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慣らし期間の子どもとめっちゃ遊べたので、今日の仕事の出来はかなり良かった!

上の画像はイメージですけど、こういう場面は何回かあった…笑

今日の仕事ぶりは結構良かったです。他の先生からも褒めてもらったので、何とかお役に立てて良かったなと思いました。

慣らし保育を始めて2カ月くらい経つ3歳のNくんがいます。園に通い始めてからずっと、付添いで来ているお父さんにべったりくっ付いていて、まだ園には慣れていない様子。何をするにも「お父さんと!」と言い、皆で行動する時は自由奔放に動いちゃう段階です。

N君は自分がいるグループとは別グループなので、常日頃から接しているわけではありませんでした。合同グループで活動する際はもちろん一緒になりますが、お父さんにべったりだし、N君と関係性を築くのは担当グループの先生が良いだろうと思って、自分は他の子ども達を相手していました。

1カ月前くらいにN君と少し距離が縮まった出来事がありました。遊び場所に早めに着いたのが僕とN君とN君のお父さんでした。他の人達が到着するまで待っている間に、何かコミュニケーションを取ろうと思って、周りに落ちていた葉っぱを集めてN君に見せました。するとN君は僕の手のひらに乗っているたくさんの葉っぱに向かって息を吹きかけたのです。

息を吹きかけられた葉っぱはパラパラと地面に落ちていきました。1回で全部を落としきれなかったので、その後2,3回吹いて全部の葉っぱを落としました。それがN君的には楽しかったみたいで、自分がもう一回葉っぱを集めてN君に見せると、また息を吹きかけて葉っぱを落とそうとしてきます。N君が葉っぱを吹き落とし終わったら、「N君凄いな!めっちゃ強い風じゃん!」とか「誕生日ケーキみたいな感じじゃん!」とか言ったりすると、N君が結構喜んでる感じだったので、他の人達が全員到着するまで十数回は繰り返しました…笑

で、皆が到着したら遊び場所に入っていつもの自由遊びを行うのですが、そこからはもういつも通りお父さんにべったりだったし、朝食の時間も「家に帰る」って言って急に立ち上がったりするって感じでした。

そこから約1カ月経っての今日です。今日の朝ごはんではお父さんが絵本を持ってきていて、N君に読み聞かせしながら食べさせるスタイルを取っていたので、まぁまぁ落ち着いた感じでした。で、朝食が終わって自由に遊んでる子ども達を見ていたら、N君のお父さんが先生とお話していて、N君がお父さんから離れて一人で歩いているのです。遊び場に向かう時に見つけた長い木の枝を手に持ちながら。

別に何の考えも持たずにフラッとN君の方に行きました。その時に、Aちゃんが自分の所に来て「鬼ごっこしよう」って言うので、Aちゃんと鬼ごっこをすることに。その場所ってのが、真ん中が深い穴になっていて、その縁を周回することが出来るんですよね(円錐を裏返した場所みたいな感じ)。Aちゃんに追いかけながらその縁を走っているとN君がいたので、「N君、その枝って踏切だよね。鬼から逃げなきゃいけないから通してよ!」って言って、N君に枝を上げてもらって、そこを通ることに。で、また1周した時にN君に同じことを言って通してもらう。こうすると、N君も楽しくなって、自分が来るのを待ち構えています。そしたらもうこっちのもんです。笑

Aちゃんが鬼ごっこに満足して、別の遊び場所に行った時に、ふと1カ月前の出来事を急に思い出したので、そばにある葉っぱを集めてN君に見せると、再び息を吹きかけて葉っぱを飛ばそうとしてきました。ちょうど朝に軽く雨が降っていて、少し葉っぱが湿っていたので息を吹きかけても落ちにくかったのですが、息を吹きかけている時に自分が少し手を揺らすことで、息で落ちたと思わせるような感じにして、キャッキャッと楽しんでいました。

