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『年間7%の増加』=『10年で2倍』。データを実感するために役立つ「倍加時間」の計算方法

「ここ10年間、Xの量が1年間に7%の増加をつづけているようだ」

「ここ10年で、Xの量が2倍になっているようだ」

年間7%と聞くと「ふーん、消費税くらいだね」と甘く見てしまいがちですが、実はこの2つの文は、ほぼ同じ量の増加を指しています。

年間7%の着実な成長を続けるものの総量は、10年間で2倍になるのです。ちなみに「年10%の増加」だったら、イコール「7年で2倍」です。

今からその計算について紹介します。

倍加時間の計算方法

「もとの量が2倍になるまでにかかる時間」のことを、倍加時間といいます。その算出方法は簡単で、数値「70」を「増加の割合%」で割ればよいのです。

だから、年間7%の増加は「70 ÷ 7 = 10」で「10年で2倍」と同じ。

70という数字はどこから来たのかを説明しようとすると少し大変なのですが、これは「2倍になる」の「2」の自然対数から来ています。もし3倍になるまでの時間が知りたければ、3の自然対数を使います。気になったら自由に調べてみてください。まずは70という数字を覚えることが大事です。

数字を倍加時間に直す、または倍加時間から戻すクセをつけよう

冒頭にも書いたとおり、例えば「どこかの人口が毎年8.87%で増加している」っていうニュースを見ても「ふーん」で終わる人が多いと思うんです。でも、「人口が8年で2倍になっている」というのを読んだら「えっ!?何が起きてるの!?」と思うんじゃないでしょうか。

「年8.87%の増加」という数字では、ほとんどの人は「1年後にどうなるか」について想像が働きづらい。これはしょうがないことかもしれません。でも、これからは「年何%の増加率」という言葉を見たときに、それを倍加時間に変換してみてください。実感がつかみやすくなるはずです。

また、逆に「10年で2倍になる」というデータを見たときの年間増加率を考えてみましょう。このときは70を10で割ればいい。つまり、「年7%の増加」が答えです。世のジャーナリストは大体この方法を使って「年7%の増加」よりも注目されやすい「10年で2倍」と表現しがちなので、大げさな表現かも?と思ったら戻してみるのもいいかもしれません。

とつぜん急角度になる「着実な成長」の恐ろしさ

これらの増え方は「指数関数的な増加」と呼ばれますが、人間はこの増え方について実感することがとても難しいと言われています。物理学者のアルバート・アレン・バートレット氏は、「人類にとっての最大の短所は、指数関数を理解できないことだ」と述べたほど。

たとえば、「これから毎日お米を徴収します。今日はお米1粒、明日は2粒。明後日は4粒、明々後日は8粒と、どんどん×2して持ってきてね。これを30日間よろしく。」と言われたとします(どんな状況かはさておき)。7日目に持ってくる米粒はたったの64粒なので、むこう1週間くらいのことを考えれば大した量になりません。

でも、30日後に持っていかなければならないお米は10億7374万1824粒です。米50粒を1gだとして、約21トンの重さになります。日本人ひとりあたりの年間平均コメ消費量は50kgくらいなので、420人分。とんでもない量です。

しかもこれが、半分である15日目にはまだ1万6384粒(約330g)にしか達していないのだから驚きです。だから私たちは「少しずつ着実に成長しているもの」が、いつごろまでにどれくらい増えるのかを想像することが難しい。つまり「初期に油断しがち」なのです。

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