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アフターコロナでルネサンスはやってくるのか?

 今日は真面目にコロナが終わった後に栄光はやってくるのか、文化的な復興があるのかという話をしたい。なぜなら僕たちは未来を生きていかないといけないからだ。

 1340年代にヨーロッパで大流行した黒死病は全世界で7000万人の命を奪った。その終わりにルネサンスという輝かしい時代がイタリアからやってくる。今売れてるカミュの「ペスト」はこの時の話。黒死病はイタリアのシシリー島で発生したわけだが、結局そのイタリアからダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロという化物級の天才が出てくる。ちなみに僕が最も好きなダンテは1320年代に確か死んでいるので黒死病の流行の前に死んだ。ルネサンスよりも神曲の方が価値があると僕は思っている。

 直接的に黒死病がルネサンスをもたらしたのかと言われると、これは風が吹けば桶屋が儲かるみたいな話で、僕は少しだけ疑問が残る。ダヴィンチだって黒死病が流行った100年後に生まれている。当時は大なり小なりペストが結構な頻度で発生していたので、ダヴィンチもペストについては重要な関心を抱いていたわけだけども。

 ペストの恐怖で人々は教会で免罪符を買って生き延びようとした。その収益で教皇はカトリック教会の総本山をミケランジェロとラファエロという二人の天才に装飾させようとする。と考えればペストと芸術は少し関係があるかもしれない。文化を作るには金がいる。結局、免罪符制度でルターが「免罪符なんて、まやかしだ!」とぶちぎれて人々のために宗教改革を唱えることになるのだけど、この流れは結構熱い。ルターは本物だと思う。

 黒死病がルネサンスのきっかけになったという歴史学者はわりといる。恐怖が続いた後に平穏が訪れたことや、気候が暖かくなったということもかなり影響していると分析している人もいる。

 どう考えてもコロナは黒死病までは人を殺さないだろうから、今の時代に劇的な変化をもたらさないと思う。人が死に過ぎて賃金が上がったとか、カトリックに対する懐疑心が起こるとか、封建制度が崩壊するとか、ルネサンス前夜みたいに大きく社会制度まで変えてはくれないだろう。

 しかし、日本で言えば在宅勤務が増えたり、オンライン会議が増えたり、人と接触をしない生活を余儀なくされている。これが人間的な生活なのかと言われれば答えに窮すが、少しだけ働き方やコミュニケーションの形が変わってきた。これがコロナ明けに何事もなかったかのように平常時に戻る可能性もある。結局、人とリアルで会いたいっていう欲求はさすがに消えないだろう。

 家の中で暇な時間を送る羽目になっていることの方が人々に変化をもたらすような気がしている。嫌でも考えてしまうからだ。そして、なんとなく生きている意味とかを考えてしまう人も出てくるだろう。そもそも人生なんて不要不急でやってるものだ。立ち止まって物事を考えることは大事だし、世界中に立ち止まる時間を与えてくれている。今ほど意志とか覚悟とかが問われている時もない。

 コロナで死ってものに直面し、僕たちはいずれか死ぬって事に気付かされる。自由とかはすぐになくなるし、やりたいこともやっておかないといつかできなくなる。そういうことを知った人たちがアフターコロナで日常の生活をしだした時なにが起こるのだろう。

 ルネサンスは再生や復活を意味するものだけど、アフターコロナで以前よりも僕たちや文化やより強固になれるのか。むしろ分断されてしまうのか。ペストがルネサンスをもたらすって考え方は危険。ただ、人々が思想哲学を求める気がしていて、それが「なんのために生きているのか」とか「幸せってなんだろうね」っていう問いを探すきっかけになる予感はしている。

 

 


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