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実習先の森の幼稚園で行う自分の教育スタイルについて

今日の実習で上司のフローリアンから褒められたので、備忘録として記載。



自分の信念


元々、自分の教育信念としては、

みたいなことを考えている。

もちろん、遊んでいる子ども達の所に行って、「一緒に遊ぼうぜ~!」と入ったりはしない。

自分の意図としては、「子ども達から求められる存在である」ってのが大事かなと思っている。なので、子ども達の方から「キーくん、遊ぼう!」と声をかけられたら、全力で対応すべきだと考えている。その「全力」というのが、「共に楽しむ」であったり「自分も愉快に楽しく遊び得る」であったりということなのである。

自分は元々サッカーと長距離をやっていたので、体を動かすのは自分の長所である。これらを活用しない手はない。

また、自分は外国人なので、コンプレックスというか、子ども達と関係性を築くなら「遊び」が確実と考えている節がある。日本語で通じ合えるなら、言葉のコミュニケーションだけでも、ちゃんとした関係が築けると思うが、外国語だとそこまで上手くはいかない。なので、子ども達と遊ぶことによってコミュニケーションを図るのである。遊びを通じて自分を出す、喜怒哀楽を表現することによって、子ども達に自分のことを知ってもらって、関係性を築くのである。

そのやり方が功を奏して、実習を始めて1週間経った時には、フローリアンから「関係作りのモンスター」と言ってもらった。

また、入園してずっとお父さんに付きっ切りだった子どもが初めて仲よくなったのは自分である。

その子どもに対して他の先生達が何もしてないという訳ではないことは理解している。先生達はその子どもが自らその先生達の元へ来るのを待っていたということは、近くで見ていて理解出来た。

ただ自分は上記の記事で書いたように、ひょんなことをきっかけに、その子との関係性を深めたのである。

その記事を書いてから数日後にちょっとした事件が起きた。

遊び場に向かう途中に、その子どもがミミズを見つけた。するとその子は手に取って、真っ先に自分に見せてきたのである。その子の周りに他の先生がいたにもかかわらずである。

それはつまり、その子にとっての信頼出来る大人が自分であるということを意味している。

その様子を見ていたフローリアンが、それをきっかけに“テコ入れ”してきたのである。

フローリアン曰く、実習生という立場なので、他の先生を差し置いて信頼関係を持つのは良くないとのこと。

良くないのは自分でも理解はしていた。だけど、こういう状況になったのは、他の先生方がその子どもとのコミュニケーションをただ「待つ」しかしなかった結果である。

なので、内心では「実習生の自分に先を越されてどうすんねん」とは思っていた。自分はその子が入園して1ヶ月後に関係性を深める出来事を起こした。他の先生達は、1ヶ月という膨大な時間のチャンスがあったのに、待っただけで、みすみす見逃していたと自分の目には映る。なぜなら、その子どもは自分勝手な行動をしてグループの規律を乱していたので、腫れ物には触れないが如く、誰も相手をしようとしていなかったからである。その子どもが何処かへ行っても、付き添いのお父さんに任せきりだった。

だけど、何はともあれ、良くないとは言われたが、自分としては良かったと思っている。実習生という立場ということでダメということであれば、自分がちゃんとした先生になった時は、この関係作りは武器になるから。

しかもそれきっかけで、他の先生方がその子に積極的にコミュニケーションするようになった。その子どもが何処かへ行っても、他の先生が声をかけに行くようになった。円になってご飯を食べる時は、その子の近くに大人がいるようになった。

その子に必要なのは、いつも付きっ切りのお父さんではなくて、そのお父さんに代わる新たな信頼出来る大人である。そういう存在がいるからこそ、幼稚園での生活に慣れていけるというものである。自分はそう思う。

そのミミズ事件をきっかけに、お父さんが付きっ切りというのはなくなった。第1フェーズ突破である。実習生という立場であるが、自分という大人と関係性をその子は持てたので、それ以降はお父さんと離れる時間を少しずつ増やしていった。そして、自分はその子どもとあんまり遊ばないように意識した。

