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野球初心者も絶対見るべき6年越しのWBC!お楽しみポイントと裏話も教えます

みなさん「WBC」ワールドベースボールクラシックをご存知ですか?
今年3月8日から行われる、野球の国際大会です。
W杯サッカー日本代表が大活躍した流れで、メディアもますますスポーツ報道に力を入れ、年末年始に代表についてのニュースが目に入った方も多いのではないでしょうか。

普段は野球の「や」の字も感じさせない「くらしのふふふ」ですが、この機会にいろんな方に野球の、そしてWBCの魅力を知ってもらいたい!と編集部の野球オタク・あいたが気合を入れて執筆を志願しました!

世界一野球が強い国を決める大会、それがWBC

WBCは世界最高峰の野球リーグであるMLB(メジャーリーグ機構)が主体となって立ち上げた、世界野球ソフトボール連盟公認の野球世界一決定戦です。
WBCが発足するまで、MLBは国際大会への選手派遣に消極的でしたが、自らが企画した大会ともあり、第一線で活躍する旬のメジャーリーガーが多く参加しています。

そんなWBC、開催前の下馬評ではアメリカの優勝が予想されていましたが、第1回・2回大会は日本代表が優勝。

当時メジャーで大活躍していたイチローや、平成の怪物・松坂大輔を始め、日本球界のトップ選手が優勝に貢献しました。(ちなみに松坂大輔は1回大会のMVPにも選ばれ、WBCでの投球が評価されメジャーリーグに移籍を果たしています)
第3回大会は日本代表内定者の辞退が相次ぎ、初めてメジャーリーガー0人での出場となり、結果はベスト4。この大会ではドミニカ共和国が優勝しました。

第4回大会、準決勝の対アメリカまで全勝で勝ち進んできた日本でしたが、1-2で惜敗。そのままアメリカが優勝し、開催国の威厳を取り戻しました。

こうして2大会の間ベスト4止まりの日本代表。次こそは世界一奪還と意気込んでいた矢先、2020年に予定していた第5回大会が感染症拡大に伴い、延期に…。
6年越しとなった2023年、第5回大会がいよいよ開催されるのです!!

でも、ほんとは参加したくない?選手たちの本音…

野球のシーズンは3月末〜11月前半までと長く、試合数もレギュラーシーズンのみで143試合(参考までに、サッカーのJリーグは34試合)。プロの選手たちはこのシビアなシーズンに向けて万全の状態でスタートを切れるよう、オフシーズンも準備をします。

しかしWBCはシーズン直前の3月上旬に開幕するため、国際大会を戦って休む間もなく本シーズンに突入していくことになるのです。

選手にとってシーズンの成績は翌年以降の年俸やキャリアに影響するため、本シーズン直前のタイミングで大会にでるのは大きなリスク。
特に、日本プロ野球からメジャーリーグに移籍を果たしたばかりで、レギュラーに定着していない選手は、翌年以降の自身のキャリアが不透明なこともあり、参加表明が難しいのです。

加えてWBCの参加報酬は200万円ほど。優勝すればプラスのボーナスが加算されますが、トップクラスの選手にとってリスクに見合う金額ではないことは明白です。

もちろん選手だけでなく所属するチームの首脳陣も、活躍を期待している大切な選手がシーズンとは関係のないところで怪我をしたり、調子が上がらなくなってしまうことにいい顔はせず、参加を許可しない場合もあります。

そんな状況にWBCの運営側も毎大会ごとにルールをバージョンアップし、選手の負担減に注力しています。
例えば選手の負担を分散させるために、招集できる選手人数を28人から30人に増員したり、その内訳として投手は14人以上、捕手は2人以上の招集というルールが新たに定められました。

デメリットが多いように感じるWBCですが、ここでの活躍が今後の評価にもつながるパターンも。メジャースカウトが未知の選手たちの評価に目を光らせているので、今後メジャー挑戦が期待される若手選手にとっては高い評価を受ける絶好のチャンスになるはずです。

で、今回は?〜注目選手紹介〜

連日ニュースを賑わせている通り、メジャーで大活躍の大谷翔平をはじめ、日本人の年間ホームラン記録を更新した村上宗隆などビッグネームが参加を表明し、代表に選出されました。
これぞ、オールジャパンと言える、優勝を狙えるまたとないチャンスが到来しているのです!

