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私と息子の前世~海が好き~

私は水の中で呼吸ができる。


肺はあるがエラはない。が、水中で呼吸ができるのである。夢の中でだけだけど。

多分中学生くらいまでだったと思うが、水の中で目を覚まして、びっくりして水から出ようともがいていると、すーっと水中で息ができている自分に気がつく、という夢をよくみた。長い時間ではないし、安心してまた眠りについたのか分からないが、そのあとのことは全く覚えていないという夢だ。

俺の前世は魚だ。


その頃からそう勝手に信じている。


私は栃木県の宇都宮で生まれた。

栃木と言えば海なし県。それでも父親は毎日刺身で晩酌をしていた。元々新潟の出だったこともあったのかもしれないが。

家族旅行で茨城県の大洗海岸に行った時や、親戚の集まりでフェリーで伊豆大島に行った時の事などの興奮は今でも鮮明に思い出せる。

海が好きだーー!!


私は職業柄、全国各地に転勤している。

20年ほど前に私は新潟への転勤の辞令を受けた。その頃ちょうど、無人島0円生活という番組で濱口優が素潜りで海中の魚を銛で突いて、「獲ったど~!」と叫んでいた。私の心の奥で小さく燻っていた火種に、ぼぅ!と火が着いた。

その頃息子は小学校低学年。スイミングを習っている。まだ親についてくる素直なお年頃。ラッシュガードを揃え、銛を調達して海へレッツゴー!

我々のメインビーチは新潟の日和浜海岸辺り。地元民しか分からないであろうが、濱口優が獲るような大物がウヨウヨいる訳もなく、ましてや素人同然の我々が突けるものと言えば10センチも有るか無いかのベラ程度であった。

そして私は銛を棄てた。


動かないものを捕ろう。

私の手にはスパナとマイナスドライバーが収まった。未開の地を目指してフェリーで粟島まで乗り出したりもした。何を捕っていたのかは諸事情により伏せておく(密漁はしていない。多分)。この頃には息子は見てるだけー。になった。

話が逸れたが、それだけ私は海が好きなのである。私が前世では悠々と海を泳いでいた証である。


息子の前世は川の石だと思う。


息子も水が大好きな人間である。オムツが取れたくらいの時に、旅行先のホテルのプールに自ら飛び込んで親を驚かせたり、岐阜にいたときには毎週長良川に浸かりひたすら石と戯れていた。私は彼の前世は川の石だったと感じている。今度彼も水の中で息ができるか聞いてみようと思う。石も呼吸するのかな?

来世は空を飛びたいな。

おしまい!


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