全力で子育てした先にあるものは? 私が大切にした3つのこと
こんにちは。基弘会介護士の吉岡です。
わたしには、大学4年生と高校3年生の娘がいます。
やることいっぱいでてんてこまいの子育て期を過ぎ、もうすぐそれぞれにわたしの手を離れていこうとしています。(寂しい!)
今から16年前、3人で暮らし始めたときに心に決めたことは、「わたしにお父さんの役割はできないけれど、お母さん業を全力で頑張ろう」でした。
本当はばりばり働いてお父さんの役割もこなさないといけないんですが、器用なタイプではないので、どっちも中途半端になるよりはお母さんを頑張ろうと思ったんです。
そうはいっても、全然完璧ではなく抜けた母親でしたが、「ごはん」「読み聞かせ」「季節の行事」は大切にしてきました。そのときに参考にしていた本のご紹介と、子育てのエピソードを書かせていただきます。
よろしければ最後までお付き合いください。
ごはん「娘に贈るわたしのレシピ」 有元葉子
著者が嫁ぐ娘たちに贈るレシピ集。
和洋中の普段のおかずから、おもてなしにもできるお洒落なおつまみなどが、豊富な写真とともに掲載されています。
わたしは、結婚するまでずっと実家暮らしで、料理もお手伝い程度しかしたことがありませんでした。料理の得意な母や祖母の美味しいご飯を毎日食べていましたが、いざ自分で作るとなると、毎日3食の献立を考えてお買い物に行き、栄養バランスのとれた食事を作ることの大変さに驚愕しました。
今は、携帯でレシピを検索すればすぐに出てきますが、当時は(25年ぐらい前)インターネットは我が家にはありませんでした。
そのため、実家のごはんのレシピを母や祖母に教わったり、新聞の料理記事を切り抜いてスクラップしたものや、料理番組のレシピをメモしたものをみて毎日ごはんを作っていました。
この本は、結婚して1年後ぐらいでしょうか、お腹の中の子供が女の子だとわかった時に、わたしも娘に我が家のレシピを伝えられたらなと思い購入しました。娘たちには、よく本の中で食べたいメニューに名前入りで付箋を貼ってもらい、1週間の中で不公平がないように夕食の献立を考えていました。
あるときの母の日に、仕事から帰宅すると、当時中学生の長女がこの本を見ながら晩ご飯を作っていてくれたことがあり、とても嬉しく泣いてしまったのを今でも覚えています。
著者の有元葉子さんが、「親として、娘に教育らしいことはなにひとつしてこなかったけれど、ウチのおいしいご飯を食べさせるのが、わたしにできる親らしいこと」と本の中のエッセイで書かれていますが、本当にそうだなと激しく共感します。
学校や外の世界では辛いこともたくさんありますが、うちに帰ってきたら美味しい匂いがしてほっとできるご飯づくりをと毎日心掛けてきました。朝、行ってらっしゃいと送り出すときに、行ってきますの顔に元気がないなぁと感じたときは、それぞれの大好物を作っていました。
娘たちそれぞれの成長に伴い帰宅の遅い日も増えてきますし、わたし自身の夜勤や夜遅くまでの勤務で一緒に食卓を囲めない日も増えていきます。それでも、温めるだけですぐに食べられるようにご飯を準備したり、常備菜をたくさん冷蔵庫にストックしておくことで、ひとりで食べてもいつもの我が家の味でほっとできるようにと願いご飯を作ってきました。
そのおかげかはわかりませんが、娘たちは外食するよりうちでご飯が食べたいと言ってくれます。コンビニにもほとんど行きません。わたし自身はたまには外食してきてくれたら楽できるのになぁと思いますが(笑)。
我が家のレシピは、
わたしが実家から受け継いだレシピと、この本を見ながら試行錯誤して作り続けたレシピのミックスです。いつか娘たちがそれぞれに大事な人と家庭を持った時に、ひとつでも受け継いでくれたら嬉しいなぁと思います。
この本のレシピは簡単に日常的に作れるものばかりで、料理初心者の方だけでなく、ベテランの方の毎日の献立作りにも役立つと思います。もちろん男性も、大事な方にぜひ作ってあげてください!
