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現代の教養のための大学入試小論文 #1 ~読書の必要性~

ごきげんよう。小論ラボの菊池です。

今回から、大学入試の小論文の実際の過去問から、現代の教養のために重要なキーワード、そして課題文の要約を集めたものを連載していきたいと思います。

三日坊主なので、いつまで続くかわかりませんが、何か参考になれば幸いです。ちなみに、そこそこ長いときもあれば、短いときもありますので、あしからず。

今回は「読書の必要性」についての要約です。

「読書の必要性」

 読書は単なる趣味にとどまらず、言葉と密接にかかわっているものだ。物理次元の世界は変わらないのに、言葉ひとつでその人の世界像が覆ることがある。このように、私たちは一つの共通の世界に生きているのではなく、一人一人の内なる世界像を生きているにすぎない。自らの内なる言葉が作り出した世界像の上で生きていて、言葉の介在なしに世界を直に生きることはできない。言葉によって世界が書き換わるともいえる。読書は他者の世界像の塊に触れる機会でもあることは確かだ。この点において、読書には特別な意味を見出すことができる。

出題校
富山大学人文学部人文学科(後期)

出典
穂村弘「読書は必要?」(『朝日新聞』2017年4月16日「ひもとく 番外編」)

解説
 たとえば、地球について考えたときに、昔の人は「太陽や他の星は地球の周りをまわっている」と考えていました。それが、多くの研究により「地球が太陽の周りをまわっている」という認識に変わりました。これは物理的な地球と太陽との関係は変わっていないのに、研究を知ることによって認識が変わったことを表します。これは読書にも当てはまります。他者の言葉に触れること、すなわち「読書」は他者の世界を感じることでもあるのですね。

拙著もよろしくお願いいたします。それでは♨


皆さまのサポートで、古今東西の書物を読み、よりよい菊池になりたいと思っております。