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自販機で新商品が「絶対売れる」理由

 先日、自動販売機のリース会社の営業マンと飲む機会があり、そこでハッとさせられる話を聞いた。
 「飲料って毎月のペースで新商品が発売されますけど、定番の商品に混じっていても、ああいうのって売れるもんなんですかね?」と聞くと、営業マンは「絶対売れます」と不敵な笑みを浮かべた。
 ずいぶんと自信ありげだな……と私が少したじろいでいると、「要は簡単なトリックなんです」と彼は続けた。
「新商品を発売することになった。そしたら最初の1週間は、在庫がある状態でも『売切』表示にしておくんです。あの赤色の表示って、いつも定番の商品を買う人の目にも目立つんですよね。「いつ見ても売り切れている」という状態が、それを見た人の中で「知らない新商品だけど、きっと人気だからずっと売り切れなんだろうな」という理由付けに勝手に変換されるんです。こうなったらもうしめたもんです」
「なるほど……」
「人は『買えない』という情報を目にした時点で『買いたくなってくる』という性質を持った生き物なんです。ほら、たとえは古いですが、昭和のオイルショックのときに起こったトイレットペーパーの買い占めなんて同じことでしょう? 『他の人がたくさん買っているなら私も買わなくっちゃ……!』、そういう心理ってのは人間が人間であり続ける限り、未来永劫ずっと変わらないんです」
 私はすっかり彼の話に引き込まれていた。
「『飢餓感』は最大の広告です。1週間の『不足』が需要を生むんです。会社とかに自販機を置く場合は、そこで買うのが日々の習慣になっている人の数が多いので効果はテキメンですよ。どんな人でも「1回は試してみよう」という話になります。ただ、2回目以降も買うかどうかはその商品のポテンシャルにかかってきますがね」
 営業マンはハハッと笑った。
 私はもう笑えなかった。




 ……という嘘をいま思いついたので書きました。
 嘘にしてはもっともらしい出来に思えますけども、それを本当にあったエピソードとして紹介してしまったら嘘松として死後は地獄行き確定ですし、それはイヤなのでちゃんとそのまま「嘘」として提示します。
(サムネでも大きく『嘘』って書いてあるのでユルシテ……ユルシテ……)

 でもこれって実際に試してみたら意外とイケるんちゃいます……?
 いかがでしょう、ダイドードリンコさん……(なぜ名指し)



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