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古畑復活? いや、ドラマ『西園寺守』をやればいいのだよ、君。

 ドラマはほぼ見ないタチなのだが、何故か『古畑任三郎』だけは何度も繰り返して見てしまう。
 だからこの前のフジの「30周年記念一挙放送」は嬉しかった。
 とは言え、その2ヶ月前に「あ、古畑を全部見返したい!」という周期が訪れていたので最寄りのゲオに駆け込んでDVDを借り、すでに全部の回を見終わっていた。そのタイミングで来た再放送だったのでその点はシャクだった。
 どの回も見たばかりと言うこともあり、さすがに丸ごとは見てられないので終盤の対決シーンのところだけもう一回見た。
 名優同士の手に汗握る演技合戦。やっぱり何度見ても惚れぼれする。
 果たして今回の一挙放送はなんらかの布石だったのか、「『古畑任三郎』復活計画」のネットニュースが目に飛び込んできた。
 そのニュースによると、「最近は低視聴率にあえぐフジテレビが、起死回生の一手としてドラマ『古畑任三郎』の復活プロジェクトを狙っている」とのことだった。
 注目の古畑任三郎=“ポスト田村正和”の候補には木村拓哉、福山雅治、大泉洋、ディーン・フジオカ、長谷川博己らの名前が挙がっており、現状では木村氏が最有力視されているそうな。
 これを知ったとき「やっぱりいろいろ厳しいだろうな……」と思った。
 私はそこまでの「古畑」過激派ではないが、どう考えても“古畑任三郎”は田村正和にしか演じられない固有のキャラクターであり、そもそも最早役柄とかそういうレベルじゃなくて“古畑”と“田村正和”の境目が判別できないくらいに互いが融合してしまっている。
  ゆえに“古畑任三郎”は田村正和専用機であり、田村正和は古畑任三郎そのものなのだ。
 候補に挙がった人たちはいずれも現代の名優だが、“古畑”を演じるにはあまりにも荷が重すぎるしリスクも高い。もうすでに「演じる・演じられない」以前にそういう演技力どうこうで解決できる問題ではなくなっているからだ。
 ファンも田村正和以外の“古畑任三郎らしきもの”は許さないと思う。
 でも、ファンも『古畑任三郎』的なものは見たいし、フジテレビとしても『古畑任三郎』的なものを提供して視聴率を稼ぎたい。

 ん~~ふっふっふ……。

 わたくし、一つだけ解決方法を知っております。
 そう、記事のタイトルの通り、ドラマ『西園寺守』をやればいいのですよ!
 「何をバカな……」と思ってます?
 でもね、これがけっこうイケる筈なんです。

 古畑ファンにはお馴染みの西園寺くん。
 古畑任三郎の相棒と言えば今泉慎太郎でしたが、そんな二人の蜜月を引き裂くかのように第3シーズンから新たな古畑の部下として西園寺守が投入され、今泉くんは冷や飯を食わされる身分に降格してしまいました。
 西園寺くんは絵に描いたような「理想の部下」でかなり優秀な人物ですが、あまりにも優秀すぎると古畑の仕事が無くなってしまうので推理力は古畑より少し下に設定されています。
 第35話(爆弾のやつ)では犯人の仕掛けたワナにハマり、あやうく別の人物を誤認逮捕してしまうところでした。
 しかし、その汚名を返上するかのように、続く第36話では古畑の力を借りずに事件を解決へと導いています。やっぱり優秀!
 「優秀といっても所詮はダメな奴か…」と第35話だけで終わらせないところが、脚本・三谷幸喜の西園寺くんというキャラクターへの愛情を感じさせますね。
 繰り返しになりますが、西園寺くんは第3シリーズの終盤では単独で事件を解決できています。だから、「名探偵」の資格がある。
 なんせ、あの古畑から見込まれ、能力を評価された人材。
 西園寺くんは、古畑の正統後継者たりうる器なのです。

 ドラマの運びとしてはそうですねぇ。
 古畑任三郎はもう警察を退職している、と。
 古畑が去った後も西園寺くんはメキメキと推理力を上昇させ、かつての古畑と同じ階級・警部補までステップアップする。
 先輩の今泉は未だに巡査であり、西園寺くんの部下となる。
 西園寺くんは今泉を「なんだこの使えないハゲ……」と思いながらも「しかし、かつてはあの古畑さんが寵愛したパートナー」であることを思い直し、今泉とうまくやっていこうとする。
 今泉は「完全に面白くねぇ~!」と思いながらも、西園寺のキレキレの推理力に在りし日の古畑の面影を見出し、心のどこかでは「チビ」を尊敬している。
 そんな「デコボココンビ」の権化みたいな二人の刑事ドラマ、めっちゃ面白いと思うんですけどいかがですかねぇ!?

 もひとつダメ押ししておこう。
 田村正和は1943年生まれ。
 『古畑任三郎』第1シーズンで古畑を演じたときは51歳。
 そして西園寺守を演じる石井正則さんは田村さんとちょうど30歳差であり、1973年生まれ。
 つまり、石井さんは今年51歳なんです。
 これに気付いたときは思わずゾワッとしました。
 「古畑」誕生の30年後、同じく51歳の石井さんが「古畑」の座を継いだドラマの主役をやる。
 控え目に言ってもエモすぎる!
 これでもうキマリっしょ!!

「おわかりですか~~ぁん? ん~ふっふっふぅ~~ん……」
 キザっぽく両手を掲げ、勝ち誇るブラックスーツの私。
 うなだれる犯人。
 犯人を無言でうながす私。
 退場する二人。
 最高の音楽と共に流れるスタッフロール。



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