本来であれば30人全員をくまなくご紹介したいところですが、走攻守+投それぞれの要となる選手をピックアップしました。

攻撃の要・すでにワールドクラスの大砲木寸ネ申様

村上宗隆(22)
背番号55
所属チーム:東京ヤクルトスワローズ

これまでの1シーズンのホームラン最多記録は、世界の王といわれるレジェンド・オブ・ベースボールの王貞治が24歳の時に樹立した55本でした。
彼はそれより2年も早い22歳で56本の新記録を樹立したのだから、すでに規格外の存在であることは明白!

そんな彼の動きで注目してほしいのが、確実にボールを捉えたときの「確信歩き」。
打った瞬間にホームランを確信し、ゆっくりと一塁ベースに向かって歩いていくのでそう呼ばれています。
(※通常のヒットの場合は守備するチームが走者にタッチする前に塁を回らなければいけないので、走る)

ちなみに、ベンチでは、誰よりも大きな声を出してチームを鼓舞するムードメーカー。黙々と準備をする孤高のスラッガータイプではなく、愛され大将タイプなのも彼のいいところ!

守備の要・これぞ守備職人の美技!

源田壮亮(29)
背番号6
所属チーム:埼玉西武ライオンズ

痛烈な打球が予想されるWBCでは、守備の力も超重要です。
攻撃だけではなく守備でも魅せる、源田選手の職人技ゲッツー(二人アウトにすること)は見ていて気持ちがいいほど。
難しい体勢から投げられたボールも、一塁の選手が構えたミットに吸い込まれていきます。
そんな源田選手の美技集はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=Q2-8dWXaI1E

投手も背後に信頼できる守備陣がいると心強いですね!
ちなみに源田選手は足も速いんです。初めて対戦する選手が多い国際大会で数少ないチャンスを得点につなげるにはヒット後の走りも大切。攻撃面でも期待できる選手です!

今回は先発だけ!?WBCでもみたかった二刀流の活躍

大谷翔平(28)
背番号16
所属チーム:ロサンゼルス・エンゼルス

ワールドクラスの怪物といえば彼。
160kmオーバーの速球を投げ、三振の山を築いたかと思えば、今度はホームランを量産。
彼の活躍は、普段野球を見ない方でも耳に入っていることでしょう。

そんな彼の経歴についてちょっと補足。
2018年シーズンにアメリカへ渡り、すっかりエンゼルスの顔として活躍しています。
ちなみにメジャーは日本の143試合のレギュラーシーズンより多い162試合!
アメリカでの生活を経て彼の肉体は、193cm/86kg→193cm/102kgまで増量を果たし、シュッとしていたベビーフェイスのかわいい大谷くんからがっちり鍛え抜かれた筋骨隆々のオオタニサン(メジャーの解説者がよくコメントで使う大谷選手の敬意を込めた呼び方)に成長しました。
長いメジャーのシーズンを投打で戦い切る体力を得た彼はまさに世界一流のトップ選手です。

今大会は所属するエンゼルスの監督からの要望もあり、先発投手としての起用が濃厚。打席に立つ大谷選手もみたかったのでこれは残念です。

嬉しいことにWBCでも大谷の二刀流が見れます!!メジャーリーグの大谷ルール(先発ピッチャーがマウンドを降りた後も指名打者として出場できる)も適応されるようで、フルで大谷選手の活躍が期待できそうです!

先発投手の柱・日本球界不動のエース

山本由伸(24)
背番号18
所属チーム:オリックス・バッファローズ

日本プロ野球で二年連続投手タイトル5冠、2年連続沢村賞の左腕。
防御率1点台、投手タイトル総ナメの超人的な記録を二年連続でやってのけたオリックスの大エースです。ストレートと5種類の変化球を使い分け、正確なコントロールで三振を取る彼の実力は本物。今大会も他国の猛者たち相手に、三振ショーを展開してくれるでしょう!

注目すべきは、しなやかなフォームから投げ出される伸びのあるストレート。キャッチャーのミットに吸い込まれるように真っ直ぐ伸びていくストレートボールは圧巻です。
正確なコントロールと、パ・リーグ最下位時代からオリックスを支えてきた精神力が実現する、揺るぎない投球でチームを鼓舞します!