「幼稚園は子ども同士が遊ぶ場を提供する場所である」


この記事で登場したフローリアンの教育信念である👆

今日の実習で色々と話したが、自身のこれまでの経験を元にして、その考えに至ったらしい。

自分としては、その信念を否定するつもりは全く無いので、フローリアンから頂いたアドバイスには素直に従って、そこで得た結果を自分の血肉にしていきたいと考えている。

先週の木曜日に、その子どもの事件をきっかけに、自分の子ども達に対する関わり方についてフローリアンと話し合った。

その時の結論として、

・午前中は所属するグループの子ども達を中心に関わる
・昼からは、残ってる子ども達と関わる
・特定の子ども達と深い関係を持つのではなくて、なるべく全員の子ども達と同じ深さの関係を築くように関わる

とのことを言われた。

それまでは、漠然と「子ども達と関わり過ぎじゃない?」とか「関わると関わらないの中間辺りで!」とか言われて、『そんなん知るかよ!子ども達から求められる内が花なんだよ!』とか『中間辺りってなんだよ、知るか!』と内心思ってたのだが(笑)、その話し合いでやるべきことをお互いが明確に言語化することが出来たので良かったなと思う。

で、昨日の実習の時に、フローリアンの言ったことを実践する為に自分は子ども達から敢えて離れた場所にいて、子ども達を観察することに徹していたのだが、その様子をフローリアンが見ていたらしく、

今日の実習で遊び場について、一通りの準備をしてからトイレに行って帰ってきた時に、フローリアンが声をかけてきてくれた。

で、言われたのが、

①子ども達全員が見える位置に立つ
②誰と誰が遊んでいるかを把握
③1人でいる子どもがいたら、その子どもの元へ行き、一緒に遊ぶ。
④他の子ども達が来たら一緒に遊んで、グループとして良い関係性が築けたら、キーくんが良い感じでフェードアウトして、子ども達同士で遊ばせる。
⑤そのグループの遊びが上手くいかなかったら、またグループに戻って“刺激剤”として役割を果たす

ということで、これを仕事のスタイルとして頑張って欲しいとのことだった。まぁ、これなら、自分の長所である「子どもと上手に遊べること」を活かせるし、フローリアンの教育信念に合致するように貢献できるから、結構良い案だなと感じている。

話しは前後するが、遊び場に着いた時に、ある子どもから「鬼ごっこしよう!」と熱烈なラブコールを受けていた。その時に、「君が僕と鬼ごっこして遊びたいという気持ちは理解しているよ。だけど、今は色々と準備しないといけないから、一緒に遊べないんだ。他の子ども達と鬼ごっこしたり、本読んだりするのはどう?」と提案したら、その子は絵本を読み始めた。

(ここの会話ではこのテクニック👇を使ってます!子ども達の反応が全然違うことに驚き!頭ごなしに「ダメ!」とか「ムリ!」って言われたら気分が悪いですよね。だけど、自分の気持ちを分かってくれた上で、断ってるということが子どもに伝われば、子どもは素直に言うことを聞いてくれることが格段に増えた!!!)

で、トイレから戻って来てフローリアンと話してる時にその子がもう一度来て「鬼ごっこしたい」と。その時に、フローリアンが「キーくんと話す用事があるから無理。」と断る。そしたらその子は、他の子と楽しく遊び始めました。

まぁ、その楽しく遊んでる姿を見て、求められても絶対にそれに応えないといけないわけではないなということを学んだ。あと、そうやって、他の子と遊べる子どもに関わるよりも、いつも1人でいる子どもや遊びが上手くいってないグループに関わるのが先生としては正解だと思った。