読み聞かせ 「わすれられないおくりもの」 スーザン・バレイ
みんなから慕われていたアナグマは、年をとって死んでしまいました。死を悲しむ森の仲間が、アナグマが残してくれていったものを思い出していくことで、悲しみを乗り越えていく、死をテーマにした絵本です。
娘たちが幼いころは、寝る前に3冊ずつ絵本の読み聞かせをしていました。1日の終わりにお布団の中で、両サイドに娘たちがいて、キラキラした目で読み聞かせを聞いてくれるのは幸せではありますが、わたし自身は睡魔との戦いでもありました。もちろん絵本を読む前に力尽きて寝てしまう日もありますし、早く寝てほしい一心で、「ねないこだれだ」をわざと恐ろしく読み聞かせたりもしたものです(笑)。
次女が何歳のときかはっきりと覚えていませんが、この絵本を読み聞かせした時にぽろぽろと泣きました。まだ身近に死を経験していなかったこともあると思いますが、死=かわいそうだと悲しい気持ちになったようです。
次女はこの絵本を毎日読み聞かせに選んで持ってきました。繰り返し読むうちに、死は悲しいことばかりではなく、残されたひとたちに素敵な贈り物を残すことができるんだと幼いながらに理解できたようで、次女のお気に入りの一冊になりました。
この本の中では、死ぬことを「長いトンネルの向こうにいく」と表現されています。友情、知恵を受け継いでいくこと、悲しみを受け入れて素敵な思い出にすることなど、この本は人生のいろいろなことを教えてくれます。切ないけれど心がじんわりと温かくなる、子供だけでなく大人もハッとさせられる1冊です。
娘たちが大きくなり、沢山ある絵本を子育てセンターに寄付することにしましたが、次女がこの絵本だけは手元に置いておきたいといったので、今も我が家で大事にとってあります。
読み聞かせをしてきたことと関係があるかはわかりませんが、次女は小学校のときに、「スーホの白い馬」や「ごんぎつね」を泣きながら音読する感受性の豊かな子になりました。
本が好きで、図書委員や文化委員に所属し、沢山の本を借りてきては親子で一緒に読み、感想を言い合ったりしました。
長女は、高校生までは水泳に打ち込んでいたのですが、大学生になって時間に余裕ができると読書をするようになりました。はじめはわたしの本棚から読み漁っていましたが、今ではわたしが選ばないような本をたくさん購入して長女自身の本棚を充実させている最中です。大学の授業でパワーポイントやレポートをまとめるのがとても上手で文章力があります。
季節の行事 「大切にしたいにっぽんの暮らし」 さとうひろみ
気軽に楽しめる歳時記の入門書です。
歳時記とは、ひな祭り、七夕などの行事や、夏至・冬至といった四季折々の自然についてまとめたもののことです。簡単にいうと、和の暮らしのガイドブックといったところでしょうか。お正月から大晦日まで、12か月の日本の習慣や行事、旬の食材を使った料理などが、かわいいイラスト満載で紹介されています。
実家では、全盲でわたしを出産し愛情を注いでくれた母と、おおらかで初孫のわたしがかわいくてしかたない祖父母が、その季節を楽しみながら行事をとても大切にして暮らしていました。
例えばお正月。
12月に入ると、しめ飾りや門松の準備をし、お餅つきをして鏡餅やお雑煮用のお餅を作ります。年末からこつこつとおせち料理を1品ずつ作り、空のお重箱がだんだんと埋まっていくのを「お正月早く来ないかなぁ」とわくわくしながら心待ちにしていました。こっそりとつまみ食いしていましたが(笑)。
大晦日に除夜の鐘をききながら年越しそばを食べ、元旦はお屠蘇でお祝いしてからお節やお雑煮をお腹がはちきれるほど食べました。百人一種や羽子板、凧揚げ、それにお年玉!本当にお正月のフルコースを満喫していたと思います。
当たり前に思っていたことが、いざ自身でするとなると、忙しいを言い訳に簡略化することが増えていきました。
お雛様やクリスマスツリーもしまうのが面倒で出すのが億劫になったり…。
この本は、そんな自分への戒めもあり、四季折々の暮らしをあらためて娘たちに伝えたいなと思い、購入しました。
娘たちはおかゆが苦手なので、七草がゆではなく七草ペペロンチーノで無病息災を願ったり、節分の豆まきは、豆を放り投げて誰が1番最初に口に入るかを競ったり、どんなに忙しくても夏越の祓の茅の輪くぐりは必ず行くなど、我が家なりのやり方で、できる範囲で行事を大切に暮らしてきました。
もう少ししたら、我が家は冬至のゆず湯に使うゆずを、お出かけ先の道の駅などでこつこつと買い集めていきます。
冬至当日に向けて値段が高くなるのもありますが、ゆずの香りが部屋中に漂う中、その日を楽しみに待つのはとても贅沢な時間です。
当たり前の普通の毎日こそが、実は1番尊い!
実は、この春に体調を崩し、お医者さんから余命のある病気の疑いがあると告げられ、目の前が真っ暗になりました。娘たちに伝えるか迷いましたが、仕事もお休みをいただいて通院していたため、正直に現状を伝えました。
2人ともショックを受けていましたが、前向きにわたしを支えてくれました。
3か月ほど検査に時間がかかり心が晴れない毎日を過ごしていたので、命には影響がないとわかったときは本当に心の底からほっとしました。
娘たちには、心配した時間を返して!といじられましたが(笑)。
体調を崩したことで、当たり前の生活がいつまでも続く保証はないことを思い知らされ、何気ない毎日の幸せをしみじみと感じました。
仕事も、最大限に配慮をしていただいたので、復帰することができました。
以前こちらで記事を書かせていただいたベリーダンスを、つい最近再開しました。痛みなどもあり以前のようにはいきませんが、発表会に向けてのんびりマイペースに楽しんでいます。
次女は今、大学受験真っただ中。体調を崩さないようにと気にかけて暮らしていますが、娘たちが全てだったわたしの毎日の生活も、そろそろ次のステージに進むんだなぁとひしひしと感じています。
子育てには正解や不正解はありませんが、自分のしている子育てが正しいのか不安になることもあります。ただ、「ごはん」「読み聞かせ」「季節の行事」は絶対に大切にしようと決め、娘たちと真剣に向き合い全力で子育てしてきてよかったなぁと思いますし、全力でやり切ったからこそ子離れもスムーズにいくような気がします。
まだしばらくは続く3人での暮らしをしっかり楽しみながら、わたし自身のことも大切に暮らしていこうと思います!
Text by 吉岡希織
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