WBC優勝を知る男

ダルビッシュ有(36)
背番号11
所属チーム:サンディエゴ・パドレス

WBC第2回大会で優勝したその瞬間、マウンドに立っていたのが若き日の彼。
今大会は2大会ぶりのカムバックです!
今やNPB93勝、MLB95勝の通算188勝を数える最年長のベテランとして、今回のチームの精神的支柱になることでしょう。
2月から始まったWBC代表合宿も初日から参加し、自ら声をかけ若手投手たちのフォームを見て指導する場面も見受けられました。

秘密はミットに!盗塁阻止のスペシャリスト

甲斐拓也(30)
背番号10
所属チーム:福岡ソフトバンクホークス

プロ野球には高校生、大学生、社会人などから次の年に入団する選手を選ぶ「ドラフト会議」があります。ドラフト会議では通常の指名とは別に、育成を目的とした「育成指名」があり、甲斐選手もこの育成指名で2010年にソフトバンクホークスへ入団しました。
育成に力をいれているソフトバンクは育成入団選手が他のチームのほぼ倍。その分競争率も高く、選手同士の切磋琢磨が加速し、狭き門(一軍登録)に向かって這い上がる根性が叩き上げられます。
甲斐選手もこの狭き門に向かって努力を重ね、2017年に一軍に定着。この年からソフトバンクは日本一を4連覇しました。

ベンチで度々覗いているノートには敵チーム打者の情報がびっしり書いてあり、研究熱心な一面が垣間見えます。こうした研究に基づいた配球と、盗塁を許さない「甲斐キャノン」で失点を防ぎます!

2020東京オリンピック金メダルチームの4番!

鈴木誠也(28)
背番号51
所属チーム:シカゴ・カブス

2020東京オリンピックでは4番も任された、走攻守揃った選手です。
広島カープのレギュラーに定着した2016年から2021年まで毎シーズン打率3割超え、25本塁打以上を維持。2022年からはシカゴ・カブスと5年総額8500万ドル(日本円で約104億円)の大型契約を果たし、怪我で1ヶ月の離脱はありましたが1年目からしっかり結果を残しました。

打席に立つ彼の鋭い目つきは強面ですが、広島カープ時代から「変顔」が有名。ベンチでもチームの緊張をほぐしてくれるはず。

ぶっちぎり韋駄天!

周東 佑京(27)
背番号9
所属チーム:福岡ソフトバンクホークス

日本が得意とする「スモールベースボール」になくてはならない「走り」のスペシャリスト。
最速の一塁到達タイムは脅威の3.5秒。ソフトバンクの公式HPに載っている50m走タイムはなんと5.7秒で日本記録と並びます。
彼の俊足を持ってすれば、一塁から本塁を狙うことも不可能ではありません!快足を飛ばす盗塁に注目です。

世界一を目指すチームを率いる総大将!

栗山英樹 監督 (61)
背番号89
元・日本ハムファイターズ監督

この豪華メンバーを束ね、目標を「世界一」と話すのがこの人、栗山英樹監督。代表監督に就任して以降、国内外で活躍する日本の選手たちの視察を行い、声がけをしてきました。

選手としては社会人からプロ野球界に入り通算7年間ヤクルトスワローズで活躍。病と戦いながらの選手生活で、長いとはいえない活動期間でしたが、ゴールデングローブ賞の受賞経験もあり、実力は確かです。その後はキャスターや解説として活躍する傍ら白鴎大学で教鞭をとり、2012年には日本ハムファイターズの監督としてプロ野球界に復帰しました。
2012年のドラフトでは大谷翔平を獲得。2021年に同チームを退任するまで10年間指揮を取り、その後すぐ、WBC日本代表監督に就任しました。

選手を活かすために協力を惜しまない彼のスタンスがよくわかるエピソードがあります。
大谷選手が高校三年生のとき。
大谷選手は当初、日本プロ野球でのプレーではなく高校卒業後すぐMLBへの挑戦を望んでいました。しかし、ドラフト会議で大谷選手を一位指名した日本ハム。
栗山監督と日本ハムの交渉陣が、大谷選手とご両親に向けて「二刀流プラン」のプレゼンを行い、見事理解を得て入団に漕ぎ着きました。

そう、大谷翔平二刀流の生みの親は栗山監督だったんです…!

