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「メンタル強くなりたい」がきっかけでセミナーに依存した人に取材した

恋愛や婚活の相談業をやっていると、たまにスピリチュアル・占い・神社巡りにどっぷりハマっているブスに遭遇するのです。毛玉だらけのサイズの合わない服を着て、顔の産毛は伸び放題で、猫背。

写真の左側のような悪い意味で年齢不詳のブスです。

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問題解決から逃げて占い・神社巡りにはまる人の思考を知りたかった

最低限度の身だしなみを整えないと男性から選ばれないわけですが、ご本人は心を磨くことが大事と思ってしまいがちで、引き寄せの法則とか自己肯定感を上げるセミナーとか女性性開花ワークとかに走ってしまうのです。

彼等がなぜそうなってしまったのかを知りたくて、占い・スピリチュアル・セミナー依存して外見ボロボロの方5人に取材を申し込みました。(無駄に好奇心強くてごめんなさい)

3人取材させていただけたのですが、1人からは怒られ、1人から無視され、1人は取材後の原稿を見て「分かってない。伝わってない」と掲載NGでした。お二人からは掲載OKいただけました。

佐藤さん(仮名・男性・30代)は起業したい人や起業したての人が集まるイベントで知り合いました。会ったときもヨレヨレでしたし、facebookでつながっていろんなセミナーに参加しているのは見ていたで、取材依頼してみたところすんなりOKをいただけました。

佐藤さん(仮名・30代男性)に取材してみた

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「この度は、私のインタビューを受けてくださってありがとうございます。断られることも多くて、どうして受けてみようと思ったのでしょうか?」

「今ブログで情報商材を売る勉強をしているので、菊乃さんも情報商材を作るためなのかなと思いました

※後述しますが佐藤さんは情報商材を作って稼ぐなどを唄うセミナーに今もローンで通っているのです

「は!違いますよ!何の情報商材と思ったんですか?」
「セミナージプシー向けの情報商材なのかなぁ」
「いや、違いますよ」

そして、分かったのは私の送った取材依頼メールはあまり読んでいないようでした。
 
現在、自分でヒーリング業をしているようなブログを開設してたのですが、そこは売り上げはほぼなく、本業はIT企業の派遣社員でエンジニアでその時の年齢は35歳だそうです。(取材したのは2015年です)

佐藤さんというのは仮名で、本名はとても珍しい苗字なのですが、ヒーラーブログもFacebookも本名でした。(ちなみに菊乃は本名ではない)

「会社の人が検索したら、副業はバレるし、いい印象を持たたない方もいらっしゃると思うのですが、その辺はどうお考えですか?」

「別に見つかってもいいと思っています」

「え!怪しい胡散臭いとか思う人いるかもしれないじゃないですか?」

「さぁ~、どう思うんでしょうね。会社員生活を続ける気はないんで。
会社員という仕組みはお金が定期的に入ってくるのは魅力的だけど、独立するから

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出たよ~!上から目線で会社勤めをバカにする『自称独立するから男』

自己啓発セミナーにはまったきっかけはパワハラ

佐藤さんの自己認識では、「前はセミナージプシーだったと思うけれど今はジプシーだと思ってない」なのだそうです。

では以前はどんな状態だったのか聞いてみました。

佐藤さんは高卒で就職し、25歳ごろに大手カード会社で派遣SEとして働いていたそうだ。そこでパワハラがきっかけでうつ病になります。
ミスで発生する損失金額が大きく「お前はそれを出せるのか!」など高圧的にいわれたこと続いたそうだ。

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そこで、心理カウンセリングを受けたたけれど、自分を責めて、症状が悪くなっていったそうだ。

「メンタルを強くしようと思って、心理学を学びはじめました」

「え?え?なんで?なぜそういう解決方法を選んだの?」

同じような状態になっても、『死にたい』って思わないようになりたいからです。上司は自分でどうにもできないし」

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うつ病なのだから仕方がないけれども。

その前に、ミスを減らすために業務内容の見直しとか考えないのだろうか?私がもし同じ立場ならどうするだろう?ミスしないよう原因を分析し改善策を考えるか、異業種に転職するか。もちろん自分が同じようにうつ病ならそういう決断に至らない可能性はあると思うけれど。

「もし、上司から聞いていない仕事を『あれが終わっていないじゃないか、言っただろ!』って言われたら10年前ならなんて言いましたか?」

「『すいません、今すぐやります』っていいます」

「そうその場しのぎで謝るからパワハラになるんじゃないのかなぁ」

「そうですか」

うっかりインタビューさせていただいている立場というのを忘れそうになってしまう。

佐藤さんはなぜ怒られたのかという原因となる業務上のミスではなく、上司の顔色や、自分が怒られたってところに焦点を当てていらっしゃるようでした。

佐藤さんはある心理学の書籍を購入し、その著者の心理学セミナーに参加して、そのセミナーのボランティアスタッフもやっていたそうだ。それからマイケルボルダックという方が主催する自己啓発セミナー3日間のプランを受講したそうだ。3日間で20万円(一番安い)のコースだったとか。

