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椎間板ヘルニアについて

構造

腰椎は5個の椎骨で形成され、上からL1~5と略します。腰椎の椎体はより高重量を支える必要がり、その形状も大きくなっていきます(L3~4で最大となる)。椎弓も強大で、椎孔の形は三角形の形状をしています。

腰椎の横突起の先端部は「肋骨突起」と呼びます。腰部に残っている肋骨の痕跡を含んでいるため、長い形状をしているのが特徴です。

本来の横突起は「乳頭突起」と呼び、上関節突起の外側から後方に向かう、小さな隆起として残っています。肋骨突起の根部の後面には、下方に向かう「副突起」という小突起があります。これも、本来の横突起の一部が変形したものです。

腰椎の棘突起は幅が広く短い形状です。側方から見ると、四角形の板状でほぼ水平方向に、後方へ突出しています。骨粗鬆症における椎骨圧迫骨折など、障害も起こりやすい骨です。

成人では一般に脊髄はL1とL2の椎間のあたりで終わり、それ以下の髄腔内には末梢神経の集合した馬尾が存在しています。

腰椎は関節面の向きの関係上、回旋可動域が非常に狭い構造をしています。そのため、腰を捻る動作は腰椎にとって構造的なストレスがかかり、腰痛の原因となります。これが理由として、各回旋動作では腰椎を捻るのではなく、胸椎を捻ることを意識する必要性があるのです。



椎間板ヘルニア
椎体と椎体の間には椎間板が存在します。椎間板内部にあるゼラチン状の髄核であり、コラーゲンを豊富に含む線維輪などの一部が突出した状態。つまり、椎間板の内部の髄核が脊柱管内に脱出を起こした状態を「椎間板ヘルニア」と呼びます。

髄核は80%以上が水分で、非常に親水性が高いという特徴を持ちます。立位により圧迫荷重がかかる水分が逃げ、数時間の睡眠により、水分の再吸収され髄核の厚みが回復します。

十分な睡眠をとった朝と一日活動を終えた夜を比較すると、微妙に身長差が生じるのはこのためです。一方で、5週間ベッド上で安静な姿勢を維持した後に椎間板水分量を測った実験では、逆に水分が著しく低下していたいう調査も報告されています。また加齢によっても水分含有量は減少し、老齢期には幼少期の70%以下にまで低下します。

椎間板水分量は、下位腰椎(L4/5、L5/S1※)が最多で、次に下位頚椎が多く、胸椎はごく少量です。胸椎に少ないのは胸郭との位置関係により、椎体間の可動性が、頚椎や腰椎に比べ少ないためです。高齢になると、下位頚椎での可動性が減少し、ヘルニアも起こりにくくなるとされています。

※S=仙椎

腰椎下位椎間板ヘルニアの症状(一部仙椎)
椎間板ヘルニアによってL4/5(特にL5)の神経根圧迫により、下肢痛が生じます。具体的には、次のような症状です。

・腰、下肢の疼痛やしびれ
・腰、下肢に大きな浮腫みまで見られる
・足が上げられないほど重くなる
・関係神経の支配領域に感覚障害が起こる
・運動神経麻痺による筋力低下
・腓返りなどの痙攣を誘発
また、S2-5症状として、稀に排尿障害が起こることもあります。

腰椎上位椎間板ヘルニア
上位腰椎椎間板ヘルニアの場合、腰痛(L2障害に見られる)や股関節痛(L3障害などに多い)が起こり、それ以外の場所では、一般的に腰痛は起こらないとされています。

神経根走行の関係で、下位腰椎は上位腰椎に比べ、神経根症状を起こしやすい傾向にあります。特に腰椎椎間板ヘルニアの場合、片側の下肢痛が症状として多く見られますが、真後ろに突出したヘルニアの場合、両側で症状が見られることもあります。

若年性椎間板ヘルニア
若年性椎間板ヘルニアは、高齢者に比べて椎間板内圧が高いため、より強い症状を訴える傾向にあります。また、下肢挙上時の腰椎股関節伸展拘縮のように、該当部位の反応が強く表れることも多いです。

馬尾症状
巨大ヘルニアの場合、馬尾症状が出現することがあります。脊柱管狭窄症の馬尾神経型と類似した症状が見られ、神経根周囲の血流障害による間欠性跛行などが症例として一般的です。

椎間板ヘルニアの原因
1.日常生活での不良動作・姿勢
・長時間に渡る中腰での作業
・腰を強く捻る
・座位中心の生活

こうした腰部に局所的な負担をかけ続け行動を繰り返すと、椎間板が変形し椎間板の一部が飛び出し、神経を圧迫してしまいます。

2.骨密度の低下
椎間板は20歳を過ぎたころから、徐々に弾力性が失われていく傾向にあります。

同時に不規則な生活や偏食などにより骨密度が低下することで、少しの衝撃でも椎間板が変形しやすく、椎間板の一部が突出しやすくなります。

3.遺伝的な要因
遺伝により椎骨の配列が乱れていたり、骨密度が低下していたりする場合、変形や骨折のリスクが高まります。

椎間板ヘルニアの対処法
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