WEBマーケティングで失敗した人が提案を検討するときに見えて"いない"たった1つのこと
【更新情報】
12/10(火):
諸々の表現を整えました。
12/4(水):
書いていたら、書きたいことが次から次へと出てきすぎて一生終わらないので、粗々で一旦公開して、ちょっとずつ修正しようかなと思った今日この頃
こんにちは、きしこう(@kishikou11)です。
※Twitterは見る専で、全く活用できておりません。。。
普段は「ベンチャーとか新規事業にマーケティングチームごと入りこんで、戦略から施策までなんやかんややる」業、要するに「0→1マーケ屋」をやっています。
このnoteでは
「WEBマーケティングに詳しくない人が、成果を出すために最低限知っておいて欲しい視点」
「WEBマーケティングを進める際、成果の出ない業者にかけるコストを減らすための視点」
について解説します。分量としてはスマホで見ると5分くらいです。お時間取らせないので、ぜひ読んでってください。
では、早速結論から。
結論
マーケティングで成果を出すには…
「経営戦略×商材特性×集客施策×営業施策×効果検証精度」
これらがストーリーとして語られているかにアンテナを立てい!
という内容になります。
これだけでわかる賢いマーケターのあなた、ブラウザバックして、マキャベリの「君主論」でも読んでてください。
「えっ、言ってる意味がよくわからないんだけど」というあなた、きっと役に立ちます。
プロローグ~同日アポの複数社で同じ課題が露見?
先日、こんなことがありました。
僕はいつものようにWEBマーケティングの相談を受けるべく、飛び回ってました。たまたまその日は1日で3件のアポがあったんです。
その3件、いずれもスタートアップでした。
経営者がWEBマーケティング畑ではないのですが、「手集客でなんだか成果が出そうな仮説は立った。だから、一気にWEBの力を使ってサービスを広げていこう」みたいなタイミングだったわけです。
余談ですが、最近は「どうやらWEBで集客できるってのは本当らしいし、マーケティングってすげぇぞ」という機運が特にスタートアップを中心に盛り上がっていますよね。
「WEBマーケティングの重要性」みたいなところから説明しなくても良いのが助かります。
で、僕はお会いするのに相手のことを知らないのは失礼極まりないと思う派なので、インターネットで限りの公開情報を調べて、成果を出すための仮説を立てていくわけです。
ですが、ここのところどうも仮説が同じになってしまうんですよね…。
この日に関して言えば、「3社ともきっと、同じことを言う必要があるなぁ」と考えていたわけです。
でも、三者三様のビジネスをしているのに、全部同じ結論になるってありますかね?
どうしよう、ここのところインプットもサボりがちだったし、、、過去の経験から色眼鏡でモノを見てしまうクソジジイ期になってしまったか…。なんて思って凹んだりしたわけです。
ところが実際に面談に臨んでみたところ、「ある質問」をした瞬間にみなさんピンと来た顔をされたんですね。ああ、これは仮説が刺さったなと。
その質問とは、
「あなたの検討しているWEBマーケティング施策、経営戦略や商材特性と合っていますか?」
という言葉だったわけです。この視座に対する明確な認識ができていなかった可能性があった、と推察されます。
どうしてこんなことが起こるの?
WEBマーケティングの技術の進歩は、それを理解する人間の進歩より、はるかに早いです。従って、その専門知識についてはどんどん格差が開いているなぁという印象です。
発注者サイドからすると、CPOだのCACだの宇宙語を聞いていると、何だかこれが魔法の杖のように思えてきちゃうんでしょうね。
ついには理解の範疇を超えちゃうので、
「オレ、シラナイコト、ヤル。ヤレバ、セイカ、デル」
みたいな思考停止状態で、意思決定するわけです。
たまたま提案されてきた施策が上手いこと戦略やら商材特性やらとマッチしているのであればハッピーです。
しかし、世の中に色々な商品が出てきて、ユーザーもわがままになってきている中で、肌感として今までのばくっとした施策がマッチしないケースも増えてきました。
だから、僕がご相談受けるときには、「WEBマーケティングなんてぜんぜん集まらん」「WEB客は単価が低い」「最初は良かったんだけど、だんだん使えなくなってきた」「WEBに投資する予算は高い」みたいな都市伝説が頭にこびりついているケースもあって、
「おい、その固定観念で少なくとも月粗100万は機会損失してるんだぞ」
と吠えたいのをぐっとこらえながら、「もったいないですねぇ」とか言ってるわけです。
マーケティング提案側の事情
「いやいや、マッチしない施策なんて、そんなものさすがに感度の高い経営者や専門家であれば上がってこないだろう」という考えもわかります。
ですが、落ち着いて聞いてください。
まず、マーケティングの世界ってそもそもやらなきゃいけないことが多すぎるんですよ。
具体的な用語はわからなくてもいいので、とにかく数がすごいってことだけ伝えておくと。。。
※知ってる人は点線の間すっ飛ばしてください。
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<広告まわり>
