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【事業者向け】シンプルに顧問弁護士は必要だよねという話②

顧問契約の必要性

前半、後半に分けた2つの記事のうち後半です。
今回の記事では、弁護士との顧問契約(法律顧問契約)の必要性・メリットについて書きます。

顧問契約のメリット

1. 継続的な関係に基づきアドバイスが可能

会社担当者が初対面の弁護士の元に相談に行った場合、名刺交換、会社紹介から始まり、事業内容を説明した後、ようやく会社の課題・問題の説明を開始するという流れになりますよね。
ビジネスに関して色々と説明しても、弁護士はビジネス感覚に乏しい傾向もあり、なかなか理解してもらえないこともあると思います。私も他の弁護士と共同で打ち合わせを行うこともこれまで多々ありましたが、特に、年配の弁護士が若い人から未知のビジネスについて説明を受ける光景は、SF映画における異星人との対話を想起させることもありました。
理解が早い弁護士であっても、業界の特殊な慣習会社の特殊事情を肌感覚として理解するには時間がかかるかもしれません。

社内で緊急事案が発生した場合、そこから初めて弁護士を探すのは一苦労です。苦労して見つけた弁護士に、一から上記の事情を説明してすぐに理解してもらうのはなおさら大変ですよね。そこまでしても「しっくりこない」弁護士だった場合や弁護士が依頼を受けてくれなかった場合は、再度新たに弁護士を探すところからスタートすることになります。
そんな事態を防ぐためには、会社の事情に詳しくて、関係構築済みのため早急に対応してくれる弁護士を確保しておくことが必要です。

また、緊急性のない案件を依頼したい場合も、「そこまで重要(緊急)じゃない案件を受けてもらうために、上記の事情をいちいち説明するのは面倒だな」ということになるので、この場合も顧問弁護士の存在は便利です。
なお、会社からすると、相性が良く能力も十分という弁護士を見つけるのはなかなか容易ではありません。そこで、相性の良い弁護士を見つけた後、日常で顧問業務をやってもらう過程で弁護士を会社好みに「育てる」という発想もありだと思います。

2. いつでも弁護士に相談できる安心感

法的トラブルをうまく解決することも重要ですが、そもそもトラブルが発生しないに越したことはありませんよね。
顧問弁護士は、会社担当者の日常の相談相手になれるので、トラブル発生の予防という観点においても有意義です。具体的には、顧問契約には無料相談枠がついていることが多いですし、顧問先の質問にはメール一本で答える弁護士も多いため、通常より法律相談へのハードルは下がります。

例えば、「法的問題かもよく分からないがちょっとした疑問がある」、「従業員が残業手当等の待遇に文句を言っているみたい」、「新たな契約書を作る(レビューする)必要がある」、「どうやら取引先から今後返金を要求されそう」等、「弁護士に有料法律相談をするための社内手続きを踏むのは面倒。もっと問題が大きくなってから相談すれば十分かな」という温度感の問題についても相談しやすいと思います。

このような早め早めの対応がトラブル発生の予防・早期解決につながるのです。

3.有事の際に直ちに対応可能

顧問弁護士がいる場合の初動の速さに関しては上記1でも述べました。ここでは、顧問弁護士がいない場合、適切な弁護士をタイムリーに探すのは難しいことをもう少し述べます。

まず、弁護士は人によって(所属事務所によって)得意分野が異なり、料金設定にも大きな開きがあります。

そんな中、インターネットで「○○分野に強い弁護士」を見つけて法律相談に赴いても、本当はさほど○○分野に強くないということもあります。
飲食店であれば食べログ等の口コミを参照することにより事前にある程度情報が集まるのですが弁護士についてはそうではありません。なお、google mapの法律事務所の口コミは、紛争の相手方になった人の私怨による低評価が多いため参考になりません。
○○分野の問題だと思っていたのは会社担当者の勘違いで、実は△△分野の問題だったということもあるでしょう。
また、インターネット検索で上位にヒットする法律事務所は、安くないお金を払ってweb集客に力を入れていることが多いです。そのような戦略自体を否定する気は全くありません。ただ、そこまでの広告費をかけていない事務所が大半なため、そちらと比べると弁護士費用が割高に感じるかもしれません。

もっと言えば、名門事務所はHPすらなかったり、HPに法律相談を受けるためのフォームを用意していないことも多いですね。「一見さんお断り」という事務所もあります。法律相談を受けてくれたからといって、その弁護士が事件を受任するとは限りません。ここは応召義務がある医者との違いです(原則として診断拒否はできない)。

ここまで書いたところで、弁護士の自分でもややこしい業界だなあと改めて感じます。ただ、適切な弁護士をタイムリーに探すのは難しいということはある程度伝わったのではないでしょうか。

4. その他のメリット

  • 顧問弁護士の存在で会社にハクがつく(会社HPにも顧問弁護士名を書ける)

  • 従業員による内部不正行為の予防(牽制)につながる

  • 一度言ってみたいセリフランキングがあれば上位に入るかもしれない「顧問弁護士に相談してやる!」というセリフが言える

  • 弁護士業界に関する知識が増える(意外と重要なこともあります)

顧問契約のデメリット

ここまで来たらデメリットも気になるところですね。
デメリットはシンプルで、①契約したものの弁護士に相談する機会がなかったのでお金の無駄だった、または②相性の良くない弁護士と契約してしまったという2点に尽きるのではないでしょうか。

①に関しては、多くの会社が懸念するところです。経済的な無駄の程度は、月額顧問料の高低と中途解約の可否にも左右されますね。掛け捨ての保険と同様に諦めるという発想もあり得ます。
顧問弁護士がうまく法律相談できるよう親切に誘導してくれていたならば、相談に適した機会が見つかっていたかもしれません。

②に関しては、契約前によく吟味することが重要です。また、1ヶ月前通知で解約可能等、中途解約が容易であれば、(サブスクサービスのように)合わなければすぐ解約するという方法が可能です。

読んだ後の次の一歩

ここまでお読みいただき自己の会社の状況と照らし合わせたならば、「顧問弁護士がいた方がいいかもなー」と思われる方もいると思います。
顧問契約に関する問い合わせは無料という事務所は多いですし、ネットで情報を集めようとしても限界がありますので、とりあえず何人かの弁護士と話してみて、その中から決める方法がオススメです。結局、人間ですので、相性含め話してみないと分からないことが多いです。
私としては、弁護士探しは婚活との共通点が多いと思っております。
雪花法律事務所でも顧問契約に関する問い合わせは無料で受け付けておりますので、是非ご一考を!

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