1年前のいま時分、どこからも電話のまったく鳴らない、もはや為すすべのない状態だったことを思い出します。 政府の様々な助成の手続きや金融機関へ走り回っていた中、組合から「長崎県産地パワーアップ事業」へのチャレンジを進められました。 これまで有田焼で佐賀県事業に参加してきたことはあったものの、長崎では皆無。というのも、長崎には波佐見焼というトレンド産業があるため三川内地区として参加することは考えらえなかったことがあります。実際、弊社は三川内焼としてのお取引はほとんどなく、業務
「さっすがジャイアン!」みたいな男子がいる。 自分が傷つかないように動く息子らに時々感心すらする。男は失敗しながら歩むもんだから恥を恐れるな!と主人は言って聞かせたが、失敗も恥も極力避けて生きている。私にとってこの結果は難題なわけでして。 しかし、日頃お世話になっている作り手の方々は真逆。私たちの「ほしい!」のために日々挑戦と学びを日常としておられる。 新作に限らず、同じうつわを作り続けることもまた然。気候や人の手、材料や道具の変化を時代とともに技を昇華。世の中の流れが
緊急事態宣言からの生活変動で、増えに増えた烏合のごとき「うつわ屋同業者」の乱立ぶり。 「どうしよっかなー」とのび太君のように座布団枕でのんきに天井を仰いでいたわけではないのだが。 気が付けば、助成金による資金投入や若い人材の投与でサイト事業に後れを取っていたのだ。 それなりに取り組むものの、すでに世は飽和状態で動かないのなんの。地道な更新しか道はないので、今日も明日も明後日も…うつわに向き合い、画面に向かうだけ… しかしそんな中、作り手である窯元や職人さんらのSNS活
どこにこのやるせない気持ちをもっていけばよいのか。プロ野球開幕延期。中学生の息子は生きがいをひとつ失ったばりの落胆引きこもり生活。 デイゲームにしろナイターにしろ、あの球場のさざめき音とあおるような応援に包まれるのが私の発散どころ。そして、ソファーに寝っ転がりながらのBS中継観戦は、球場で硬いベンチに座っている観客への優越感。我ながらせこい。 オープン戦の無観客、なかなかシュールな現実だった。選手のモチベーションは上がらないに決まっているわけで。野村克也氏だってボヤく気も
九州各県は地続きなぶん方言も共用部分が多い。 学者ではないのでどちらが先に使いだしたとか、そんなことは調べたりもしないのだが。福岡・佐賀・大分・熊本・長崎は本州の方からすると同じに聞こえるだろう。 共用という意味で一番使うのは「よか」「…やけん」「…とさ」など。九州北部地域でこれを使わないのは潜りだ。 店に来た関東のお客様。ご近所と私の会話に固まっていた… 「よんにゅもらったけんさ、少し食べんね。皿ごとやっけん。」 「よかと?好いとっちゃんねー。皿ばあとで持ってくっ
幾度となく春を経験していても花見に行こうと誰も言わない春なんて。 不要不急の外出を控えつつも、春風を感じるちょっとした散歩はストレスを溜めずに過ごすのにやった方がいい。とりあえず、近くをウロウロ… 有田の見慣れた風景に、桜が何とも悠然と現れ景色が激変する。今どこの時代を生きているのか何だかわからなくなる瞬間がある。桜の為せるワザなのか、有田が持つノスタルジックで新しい風情なのか。 この坂の上のJR上有田駅は各駅停車線で無人駅。切符は向かいの酒屋さんが扱ってくれてるのが何
パンデミックによる思いもしなかった光景。磁器の郷、有田町が震えているように思える。 これまでも日本を襲った災害は数知れず。特に近年の台風豪雨による被害は九州にとってライフラインを失いかける惨事だが、それでも我々は助け合いながら乗り越えてきたと今になって実感する。 ところが、感染危機という得体のしれない悪魔に世の中が身をかがめてしまうと、一寸先も遠い未来も同じ暗闇の中に封じ込められてしまう。 人が仕事をし、学校に通い、文化的な暮らしをしていく中で、豊かな時間を求めて家族の