その遊びを見ていて近づいてきたのがE君。E君も3歳で、まだみんなと遊ぶのは難しいって感じのタイプ。だけど近づいてきたのでこれはチャンスだと思って、「葉っぱを投げる」作戦に変更。葉っぱを上に投げて雨みたいに降らせて、N君とE君にかかるように仕向けました。葉っぱが濡れていたので上に投げてもあんまりバラバラにならなかったのですが、塊が頭の上に落ちることで重みを感じられるのが楽しかったらしく、3人で仲良く遊ぶことが出来ました。

で、自分がたくさんはっぱを集めている姿をN君が真似しだして、両手いっぱいに葉っぱを持ち出しました。E君と自分はそれを手伝うみたいな感じでN君に葉っぱを渡していると、「もう要らない!」って言いたげな感じでN君が木の後ろに隠れてしまったんですよね。

*注:N君はまだ「パパ」、「ママ」ぐらいしか話せない感じなのです。他は色々と話してはいるのだが、全然ドイツ語じゃないので、察してコミュニケーションしていくしかない。

自分は木の後ろに隠れているN君をビックリさせようと思って、N君が隠れている反対側に立って、急に横から顔を出して「N君!」って言ってビックリさせました。すると、この行為がN君にピッタリとハマったらしく、また別の木の後ろに行って隠れるのです。なので自分はまた反対がに立って、今度は別の方向から顔を出して「N君!」と言ったら、N君はビックリしながらも笑顔で大喜び。そこからもう何十回とその行為の繰り返しです。笑


遊び場の範囲内にある木はほとんど使ったと思います。時々、遊び場の境界線を越えた所にある木の後ろにN君が隠れようとするので、「ここが境界だから、別の木に隠れようね」って誘導しながら遊びを続けました。遊びの最中にN君のお父さんに目を向けると、先生との話は終っていてこちらを見ていました。笑

N君と自分が遊んでいるのを見て、Aちゃん(5歳)が「一緒にやりたい」って近づいてきて、一緒に遊びました。N君が隠れているところに、自分が左から、Aちゃんが右から顔を出してびっくりさせるんですけど、N君は毎回僕の方を見てから笑って、次の木の所へ行くんですよね。

倉橋惣三の著書「幼稚園雑草」の一節に、

子供たちは要求しているのだ。私を要求しているのだ。私からではない。私をだ。私からお噺を聞きたいばかりじゃない。お噺を私から聞きたがっているのだ。私と遊びたいのだ。

幼稚園雑草(上)p138~139

ていう文章がありますが、まさにその通りなんですよね。Aちゃんのビックリではなくて自分のビックリを求めているというか。なので、Aちゃんは途中でリタイア。N君と二人で遊びを続けました。

ビックリさせるのにもコツはあるんです。例えば、「1,2,3」って数えて、3のところで顔を出すんです。数を数えることによって、N君に「来るぞ、来るぞ」っていう緊張感を与えることが出来ます。それを数回繰り返して、それに慣らせた後は、「1,2、‥‥3」みたいに2と3の間にタメを作って、「まだかな?」ってN君に思わせた所でびっくりさせるというバリエーションもあり。N君が木の後ろに隠れていたとしてもこちらを見ながら隠れているので、どっちを向いているかバレバレなんですよね。なので、最初は顔が向いている方向とは逆の方から声をかけてビックリさせて、たまに顔が向いている方向にわざと行って、「うわ、N君!こっちを見てたん!」みたいにコッチがビックリするみたいな芝居を入れたりして、『変化』や『緩急』をつけながら、N君が飽きずに没頭できるような環境を作っていきます。


で、N君がいきなり「パパ~」と言い出して、お父さんの元へ。いったん遊びが落ち着いて、またいつものN君みたくお父さんべったりモードになるのかなと思ってたら、「キーくん」ってN君に呼ばれたので、N君の元へ。で、N君は木の後ろに隠れる。どうやら、お父さんと僕とでびっくりさせて欲しいのだと直感。お父さんに「自分は左から行きますので、お父さんは右からお願いします」って小声で打合せして、「1,2,3」でびっくりさせるとN君は満足げに笑いました。笑

