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2022年3月に読んだもの(その1)

大沢在昌『小説講座 売れる作家の全技術』(KADOKAWA)
長らく積まれていた本。
私は小説を書くつもりはないけれど、なるほどプロの作家はこういうことに気を配って書いているのか、ととても勉強になった。
主にエンターテインメント小説を書きたい人にオススメ。

氷室冴子『さようならアルルカン』(集英社)
初期作品集を買ったつもりだったが、旧版のほうをkindleで買ってしまっていた。短編集。表題作は1977年、著者が20歳のときの作品のようだ。
みずみずしい感性がそのまま写し取られている。古めかしい部分もあるが、ドキドキしながら読んだ。

高原英理『日々のきのこ』(河出書房新社)
ヒグチユウコさんの装画もとても(気持ち悪く)可愛い一冊。
きのことの共生関係に舵を切った世界が描かれている。
学問風にその共生関係への経緯を語る章があって、私はそこで一気に物語のおもしろさに魅了された。
というのは、私の幻想小説的なものへの苦手意識が影響していて、理知的に説明されてようやく腑に落ちて面白がれるという欠点があるのだ。
この小説をのっけから面白がれるような人に、私はなりたいのだが。
自分の生き方にも、変化をじわりじわりと与えるような、知らないうちに染みいっているような、そういう小説だった。

ヘレーン・ハンフ著、江藤淳訳『チャリング・クロス街84番地』(中央公論新社)
これもながーく積まれていた本。
良い本であることは読まなくても確信していたのに、どうして長らく読まなかったのか、私よ。
ついに読んだ。とてもいい本だった。
読了してしみじみ、タイトルも素晴らしいと感じる。
古本屋さんを訪ねて、古書に込められたものにじっくり向き合ってみたい、そう思わせる本。
あと、イギリス素敵。
歴史的に見るとイギリスって、他国に対してやってることがえげつないくらい酷いのだが、イギリス文学に触れると、こんな文学を生み出した国として憎めなくなってしまう。


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