居場所に金を払うセミナージプシーたち

「でもしばらくして、リーマンショックでSEの仕事がなくなったんですよ。
それでフリーターして貯金を崩しながらセミナーに行っていたんですけど、お金が苦しくなってきて。

ボランティアスタッフをやっていると『人に迷惑をかけちゃいけない』って思うんですけど『心理学をかじっているのに心理学が使えてないな』と思ってその心理学セミナーからは遠のきました」

「へぇ~、なんで貯金を崩してまでのセミナーに行ったの?」

私の居場所が欲しかったんです

「私の居場所?」

この後何度も、佐藤さんは『私の居場所』という言葉を使うことに気が付きました。

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セミナーに行けば成功すると思って、セミナーに行く。参加者の誰もが佐藤さんの言うことを否定せず、すべてありのままに受け入れてくれる。セミナーが楽しくて中毒になるのだ。
 
マイケルボルダッグのセミナーでは夢の実現のために大量行動をするように習うそうだ。

そりゃ、そうだ。甲子園球児は毎日練習するし、有名大学に入学するには毎日10時間以上勉強する。キレイな人は美容にお金と時間をかけている。
仕事だって同じだ。

成功のために、大量の行動をするのはごもっともだと思う。

その大量行動に佐藤さんはついていけなくなったらしい。(まぁ、しょせんセミナーって受講者はお客様だから、会社みたいに行動の管理まではしませんよね)

大量行動ができないからアファーメーション(肯定的な言葉で繰り返し唱えること)をやったけれどうまくいかず、できない自分を責めました

「そりゃ当然でしょなんで、アファーメーション?todoリストにしていくとかそっちじゃないの!?」

「そういうのも習ったことあったかなぁ」

習った、習ってないじゃなくて、そこは自分で考えたらどうなのだろうか?

夢を仕事にする起業セミナーに参加する

佐藤さんは次に「夢を仕事にしてやりたいことで食べていこう」というのをうたう自己啓発セミナーが主催する起業塾に入る。

「なんで?起業したかったの?」

「SEをやっていてそれ以外に自分は仕事がないと思ったから。SEは景気に左右されるし、景気がよくてもボーナスでは還元されても自分に大きく入ってくるわけじゃないから起業しようと思ったんです」

どうも危なっかしいにおいがしてきました。佐藤さんはその起業セミナーに対しても「何回コースだったか忘れた」ととても数字に弱い。

それでもそのセミナーつながりの延長で、某セミナーイベントを主催する会社のHP作成・更新を頼まれることになったそうだ。

「それでも契約して数万円とかでしょう」
「時給だからもっと安かったかな」

その後、あるスピリチュアルセミナーに行ったときに主催者が
「私は悟った。誰もが悟れる道がある」
と言っていたそうだ。

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私ならもしそんな人がいたら、避けるんだけどなぁ・・・・。起業から悟りとずいぶん目的が変わる。

「悟りたかったのでしょうか?」
悟りたかったっていうか、居場所が欲しかったんです
「居場所って前もいってたけどどういうこと?」
私は他人から認められないと自分には生きている価値がないと思っていたんですよ」
「認められたいのは分かるんですけど?なぜ?」

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いろいろ質問させていただいてようやく回答がでました。

スピリチュアル系のセミナーだと女性の方も多くてパソコンが苦手な人が多くて『佐藤さんのおかげで助かった』といわれて頼られると嬉しかったんです」

フリーター時代はよくも悪くも収入が少ないためにセミナーから遠のいていたのが、SEで働き始めて収入が安定してきてから佐藤さんはまたセミナーに課金しだす

もう、中毒です!どんなセミナーに参加してきたのかお聞きしました。

「星の読み方を習う星座占いに行きました。12回コースだったよ」
「それは何のために行ったの?」
天命が分かるよっていわれて」
「へ?天命?」
「スピリチュアルをやっていると自分が何のために生まれてきたか知りたくなるんですよ」

なんだかそれって、どんどん悩みを作りだしているだけじゃないのだろうか。

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使命とか天命があるとしても、それって自分で決めればいいだけじゃないのだろうか?私は取材しているという立場をうっかり忘れてしまいそうになる。

ズレてる・・・・。そして怖い。

「天命を探しているセミナーに参加したとか同僚や友達に言ったことはありますか?」
会社の人とは話さないから。セミナー以外で友だちを作ろうと思ったことがない
「え!」

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そういうセミナーって仲良しがお膳立てされているだけでじゃないのだろうか。