で、また他の木の後ろに隠れだして、お父さんから「あとはよろしく」って頼まれて、引き続き自分がビックリさせる役を引き受けました。

N君と遊んでる最中に色んな子ども達が集まってきて、この遊び☟をせがんできたので、

対応してたら、N君も「やりたい!」みたいな感じで来たから回しました。で、もちろん「もう1回!」みたいな感じにN君はなるんですけど、もうそこには5人くらいの子どもが列をなしてたので、「後ろに行って、順番を守ろうね」と言っても、まだN君には理解が出来ない様子。押し問答してても時間がもったいないので、特別にN君をもう一回回してから次の子どもを対応していると、N君は近くの木に隠れて、びっくりさせられるのを待っている様子。笑

並んでいる子ども達とは既に関係性は築けていたし、N君とは初めてこんなに長く遊んで、関係性を作れる大チャンスだったので、並んでる子ども達をちゃっちゃと済ませて、N君の元に行きました。で、「1,2,3」でびっくりさせたところで、終わりの合図。

皆で円になって、歌を歌ったり、ゲームをしたりする終わりの会の時間です。円になる時にみんなで手を繋ぐのですが、これまでN君はいつもお父さんの側にいて他の人とは手を繋ごうとしなかったけれど、今日は「パパ!」、「キーくん!」と言って、お父さんと自分の間に入って手を繋ぎました。

終わりの会が終わって、いつもの場所に戻ったところで、N君はお父さんと一緒に帰路へ。自分はちょこっと用事を済ませてから、他の先生から「30分休憩していいよ」と言われたので、近くのスーパーへ。そしたら、先に出発していたN君とお父さんに追いついたので、「さようなら」と声をかけるとお父さんが満面の笑みで「Nは今日で君のファンになったよ!」って言ってくれました。笑

N君はそれまでほとんどお父さんとしか遊んでいなかったので、初めて長期間他の人と遊んだって形です。昼休憩が終わって午後の保育をしてる時に、一緒にいた先生から、「午前中はN君とめっちゃくちゃ遊んでたね!凄いわ!」って褒めて頂きました。笑

個人的にはたまたまN君が一人になったところを見つけたのがきっかけで、あれよあれよと遊びに発展していっただけなので、タイミングが良かっただけだなと思ってます。3歳の子どもにはまだまだ集団遊びは難しいし、N君はお父さんにべったりな感じなので、早く他の大人と関係性を築いて自立できると良いので、その方向性に向けての大きな一歩になったかなと思います。

まぁ、大事なのは自分が楽しく遊ぶことだと思ってます。例えば、子ども達を回してる時って、子ども達はこっちの顔を見てくるんですよね。その時に無表情で回してたら、子どもだって楽しくないわけです。回してる時に、「おりゃ~!」とか「1,2,3」とか「重てぇ~!」とか「回れ~!」とか言いながら笑顔で接することで、子ども達も楽しんでくれると思ってます。


そうやって子ども達と楽しみながらも、倉橋惣三の著書「幼稚園雑草」に書かれているように、

子供の相手に欠くことの出来ないものは積極、大胆、長閑さと共に、細心と、深慮と、慎重とだ。子供といっしょに笑いながら、ふざけながら、おどけながらも、自分を自ら戒め慎みてみだるところのない一点の厳粛味、それのないものには子供は託せられない。(幼稚園雑草(上)p32)

その遊びに没頭せずに、子どもの反応を見て、それに合わせたリアクションを取ったり、遊んでる最中にN君のお父さんを見るなど周りの環境にも目を配ったりするという、「もう一人の冷めている自分」を保てるかどうかが、幼稚園の先生としての醍醐味だなと思ってます。

この「遊びに熱中する自分」と「もう一人の冷めている自分」を共存させることが出来たし、色んなタイミングが重なってN君と長い時間一緒に遊ぶことが出来たので、今日は結構良い仕事が出来たなって感じです。


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