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NFTが切り拓く「映画推し」の可能性

モダンエイジの映画大好きマーケター栗原です。

Web3.0の代表的トピックとして注目を浴びているNFTですが、最近になって、映画×NFTのニュースをよく見かけるような気がしています。

NFTで日本アニメを盛り上げるOtaku Culture Studioとは、日本のアニメ・マンガ・ゲームコンテンツをWeb3.0化して、ファンとクリエイターが共に作品を盛り上げる世界を目指し、Otaku Culture Studioを通じて才能あるクリエイターを支援。ファンが制作に関われる機会を創造するプロジェクト。既にさまざまな日本コンテンツとのNFTコラボが決定しており、日本産コンテンツの魅力を、このプロジェクトを通してグローバルに発信している。
 
Otaku Culture Studioで販売するNFTには、ARアプリで表示できるオリジナルARフィギュアが付属したり、NFT保有者限定のコミュニティに招待するなどの特典があるほか、NFT保有者限定グッズの制作・販売なども検討されているそう。詳細はぜひ販売サイトでチェックしてみてほしい。

長編アニメ「雨を告げる漂流団地」NFTでアニメを盛り上げるOtaku Culture Studioとのコラボ決定

The Rhetoric Starについて、監督の太一氏は、「本作は、暗号資産から始まる物語であり、業界のキラキラしたイメージや如何わしいイメージ等を含めた真実の姿を社会派サスペンスとして描いた実写映画」だと説明した。

CoinPostの各務代表は、「暗号資産をテーマとした映画を作るだけでなく、暗号資産を活用して新しい映画製作プロセスの確立にチャレンジしていきたい」とし、技術的なサポートや映画のマーケティング支援を中心に携わっていくと語った。

NFT活用による映画業界の未来|SSFF & ASIA 2022イベントレポート

上記のような映画とNFTの連携ですが、個人的にこれから映画にとって非常に意義のある展開をみせてくれるのではないかと期待しています。それはNFTには、映画の「推し」を具現化しうるポテンシャルがあると思うからです。

■映画の「推し」は成立するのか

「映画推し」って言葉、どうでしょうか?なんだかあんまり聞き馴染みのない表現ですよね。

お笑い芸人の「推し」、ジャニーズグループの「推し」、K-POPアイドルの「推し」などはよく言いますし聞きますが、それら想起されやすい「推し」と比べると、「映画推し」ってなんだかイメージが湧きづらいと思います。

ただ「映画推し」が存在しないかといえば、そんなことはないようです。我々モダンエイジが実施した20-30代の「推し活」調査では、「映画推し」と回答した人が一定数存在しています。

上記リサーチを踏まえると、全体のn=3738人に対し、約12%の人が映画を「推し」ていることがわかります。(赤枠で囲っている箇所)

補足すると、これは「一番好きな”推し”」を”一つだけ”選択してもらう設問(SA)で、音楽やアニメなど他エンタメの選択肢も提示された上で、それでも「映画推し」だと答えた人の割合です。なので一概には言えませんが、単にカジュアルな「映画好き」よりは、より深い熱量や愛情を持って「映画推し」を表明してくれていることは間違いないと思います。

思い出してみると、随分前に公開された『マッドマックス 怒りのデスロード』や『バーフバリ』シリーズなど、リバイバル上映されるたびに、すぐに劇場が満員になってしまいますよね(私も良く行くのですがw)。これらの現象は、その作品の「推し」が存在することの証明にもなりそうです。

(※モダンエイジの「推し活」調査の詳細はこちらから見られます。興味深いデータが満載なのでぜひご覧ください。)

■「映画推し」はなぜ目立たないのか

たしかに「映画推し」は表現としても間違ってなさそうですが、なぜあまり目立たないのでしょうか。それは今まで「映画推し」を可視化したり、表明する方法が乏しかったからでしょう。

映画は基本的には単発の興行です。例えば音楽のアーティストのように、ファンクラブに入ってもらって中長期的にファンと繋がり続けていくようなものでもありません。

シリーズものだったらキャラクターなどにファンがついたり、新海誠監督など作り手にファンがついたりすることは多分にありますが、いずれにしても作品の公開スパンは2〜3年に1本がほとんど。ファンにとっても「推し」の感情を持ち続け、常に表明するのは容易ではありません。