ラファエルと遊ぶ


フローリアンから5つの指令を貰った後、それらをフローリアンと一緒に実際にやってみることになった。

周りを見渡すと、子ども達は各場所に散らばって、遊びグループを形成している。

その中で、ラファエルが1人で立っていた。ラファエルは今年の夏に小学校へ上がるのだが、静かめの子どもである。殆どの時間を1人で過ごしている。

フローリアンに「ラファエルに狙いを定めるわ」と言って、ラファエルの元に近づいた。

ラファエルとは初めて遊んで以来、自分はちょくちょく遊んでいた。お別れの時には、こちらにわざわざ手を振ってくれる位の関係性ではある。


ラファエルは木の棒を持っていた。木の棒について質問すると、遊び場へ向かう途中で見つけたらしい。自分も木の棒を手に取り、それを投げた。

ラファエルは以前、自分が木の棒を地面に突き刺して、離れたところから石を投げて当てるという遊びをある子どもとしていた時に、ラファエルが珍しく近づいてきて、一緒に遊んだという経験があった。

なので、木の棒を投げる遊びへ促そうと自分は投げたのだが、ラファエルが持ってる木の棒は彼自身にとっては大切なものらしく、投げたがらない様子。終いには、自分に背中を向けて、ボーッと他の子ども達が遊んでいる様子を見ている。

「投げる遊びの気分じゃないか…」と一時退散して、フローリアンの元へ。他の子ども達を一緒に観察した。

朝食が始まる10分前位にもう一度ラファエルの元へ。ラファエルは以前、昼の時間にめちゃくちゃ深い穴(50cm位?)を掘ったことがある。それを思い出したので、今度は木の棒を持って、穴掘りを始めた。すると、ラファエルはそれを見て、「一緒にやる」と言って、一緒に穴を掘った✌️

作戦大成功✌️✌️✌️

朝食を食べ終わったら、また穴掘りで遊んだ。そしたら、エマがやってきた。

エマは3歳で、まだグループ遊びは難しいかなって感じ。ラファエルと同様に1人でいる時間は結構多め。結構自分が話し相手になっていて、他の先生よりも信頼関係が築けてる。円を作る時やご飯を食べる時は大体隣に来る。

ラファエルと穴掘りしながら、エマとも会話。エマにも穴掘りを勧めて、一緒に穴掘りをした。そしたら、ミミズが何度も出て来て、その度にエマが「私はミミズを助けるの!」って言って、ミミズを別の場所に埋め返してた。

そうやって、2人がグループとして穴掘りをしっかりと出来始めた頃に、自分はこっそりと抜けてフローリアンの元へ。そしたらフローリアンが一連の様子をドキュメンテーションしてくれていたらしく、その文章を読ませてもらった。

で、これまでにエマとラファエルというコンビは無かったし、ボーッとしてることの多い2人を遊びに誘えたということで、結構褒められた…

で、その後はなんやかんやあって、フローリアンが先に休憩に入る。(書いてあること以外にも色々と細かいことはあったけど省略。細かいことがあったという事実だけ記載。)

自分が休憩に入る頃に、休憩終わりのフローリアンとばったり道で会った。その時にフローリアンから「Heute haben wir gut gearbeitet!(俺ら今日は良い仕事をしたな!)」と声をかけられたので、「フローリアンのアドバイスのおかげだよ!」と返してた。で、お互いグーパンチして健闘を称え合った!笑


フローリアンの信念である「幼稚園は子ども同士が遊ぶ場を提供する場所である」には賛成なので、

まぁ、子どもと遊ぶ時は自分の信念通り、「自分が楽しむ!」という気概を持って望むのは今後も変わらないが、なるべく1人の子どもや遊びが上手くいってないグループに顔を出して、良い方向に導けるようにこれから頑張っていきたい。

(蛇足だけど、他の先生方はそれぞれのやり方で子ども達に接している。自分が実習生であり、直属の上司としてフローリアンがいるので、面倒を見て頂いているという形。色々とアドバイスを頂けるのは、有り難いという気持ちしかない。)


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