検索、DN、SNS、アプリ、アフィリエイト、TVCM、交通広告などなどあります。
<コンテンツまわり>
セミナーや展示会の企画、メルマガ、ホワイトペーパー、記事ディレクション、ライティング、SNS運用とやらなければいけないことは目白押し。
<ホームページまわり>
ページの企画構成をするためにデザイン(UXUI)の基礎知識、コーディングの基礎知識、セールスライティングや行動経済学なんかもかじっていなければなりません。
<戦略基礎まわり>
これらの施策の基礎を成す考え方である「STP4P」とか「3C」とか「5force」とかそんなことは当たり前に知ってないといけないし。
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ここに出したものなんて一部で、SNSの中にもFacebook、Twitterによって戦略が分かれるなど、書ききれないことはまだまだたくさんあります。
で、何が言いたいんだってところですが…
これを全部理解・実践できる人って市場にほぼいません。
ちなみに、全部できる会社というのも多くはありません。
全部できるレベルの人はどこにいるかというと、マーケティング会社(組織)を立ち上げたり、スタートアップのCMOやマーケ責任者レベルとして敏腕を奮っていたりします。
なので、一般的に出会えるマーケターで、マーケティングの要求すべてに応えられる人は極めて少ないです。
※ちなみに、万が一市場にマーケティングのオールラウンダーっぽい人を見つけたら、早急に囲い込んで手放しちゃいけません。
一方、全部できるように見える会社でも、「SNSマーケ」「広告マーケ」みたいに事業部が分かれていて、それぞれの事業部が己の数値を上げるために頑張っているので、成果を最大化するための横連携なんて基本しません。
その結果、何が起こるのかというと、「戦略と施策の分離」が起こります。
つまり、見込み顧客の戦略から見た全体最適を考えずに、個別施策という部分最適での提案がまかり通ることになります。
※うちの会社はこういうの嫌だなと思って、一気通貫のソリューションが出せるように体制を整えています。
たまに、相談を受けたときに他社の提案資料を見せてもらえることもあるのですが、とんでもない提案が少なくないのは、どれも戦略レベルからの落とし込みが甘いからです。具体例は後述します。
ただ、経営層でもWEBマーケティング畑でない人は、戦略は頭にあるけど施策との親和性についてはわからない。だから、こういった提案が的はずれかもわからないのが現状です。
こういった事情もあって、「戦略と施策の分離」はどんどん進んでいき、100万円かけたけど成果0みたいなことが起こって、「WEBに投資する予算は高い」みたいな認識が強まるわけです。
※そもそも100万かけたのに成果0と言っても、商材特性的に150万で成果1でもハッピーだよねってケースもありますね。
じゃあ発注者サイドはどうすればいいの?
ベターな選択肢としては、
① 経営サイドもマーケティングサイドもわかる外部の第三者アドバイザーに判断してもらう
② 経営サイドもマーケティングサイドもわかる業者に依頼する
③ 経営サイドもマーケティングサイドもわかる内部の人間に一任する
あたりですが、③ができるならそもそもここまで読んでいないはずなので、①②がわかる判断基準についてお伝えしますね。
マーケティング提案の質がわかる判断基準
ここで、やっと冒頭で書いた「結論」のお話になります。
前提として、WEBマーケティングの成果をざっくり因数分解していくと、僕はこう考えているんですよね。
「成果=経営戦略×商材特性×集客施策×営業施策×効果検証精度」
※もちろん突き詰めれば外的要因とか制約条件とか色々ありますが、わかりやすくするために割愛しています。
ここまでわかればシンプルで、
「集客施策」以外の要素についてヒアリングも言及もない提案
=「集客施策」のことにしか触れていない提案
は滑る可能性を大いに秘めています。
裏を返すと、イケてる提案は
「集客施策で成果を出すためのボトルネックになりそうな集客施策以外の要素に触れている必要がある」
ということですね。
もちろん、提案者がすべて一貫してできるのが理想ですが、例えば「提案したのは広告屋だがボトルネックはデザインだ」となったときに、必要に応じてUXUIを握れる人や会社を探して連れてきてくれることも提案の誠実さを示す1つの行動基準でしょう。
僕も、集客施策の相談を受けたときは、必ずその上流にある経営戦略の確認をして、集客に影響を及ぼせるほど上流が固まっていない場合は、集客施策には入らず、戦略に入るケースが多いです。
※ごくまれに「失敗してもいいからとにかく経験してみたいんだ」という好奇心旺盛マンがいますが、その場合はリスクを再三伝えた上で施策をやってみる、ということはあります。
それっぽいけどイケてないマーケティング提案:3つの具体例
ここからは過去見てきた他社のトンデモ提案をベースに、「いかにもそれっぽいけどイケてないマーケティング提案実例」をお送りします。
エントリーNo1:LPがひどいのにそこに一切触れない広告提案
いくら広告運用が素晴らしくても、広告リンクを押した後のWEBページの質が低いと成果って出ませんよね?
