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読書note② 『華氏451度(新訳版)』

【タイトル】 華氏451度
【著者】   レイ・ブラッドベリ
【ツール】  audible
【読了日】  2022年11月

オススメ度 ♡♡♡


オーディブル の新作にあがっていたので何気なく読みだしたのですが、何気なく読んでいい本じゃなかった気がします。

人口が増えすぎて「命」が軽いものとなり、人々は思考を止めて快楽を貪ることのみに没頭するようになった時代。
本は忌むべきものとして葬り去られ、昇火士(ファイアマン)と呼ばれる男たちによって焼き尽くされるようになった世界の中で、必死にもがく人々を描いたストーリーです。

近未来を描いたものかなと思いきや、なんと1953年に書かれたSF小説
現代の常識からすると「?」が浮かぶ部分もあったのですが、それを知ってなるほどと思いました。

と同時に、この本で描かれている「思考を止めた一般の人々」の描写がゾッとするほど今の私たちのすぐ先の未来と重なり、いま読んでも新しい発見があって、50年以上も前の作品ということに驚かされます。

そしてなにより、全体を彩る詩的な表現の奥深さといったら!
それゆえに難解と思えることもあるのですが、物語の世界観にどっぷり浸かり始めると、その難解さが心地よく思えてくるから不思議です。

その中でも特に、香りの表現が素晴らしいんですよね。
私が香りに対してアンテナを張っているせいもありますが、無機質な世界から初めて「自然」を認識した時の情景や感覚を、香りの言葉で表現する箇所には鳥肌が立ちました。

そもそも、SFって久しぶりに読んだかも。
こういう小説も、たまにはいいですね。

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