしているのだが、書くことがあればここまで苦労していない。喫茶店にて、打っては消してを繰り返しているだけで数時間やり過ごしている。打っては消してと、左右にこき使われるカーソルに対して不憫に思うようになってきた。
することもなく手持ちぶさたなのにまかせて、一日中、Macに向かって、心の中に浮かんでは消えていくとりとめもないことを、あてもなく書きつけていると、異常なほど、狂ったような気持ちになるものだ。
現に今、隣の席に座って読書をしている20代前半あたりの千葉雄大似の男の子を見て、「めちゃくちゃにしてやりたい」と思うほどには狂ってきている。
こういった心情をつらつら書き上げていくのが「随筆」というものなのだろうか。現に、兼好法師もなにかを書こうとしている様を書いた「徒然草」でデビューした後に大ブレイク。異例の大ヒットで日本中が震撼。日本中に「徒然旋風」を巻き起こし、三大随筆と呼ばれ、重版に次ぐ重版で今に至るのだ。おそらく。
では、今書いているこの文章も「随筆」と定義していいのだろうか。というか、エッセイと随筆の違いってなんなんだ。調べてみると、
「随筆とは、本当にあった出来事の見聞や感想を自由に描いたもの。エッセイとは、出来事の描写ではなく、書き手のパーソナルな心の様子を描いたもの、告白的なものであるということだ。」(出典:http://inkyodanshi21.com/books/8874/)
だそうだ。
なるほど。今までよく理解せずに書いてきたが、自分はエッセイ的なことを書いてきたのだなと認識した。
そしてこれを読んで、「随筆ってちょっと楽そうやな」なんて考えてしまった。
「お前のクラスの担任優しくてええな」のテンションであった。
今日の出来事を書いてみる。
4月10日土曜日。天気は快晴。満開に咲き誇っていた桜も散り、道端に敷き詰められた桜の花びらたちが、暖かい陽の光に照らされながら、冷たい風に吹かれて舞い上がり、季節の狭間で彷徨っていた。
行き場のない桜の花びらを見て、独りポツンと揺蕩う自分がいる。桜の余生を見守りながら、映画館に向かった。
上映期間も終盤の映画だったので、客もまばら。sサイズのポップコーンを予告中に食べ切ったことに後悔しながら2時間を過ごした。映画の感想は、まあ、あの、考えさせられた、うん。
映画館を出ると、映画を見る前よりも空が青く、広く感じた。
文章を書いておこうとカフェに向かった。席につき、この文章を書いていると、隣の席に千葉雄大似の男の子がやってきた。可愛い。推したい。
しばらくすると、ゆるふわカールでスタイルのいい女性が店内に入ってきた。「お待たせ!待った?」と言いながら、千葉似くんの対面に座った。
なんや、脈なしか
タバコを吸おうと喫煙室に向かった。喫煙室に入ると、入り口付近の空気清浄機が「空気の汚れを感知しました」といい、グオオオオと音を立てた。タバコを吸い終え、喫煙室を出ようとすると、「空気が綺麗になりました」と言った。
なんや、俺か
思ったよりも筆が進んだことに満足して、ラジオを聴きながら帰路につく。
「Headline news! アメリカの◯◯に所属する◯◯選手が20得点を記録しました。なお、チームは敗れています。」
だいたい負けとんな
帰宅し、文章の仕上げに入る。今日の出来事を思い返しながら、打っては消してを再び繰り返す。「人生も、打っては消してを繰り返せたらなあ」なんつって。埒が明かないので、徒然なるままにありのままに愛のままにわがままに書き殴った。
こんなんでええんか?
書き上げた文章を読み返し、狂いから覚めるのであった。
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