競合がたくさんいる業界なのに、デザインの質は競合以下、価格は競合より高め、差別化要素ほぼなし、みたいな絶望的な戦力で広告使おうとしている企業があり、慌てて止めました。
WEBマーケティング業界ではよくあるんですが「バケツの穴が空いてるのに水入れてどうすんですか!」って状態です。
なんでこんなことが起こるのかと言うと、代表的な理由としては…
・広告代理店が得意ではないのであえて触れてこないパターン
・プロではない自社の経営層や制作会社がこだわりを詰め込んで、見てくれだけは良い自己満ページをゴリ押しするために、提案側が文句言いづらいパターン
・費用かけたくないから広告用に構築していない自社WEBページを再利用しているパターン
みたいなところが考えられます。
心当たりのあるあなた、WEBページを見た瞬間にダメなものはダメとわかるので、お近くのプロにご相談ください。
エントリーNo2:反響=受注"でない"のにCPAを強調する広告提案
CPAというのは「1反響あたりのコスト」のことで、広告の成果を表す指標として有名です。
例えば、10,000円の広告費を使って10件の反響を得た場合は、CPA=1,000円ですね。
これが、物販であれば反響が来た時点でほぼほぼ受注なので良いでしょう。問題はサービス業のように、そこから見積もりや競合比較が発生するケースです。
反響地点が無料相談だったりする場合は、たとえCPAが1,000円だったとしても、受注率が50%だと1獲得に2,000円かかる計算になります。
このように、反響=受注ではないケースは、CPO(1獲得あたりのコスト)という指標を使うことが一般的です。
極端な話、過大広告でCPAの数値を低くするなんてことは、広告のやり方次第でいくらでもできるんですよね。
それで見かけのCPAは1,000円になるかもしれませんが、結果的に薄いお客さんばかり集まってきて成約率は10%。つまりCPOは10,000円でした、となってしまっては大変です。
こういうときに広告屋がやるべきこととしては、「成果が出ないキーワードや訴求を切ること」「WEBページの着地ハードルを上げること」「CPOを合わせるための営業構造の改善提案」などあるんですがみんなやりたがりません。なぜか。
それは、できないからというのもあるかもしれませんが、一番大きいのは最適化すると広告屋としての成果(=CPA)が一見高くなるように見えるからです。
広告屋からしてみれば、「弊社は弊社で成果出してるんだから、後工程は自分たちでなんとかせいや」って話かもしれませんが、そんなのは部分最適であって全体最適ではありませんから論外です。
特にサービス業のあなた、CPAではなくCPOまで踏み込んで話をしてくれていますか?というところに着目しましょう。
エントリーNo3:それ今やる?をゴリ押しする広告提案
以前、こんなことを聞いたんですけど…って相談があったんですね。
"ものを探す時、昔はみんなGoogleで検索してましたよね。ただ、SEO対策という言葉が一般的になってきて、「どうせみんな操作してるんでしょ」と検索情報が信用されなくなった。
だから特に若者はリアルな口コミや写真が見られるInstagramなどのSNSで検索するようになっているのですが、これもインスタグラマーなどのステマが認知され始めてきてから信用されなくなってきている。
じゃあ何を信用して探しているのかというと、Googleマップなんですよ!時代はマップの最適化、これです!次世代の集客はMEOです!今すぐやりましょう!"
わかるわー
確かにまわりもGoogleマップで探してるわー
僕もピンを立てて独自の地図作ってるわー
でもさ、それさ…今じゃなくね?
