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仮面ライダーという理想

超英雄祭というイベントのグッズ列に並びながら、今この文章を書いています。
超英雄祭とは。
スーパー戦隊と仮面ライダーの主題歌やテーマソングのライブのことです。
さまざまなアーティストだけでなく、テレビシリーズで活躍中のキャストも出演するため、特撮ファンだけでなく、アーティストファンや俳優ファンも集まります。
昨年までは武道館で行われており、今年はなんと横浜アリーナ。
機材席開放して、立ち見も出るほどの超人気イベントなのです。


平日の18:30から始まるライブのグッズ列は10:00前でかなりの人数が並んでいます。
ここまで年齢も性別も、なんなら国境も超えて愛されるイベントは世界の中でも珍しいのでは…?と勝手に思いました。

子どもがベルトをつけて遊んでいる姿も見えます。
男の子も、女の子も、います。

女の子は仮面ライダーになれない、なんて、今では誰も言えない。
現在放送中の『仮面ライダーゼロワン』には、仮面ライダーバルキリーという女性が変身するキャラクターが活躍しています。
もちろんバルキリーよりも前にだって、女性ライダーはいました。
スーパー戦隊では、女性戦士がいないチームの方が少ないです。

女の子がヒーローに憧れ、ヒーローになることは、ごく普通のこと。
そういう世界がここにはあります。

でも、なんもなくまだ、世間は「男の子は仮面ライダー」「女の子はプリキュア」みたいな空気がありますよね。
だからこそ、『HAGっと!プリキュア』で「男の子でもプリキュアになれる」という言葉があんなにも話題になったのだと思います。
明言してくれることで、勇気をもらった男の子はたくさんいたことでしょう。

じゃあなんで、「女の子もヒーローになれる!」と明言されていないのでしょう。
女性戦士が当たり前のスーパー戦隊はおいておくとして、仮面ライダーでは、「女の子もライダーになれる!」と明言してもいいのでは…?そのほうがいろんな人に響くのでは?
私は、そう思ったことがあります。

こう思った原因の一つとしては、仮面ライダーにおけるヒロインの扱いが、雑に解釈されているのを目にしたことがあるからです。
お寿司でいうと食用菊…というか。
画面の見栄えをよくするけど、それ食べないよね?みたいな。
私はそういう考え方が、どうしても納得できなかったんです。
ライダーのヒロインは『仮面ライダー』という物語を構成する上で重要なキャラクターだ!と叫びたくて…個人的にレポートをまとめていたくらいです。


そんな中で、令和元年に放送が開始された『仮面ライダーゼロワン』は女性ライダーがスターティングメンバーとして参加することが発表されました。
「お仕事」がテーマの一つである今作。
働く女性が当たり前になっている現代、女性ライダーも当然、とサラリと登場したのです。


「え?だって女の子もヒーローになれるなんて当たり前じゃん」
というような空気を感じました。


製作者側は大変だったのかもしれません。
先人たちが少しずつ女性ライダーの文化を築いてくれていたからこそ、今回サラリと登場できたのでしょうか。

また「バルキリー」と対照的に変身をしないヒロイン「イズ」はキュートな見た目の人型ロボット。
仮面ライダーに守られるのだろうな、と思わせる雰囲気でした。

私は本当に嬉しかった。
かっこいい女の子はここにいるんだと。
そして可愛い女の子もやっぱりここにいるんだなって。


かっこいいヒーローになりたい男の子がいて、
可愛いヒロインになりたい男の子がいて、
かっこいいヒーローになりたい女の子がいて、
可愛いヒロインになりたい女の子がいて、

ずっと前からいたはずのたくさんの子どもたちの夢が、今ようやく認められるような世界に近づいてきたのだなと、思いました。


いま、ライブを前にして童心に返り、ニコニコしている私を含める大人たちは、男の子だからとか、女の子だから、ということで子どもの未来を縛るようなことはしない。
そう信じたいです。

でも、一歩外に出たらどうでしょう。
物語の中ではどんどん理想に向かって進むのに、現実はまだ難しいことがまだまだ積み上がっています。

令和2年の曇り空の下。
動かないグッズ列で、そんなことを思いました。

子どもたちは、もしかしたら仮面ライダーたちが語る理想を理解するのは難しいかもしれません。
物語から教えられるたくさんのことを、現実にしていくのは、私たち大人の役割でしょう。


これが2020年代の理想図だなんて言ったら、ちっぽけだと思います。

とりあえず『仮面ライダーゼロワン』は面白いので、ぜひ。
日曜9:00〜テレビ朝日系列で絶賛放送中です。


お前はもっとできると、教えてください。