信頼する栗山監督の元、大谷選手が日本代表として活躍する姿を見れるなんて胸が熱くなりますね。


立ちはだかる世界の好敵手たち

そんなオールジャパンに立ちはだかるのがメジャーリーグの猛者たち。
特にアメリカはオールメジャーリーガーで、その年俸を足していくと…なんと480億円という規格外のドリームチーム。
そして3回大会の覇者であるドミニカ共和国も、今年のメジャーリーグ優勝チームのアストロズから4人の投手を選出。アストロズからは野手も含めると5人の選出で、アメリカの2人を上回っているのが気になるところです。

しかし、この二大強敵と合間見える可能性があるのは一次ラウンド、準々決勝を経た準決勝から。
まずは一次ラウンドと二次ラウンドを突破することが第一条件となります。

日本、中国、韓国、オーストラリア、チェコが東京プールの顔ぶれです。
5チームが総当たりし、上位2チームが準々決勝ラウンドに進みます。

このプールで注意すべきは韓国。
お互いにライバル心が強く、毎回日韓戦は過激なやりとりが生まれることも。
そんな韓国代表のメジャーリーガーは3名。
数だけで見ると、日本は大谷、ダルビッシュ、鈴木、吉田、ヌートバーの5名が選出されているため戦力的には差があるように見えます。
また、打高投低(バッターのレベルが高く、ピッチャーのレベルが低い)と言われているのが韓国のプロリーグ。
攻略には投手陣の奮闘が鍵になりそうです。

さらに、準決勝で当たる可能性があるのはキューバ。
日本プロ野球でプレーする助っ人外国人勢が多く、日本の野球をよく知るという点で手強い敵になることは間違いないでしょう。


対戦相手だけじゃない!WBC攻略のポイント

WBCで注意すべきは対戦相手だけではありません。
最後にWBC攻略のポイントとなるキーワードをご紹介します。

WBC公式ボール
実は、普段扱っているNPBのボールとWBCのボールはサイズとボールの縫い目の高さが違います。

数ミリ、数グラムの違いでも、普段握っているボールより大きいため滑りやすいと感じたり、手に馴染まないのは言わずもがな。
しかもこのWBC公式球、メジャーリーグの公式球なんです!
メジャーの選手たちにとっては追い風ですが、日本の選手たちにとっては痛いハンデ。

2月から始まっている春季キャンプの練習でもWBC公式球を使ったり、少しでもボールの扱いに慣れるために準備を進めています。

投球数制限
WBCでは選手の負担を考慮し、投手の投球数制限が課せられています。
一次ラウンドは65球、二次ラウンドは80球、準決勝以降は95球と決まっているため、継投のタイミングが悩みどころ。
ちなみに通常、先発投手は1回投げると5〜6日休んで疲労をとってから登板します。

今回の一次リーグは4日間の連戦のため、単純に4人の先発投手と中継ぎ、リリーフの人員が必要です。そして投球数制限のため、先発投手がどんなにいい球を投げていても球数上限に達したら継投しなければなりません。

ポジション問題
今回日本代表は登録総数30人のうち半数の15人を投手が占めています。
手厚い投手層の一方で野手の層は削らなければならないのが悩みどころ。
現に今回の選出メンバーを見ると外野は4人で必要数プラス1人の枠取りです。

どうしても野手は攻撃力重視で選出するため、通常リーグで守っているポジション以外で出る可能性がでてきます。そういうイレギュラーに備えて、ポジション外の練習もしたり…選手の負担は計り知れないものがあります。
また、それだけ練習しても慣れないポジションでのエラーはつきもの。
試合中エラーがあっても暖かい声援をお願いします!

プレッシャー
普段からプレッシャーに晒されている彼らとはいえ日本代表を背負っているのだから、いつも以上のプレッシャーを感じていることは想像に難くありません。
そんな彼らを傷つけるのは、心無い中傷の言葉です。
SNSをしている選手も多いこのご時世、思いがけず本人まで中傷の言葉が届いてしまうこともあり得ます。二次ラウンドからはアメリカに飛び、アウェイでの試合になるので、せめて国内からは暖かい応援の言葉を送りたいですね!

日本代表の選手たちが100%近い実力を出せるよう、たくさんの声援を送ることが私たちにできることです。
開幕まであと少し、楽しみながらみんなで日本代表を応援しましょう!

text by あいた


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