ロジックもインサイトも正しいんですが、企業のステージや商材特性や組織体制をまったく考慮していないこういう提案も部分最適でしかありません。
諸々ヒアリングした後に、提案した施策が今じゃなければ、「今じゃないですね」ってちゃんと伝えてくれる業者さんに当たりたいものです。
コンペが滑るのは施策提案に寄っているから
さて、事例の話をもう1つだけ。「施策だけ提案」の権化みたいなやつ、「コンペ」についてですね。
僕はこの「コンペ」って大嫌いで、「まあ外したとしても自分の思考のブラッシュアップになるからレベルアップの機会に使わせてもらおう」というもの以外はやりません。
理由はコンペ主催側の「コンテクスト」が伝わってこないケースが多く、本筋から外れたことを考えてしまう可能性が高いからです。
参加者は壮大な時間を使って「無料ブレスト代行」をしているわけですね。
で、ここで言う「コンテクスト」がいわゆるコンペを主催するに至った経緯とか、主催者の想いとか、実際に使えそうなリソース状況とか、いわゆる戦略の意図や特性把握の部分になります。
コンペでも1:1営業でも何でもそうですが、提案を通すためにはこの「コンテクスト」をどれだけ理解し、寄り添ったものを出せるかが重要です。
つまり、主催者に近いところにいてコミュニケーションが取れる人が断然有利。提案前からコンテクストを理解してくれているというゲタを履いた状態でスタートできます。
「コンペなんて基本は出来レースでしょ」というのは、本当は出来レースではないかもだけど、出来レースだと思われがちなポジションにいる人が結果的に刺さる情報を持ってるから、そう見えるわけですね。
戻すと、コンペでほとんどが滑るのは、コンペの特性が「施策提案に寄ったもの」だから、というお話でした。
成果への自信が弱い提案はやたらと周辺サポートが多い
これは完全に余談かつ主観かつポジショントーク入ってるというのは自覚しているのですが、、、
成果への自信が弱い提案ほど、周辺サポート(=雑務)をいっぱいつけて何とかしようとしている印象を受けます。
例えばWEBマーケティング業界あるあるで言うと、月別の分厚い分析レポートとかですね。
昔、「前の業者はこういうのくれたぞ」と言われて20ページくらいのパワポのアウトプットを見せられたことがあるのですが、「分析」とは名ばかりで現状把握しかしてない最悪のレポートでして、僕はこれを「20ページのゴミ」と心の中で名付けました。メロスも激怒を通り越して唖然とするレベル。
少なくとも僕がやってきたWEBマーケ界隈の中小・ベンチャー規模の世界ではですが、月別の報告なんてA4の1枚ものシートで事足ります。
(あ、上場企業でも事足りてました。)
先ほどの戦略から効果検証までのストーリーの筋が通っていれば、ある期間において1つの施策に対して注目すべき指標なんて2つか3つくらいなんですよね。
クリック率とかコンバージョン率とか出されても見る側にとっては枝葉末節。そんなの気にするのはサービス提供側だけでOK。
ここにかける人件費とか、その人件費を上乗せされたフィーを支払うのはもったいないです。
強い提案というものは、いつだってびっくりするくらいシンプルです。
澄まし麺ふくぼくのラーメンを見てください。あのレベルでシンプルなのは、素材に自信がないとできないことです!(ステマではない)
やたらと細かいサポートに目を奪われて本筋がぶれてないか、気をつけようがないところもありますが、気をつけるようにしましょう。。。
(うちも広告運用なんかはテストマーケが終わったらできるだけシンプルな成果報酬型に切り替えるようにしています)
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こんな「マーケティング現場のリアル」みたいなお話って興味ありますか?
以上、長々お付き合いありがとうございました。強い提案はシンプルとか言いながら、この時点で5,000字を大きく超えてしまいました。超ブーメラン。
ここからあとがきみたいなものなので、中身がある内容を読みたい人はブラウザバックしてストレッチでもしててください。
今回、こんなことを長々書いたのは、戦略を加味しない施策提案に振り回されて、ただでさえ限られたリソースを無駄に使うことになってしまっている企業を1つでも減らしたいなぁと考えているからです。
僕なんかじゃ微力かもしれませんが、業界をもっと健全にして、いいサービスを提供している会社がちゃんと伸びるような土台をつくりたいんですよね。
で、うちの会社も動き出して1年半とかになるわけですが、そろそろ外向けに動いていこうかなぁと思って、年明けあたりセミナーでもやろうかと画策しています。
それで、特に「マーケティングでこれから事業を伸ばしていきたい」方を対象にして、ここに書いたような話とか、それを事例ベースでもっと掘り下げた話とかってぶっちゃけ興味ありますか?
5人くらい集まったら、完全クローズドで参加者にぶっ刺さりそうなコンテンツを考えてやってみようかと思っています。
もし興味があれば、Facebookのメッセンジャーなり、TwitterのDMなり、いいねなりで教えて頂けるとありがたいです。
もちろん、「うちとタイアップして面白そうなことやりませんか?」みたいなお誘いも大歓迎で、実際に現時点で数社企画が進んでいたりします。
ぜひゆるゆるとでもご連絡くださいー。それでは。
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