#10 みんなでアクションをはじめる「お呼びかけ分科会」|冬学期スタート
2021年になってゼミワークショップのあたらしい学期が始まります。
ここから初めて参加される方も多くいらっしゃったことから、まずはこれまでのふりかえりから始めます。
いかがお過ごしでしたか
この1ヶ月で、気候変動やSDGsを意識して、やってみたことをシェアして始めます。
・スーパーの陳列棚で一番手前にあるものを買うようにしました。赤札のものもできるだけ買いました。
・漁師さんの話で生産者が困っているとの話を聞き札幌の生産物を買うようになった
・命を命でない形にしてくれている人たちについての会が印象深かった。私たちが食べているものは命なのに、そこへお金が回らない世の中の仕組みって命に失礼。食卓にあるものは一体どうやってここにきたんだろう。
・注文している乳酸菌飲料をプラスチックからビンにしました
・持続している自分の家系への思いが強くなり、オヤジの墓参りをしました
これらはいずれも「act individually(個人でアクションする)」かもしれません。でも、こうした個人の思いや実践から「act locally(みんなで仕組みを変える」が始まるのではないでしょうか。
<TIPS>
act individually(アクト・インディビジュアリー)|個人でアクションする。たとえば、レジ袋をでできる限り使わない。
act locally(アクト・ローカリー)|みんなで仕組みを変える。たとえば、そもそもレジ袋を使いづらい・使わなくて済むような制度・環境・文化をつくる。今の仕組みからみんなで抜けていくなど。
参加者が参加者を迎える「センパイシステム」
このゼミ・ワークショップで大切にしているのは「参加型」、つまり、一人が一方的に何かを伝えるのではなく、多様な人がそれぞれのやり方で双方向に貢献をする機会をつくることです。
そこで、今回から始まったのが「センパイシステム」。秋学期に積極的に参加してくださった方が、新しい参加者を迎え入れます。
これまでのゼミで学び、印象に残ったことはなんでしたか?
今回は8名のセンパイがそれぞれ小部屋に分かれて、この問いをもとに参加者をホストしてくださいました。
「二本足の自由」を練習してみよう
秋学期は、複雑な現実を知り、多様な視点を交差させることで「深める」時間を多くとりました。また、参加者はどこで誰と話すかは選択できませんでした。
そこで、冬学期は、自分たちで話したい人のところに動いていって話し合う。そして「アクション」を起こすことに、より重き置くことにしました。
そのために活躍したのが、当初からずっと使っているオンライン会議アプリのzoomです。それがアップデートされたことで、ミーティング参加者は、さまざまな小部屋(ブレイクアウトルーム)を自由に行き来することができるようになりました。
そうはいっても、なかなか「勝手に部屋を出入りする」のが難しいと感じることもあるかもしれません。そこで、今回練習し始めたのが「二本足の自由」。それは「学んでいるか/貢献しているかをしていれば、そこにいる。そうでなければ、別の可能性を求めて次の場所を求めていい!」という原理です。
当日は、ゲーム形式でそれを体験してみました。いくつかの小部屋を「まち」に見立てて、どのくらいたくさんのまちを"旅行"できるかを競うゲームです。とっても盛り上がりました!「勝手に移動すること」への抵抗も下がったように見えました。
お呼びかけ分科会のやり方
そして、ここからが本番です。二本足の自由を大切にしながら、「お呼びかけ分科会」を行います。
1 「このことについて話したい!なんとかしたい」というテーマを持つ人が名乗り出て、呼びかけます。
2 その数だけブレイクアウトルームが立ち上がり、呼びかけ人が自らその分科会をホストします。
3 その間、参加者全員が二本足の原理にしたがって、自由に部屋を行き来しながら対話をしていきます。
4 話しっぱなしで終わりではなく、どのような気づきがあったか、次の一歩は何かなどを記録します。(この技術のことを「ハーベスト/収穫」と言います。)
それをやってみたところ、たいへん多くの呼びかけが立ち上がりました。レジ袋を減らす、プラスチック循環、ヒグマ対策、有機卵農家さん、SDGsカードゲーム、子供とSDGsを学ぶ・・・以下は、「サスティナブルプロダクト」について考えることを呼びかけた分科会の記録です。
参加者からは、このような声がありました。
・出たり入ったりしていると、必要なところにみんなの知恵が集まっていく
・中途半端、モヤモヤ上等が許される場だった
・声を上げたい人が上げられる/それを受け取れる人がいることは大切
・思いもよらないこと/冷たい工場で働いていることを知って胸が苦しくなった
・たくさん聞いて話してワクワクドキドキ、脳みそでくるくるしています
一方で、「細切れでの話題の切り替えをしてしまい、忙しいまま何となく言いっぱなしで、話が深まらないような気がしました」と新しいやり方に戸惑う声もあったようです。
こうした参加者の声を踏まえて調整をしながらも、冬学期では引き続き、「アクション」に焦点を当てて時間を過ごしていくことを計画しています。
もしあなたにとって関心が高いことを9回一緒に学んできた仲間たちの輪があって、あなだがそこへ人をさらに招き入れられるとしたら、誰を招きますか。そこで、「自分がなんとかしたいこと」を呼びかけるとしたら、どんな言葉になりそうですか。
ちなみに、なんと今回からは、放課後のクラスとして、地域の現場でグラフィックを描いているお姉さん(絹村 亜佐子さん/静岡県、小柳明子さん/山口県)2人による「お悩み相談室」が開設されます。びっくり贅沢な機会!
ちなみに、私がホスト/パーソナリティを務める「ふりかえりダイアログ@みんなSDGsTV」の収録も行なっています。こうして、ゼミ本編にとどまらず、「アクション」を応援するスピンオフ企画が進んでいます。
【第10回目】みんなでアクションをしていくためのウォームアップをしよう(2021.1.15)
グラフィックハーベスター 小柳明子
エディター 反町恭一郎