そういうセミナーは最初に講師が「相手を肯定しましょうね」とルールを説明する。現実離れした100%受け入れてくれる人だけの「ポジティブ人間の牧場」みたいなとろ、居心地はいいと思うのだけれどそれは非日常であって自分の居場所ではないと思う。

セミナージプシー、スピリチュアル依存者がブス・不細工だらけの理由

佐藤さんは今も1万円以下のセミナーならちょっと興味があれば参加するらしい。あちこちのセミナーにレジャー感覚で参加しているそうだ。そのお金でヨレヨレの服を捨ててもう少しましな身なりになれば扱われ方変わると思うのだけれど。

「そのお金でちゃんとしたジャケットでも買った方がいいと思うんだけど、
外見で人を判断する人ってどう思いますか?」

外見で人を判断する人は、人の内面を見ないから損をしていると思います

セミナージプシー迷言

オシャレになれとかイケメンになれというわけじゃなく、躾レベルのことをやろうといいたいんだけれどね。

「中身を評価してもらえるように、外見を整えると評価上がると思うのですが」
「そういうひともいるんすね」

男性というのもあるのかもしれないが、佐藤さんには全く響く様子はない。セミナージプシー、スピリチュアルジプシーが不細工だらけなのはこういう考え方だからではないのでしょうか。

弱者が弱者を食う情報商材ビジネスの世界

昨年、情報商材の起業セミナーに参加したそうだ。参加の決め手は「一生涯保証」がついていたからだそう。

よくそれを信じましたね…。ヤマダ電機の5年保証だってすごいことなのに、
一生保証なんてうたった時点で怪しいと思わないのだろうか。

「なんでそこに入ったの?」

「きちんとしているな、実績もあるなって思った。モチベーション管理から技術的なことまで教えてくれるから。情報商材で月商50万円超えている人もいるって」

「それだって毎月じゃなくて1か月だけかもしれないし、経費を30万かけて50万円の売り上げを作っているのかもしれないよ」

「まぁそうだけど、うまくいくために努力はするよ」

「何の情報商材を作るの?」

パワハラでうつ病になった人向けに、自分で自分を癒すことができるヒーリングの情報商材を低価格で作りたい」

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「ちなみにお値段はいくら?」

「19,800円」

「高い!あのうつ病の人だって、医者に行くとかいろんな手段があってライバルとか競合が多くてその中から選ぶわけだけど、佐藤さんの商材のウリってなんですか?」

「これまで学んでいることです」

「学ぶっていっても、医師の国家資格とかじゃなくて、お金出せばとれるような資格だと思うのですが‥‥?知識と学んでることって別だと思うよ」

「うん。知識があって行動がないと学ぶとはいえないよね」

なんだかかみ合わない気もするのだけれども。

洗脳され自分は騙されていないと思い込む

「セミナージプシーの人に言いたいことってありますか?」

「う~ん、借金してまで行っているなら抜け出してほしい

「そりゃ、そうですよね。今の情報商材のセミナーはいくらだったんですか?」

30万くらいで、これは実は借金っていうか、カードのリボ払いです」

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「はっ!!借金してるじゃん!!カード会社のSEなさっていたら、リボ払いで誰が得する仕組みかご存じだと思うんですけど」

カード会社を儲けさせるためですよね

「わかってるじゃん!」

飄々と答えるから怖い。自分だけは大丈夫と思っているのだろうか?

「あと返済は何回残ってるの?」

「確認すればわかるけど。18回かな」

その一生涯保証を唄う情報商材のコンサル企業「シュガームーンシティー」の名前を検索してみました。

情報商材を扱う会社のようだが、2015年の時点でホームページは2年前から更新が止まっていました。

調べるとすぐに
「シュガームーンシティーは詐欺?」
「シュガームーンシティーって会社は大丈夫ですか?」
「シュガームーンシティー詐欺相談窓口」
「シュガームーンシティーのDVD324,000円買った人いますか?」
とその企業名と勧誘を受けた人の書き込みがたくさん出てきました。
 
佐藤さんににこれを伝えたら、

「それ、確認してますよ。そこを気にしていたら何もできないです。行動しなければ変わらないのは重々承知しています。批判する人の多くは行動せずに失敗して不満をネットに書き込んでいるだけじゃないでしょうか?」

と返信に書いてありました。もう、なにもいうまい。自分を正当化しようとして必死なのか、これが洗脳ということなのか。

いろいろ考えることが多い取材でした。私が取材記事を佐藤さん本人に確認して掲載許可をもらいました。

「自分を客観的に見る機会になりました」

とあったのだが、その後、しばらくしてフェイスブックの友達を外されてました。

ふと、佐藤さんが何をやっているか気になり名前で検索してみたらスピリチュアルセミナーで知り合った女性と結婚されたそうです。それはめでたいことだと思う。

今は年齢=彼女いない歴からソウルメイトを引き寄せた実績をウリにして恋愛相談をやっているようです。


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