また主に配給会社が担う公式側だって、他にも沢山の作品を抱えている以上、映画の公開前、もしくは公開後しばらくの間、ファンサイトなどのコミュニティを運営する余力もないでしょう。

そのため「映画推し」を表明するためにできることといえば、公開中に何度も劇場に観に行く、関連グッズを沢山買う、SNSなどでクチコミを広げるなど、限定的な「推し活」しか手段がない状況でした。

■映画×NFTの可能性

そんな状況にブレイクスルーを起こすのがNFTなのかもしれません。上記のSSFF & ASIA 2022の記事を再度引用します。

「相互運用性」に関して、「映画コミュニティにNFT化した会員権を配布することで、映画コミュニティ会員の情報に誰もがアクセスできる」とし、「そうした情報は、映画製作に参加したい人々にとっては非常に価値のあるものであり、次につながるサービスなど映画コミュニティの枠を超えたサービス提供を実現することができる」と映画業界での活用例を挙げて説明した。〜〜中略〜〜初期から参画してくれたファンをNFTは可視化できるため、作品がヒットした際に初期のファンに対して還元できることがとても大きい

つまりNFTは、その非代替性によって作品の「推し」を可視化し、相互運用性によって作品への「推し」を表明させやすくします。これがインセンティブをフックとし、"点"で終わってしまうクラウドファンディングに対し、中長期的に"線"で繋がっていけるNFTの強みです。

『雨を告げる漂流団地』のNFT利用は、まさに「映画推し」の「可視化」と「表明」の手段を多様化しているといえるでしょう。

■プロセスエコノミーと映画とNFT

グッズの購入券などに留まらず、個人的に注目したいなと思っているのは、NFTを「プロセスエコノミー」に活かしていく使い道です。「プロセスエコノミー」、最近話題の概念ですが、要は完成した作品だけじゃなく、作品の製作過程"そのもの"を売ることです。

プロセスエコノミーの好例としては、NiziUやJO1などオーディション番組を経て誕生したアーティストがブレイクすること、ライブ配信サービスにおいて投げ銭で何十万も稼ぐ配信者の存在などがあります。現代の生活者は、彼らが大成していく「過程」を見せられることによって応援したくなり、「推し」たくなることがあるのです。

そういった観点から、映画とプロセスエコノミーは非常に相性が良いと考えられます。映画は総合芸術、たくさんの人の叡智が結集して一つの作品が作り上げられます。映画の裏側にある人間の思いや努力、試行錯誤の過程を開示することで、より生活者の感情移入を促し、「自分ゴト化」する「推し」を作っていくことも可能なのではと思います。

最近でも大ヒットした『トップガン マーヴェリック』にて、キャスト陣が撮影中の訓練に臨んでいる動画が話題になったりしました。これもまさにプロセスエコノミーと言えると思います。

これを計画的に実践していたのが西野亮廣さんですよね。彼は『えんとつ町のプペル』の製作過程をオンラインサロンでより詳細に公開し、サロンの人たちを作品の「推し」に繋げていきました。

こうして完成を待たず、製作過程の中でファンを「自分ゴト化」させるような仕組みが、著名人のオンラインサロンのような"箱"がなくても、NFTを使ってよりひらけた場所でやりやすくなるのではないかなと思います。

NFTを購入してくれた人と製作過程を共有し、一緒に映画を作り上げているような参加感を醸成すること。その過程の中で、作品の強い「映画推し」になってもらうことも可能かもしれません。

「映画×NFT×プロセスエコノミー」、これは既存の映画製作・宣伝の概念を変えるような、重要な掛け合わせになるポテンシャルがあると思います。


以上、話があっちこっちに行ってしまいましたが、結論言いたかったのは、「映画推し」はたしかに存在していて、そのポテンシャルをNFTが拡張できるかもしれないってことです!「映画推し」がどんな人なのか、の詳細については、また別の機会に紹介したいと思います!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!良かったらフォローもお願いします!


PS
余談ですが、今週公開の邦画が熱すぎて非常に悩みますね、、個人的には『霊的ボリシェヴィキ』が大好きな高橋洋監督の最新作『ミソジニー』を1番観たい気持ちなのですが…(シネマカリテ行けるかなぁ)

もちろん川村元気さんの初監督作『百花』も観たいし、って思ったら洋画でもイドリス・エルバ兄貴の『ビースト』があった、、どうすればいいんだ、、

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