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【17】終戦~8月15日~燃えつつある家屋

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8月15日。
砲声はますます近付いている。
正午一大音響と共に愛河に黒煙が冲した。
第17野兵器廠は部隊用の弾薬輸送を終り最後の挙に出たのであろう。・・・あの髭の榊原大尉の顔が目に浮かんだ。

我が方、軍用機1機もあるわけでなく、戦車は僅か数台、そのうち実際使用に堪えるもの2台、支援兵力は全くなく、必死に敵攻撃を阻止するよりほかないのである。

最早最後の覚悟をきめた。


午後5時命令あり。
司令部は現在地掖河を後退し、牡丹江を経て横道河子に至り集結することになった。

全ての軍機密書類を焼却し去った後はかえってさばさばした身軽な感じで、第1~2陣の出発の打合せ 後退の準備をした。
動員関係は3輌の自動貨車に分乗、両角少尉を長とするわれわれは16日横道河子に到着する如く、途中牡丹江の第17野戦貨物廠より当座の糧秣を受領することになり、夜を待って各部隊は一斉に後退し掖河十字路付近は雑路を極めている。

後発の安部属官は他の司令部の人員と共に牡丹江の第1方面軍の庁舎に向かう手筈となっている。
両角軍は雑踏の人馬の間をぬって牡丹江市内に入った。

燃えつつある家屋、倒壊してなお燃え続ける桟橋、闇の中に青白く無気味に見える焔(ほのお)、その奥からうめき声が聞こえるような錯覚、在留邦人約20万人といわれた牡丹江は今や修羅の巷と化したのだ。

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