ダールグレン
この短い文章の作成日付は2012年3月になっている。たしか大学生協が出した何かに書いた。紙上ビブリオバトルとか、そんなたぐいの企画だったんじゃないかな。よく覚えていない。「ダールグレン」がついに翻訳出版されてから、それほど時間が経ってない頃だったはずだ。ペーパーバックも訳書も書棚のどこかにはある。
「ダールグレン」については、まだ未訳の頃に古沢嘉通さん編集のファンジンに1ページのレビューを書いた。そのファンジンはSF大会でファンジン大賞の何かを受賞した。古沢さんの代理で何かを受け取ったように記憶している。その原稿もいずれ探し出したいけれども、どこにあるんだろうか。とりあえず、「ダールグレン」なら読んだことがあるよという証拠として、今発見したこの短文を公開する。もっとも、この程度の内容なら実際に読まなくても書けそうだから、実は読んでないのかもしれない。
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「ダールグレン」(サミュエル・R・ディレイニー)
かつて"Time enough for Dhalgren."とまで言われた長大で難解なSF小説。洋書でSFを読む人ならたいてい書棚にこの本のペーパーバックがあった。なぜなら、あまりに厚くて表紙絵がそのまま本の背にも印刷されていたからだ。かっこいい。「読んだの?」と尋ねられると「読めるわけない」と答えるしきたりになっていた。
あるとき、まだ大学生だった山形浩生が「ダルグレン(当時は伸ばさなかった)を読んだけど、つまらなかった」と言い放つのを聞いて、そうかダルグレンは普通の人にも読める小説なのかと思った。読めるのなら読んでみる、なぜならそこに山があるからだ。いや、実は今となっては、「ダールグレン」など厚くもなければ長くもない。洋書屋でペーパーバックの棚を覗いてみれば、「ダールグレン」の何倍もあろうかという本が並んでいる。時の流れとはそういうものだ。
僕はこの作品を原書で二度読んだ。翻訳は読んでいない。一生に三度も「ダールグレン」を読むほど人生は長くない。未読のあなたは、70年代SFが生んだメタフィクションの傑作を一読くらいしてみるべきだ。ちなみに、災害後の崩壊した都市を舞台にしたこの物語の筋は『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』とだいたい同じである。違うのは主人公がセックスしてばかりいるところで、相手は男だったり女だったりする・・・・のだったような気がする。違うかもしれない
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今日はOMNIAの"The Sheenearlahi Set"を
https://youtu.be/KKwVGqXM8u4
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