新鮮な劣等感が手に入ったのでガソリンにしてみた
こんばんは。新井啓明です。
池に小石を落とすと、揺れる水面が注目されるけど…本質は水底の泥を巻き上げるところにある。現代は、いとも簡単にカビの生えた思い出を冷蔵庫の奥から引っ張れる技術があるから生きづらい。
何が言いたいかって?今の科学技術は思い出したくない事を不可抗力で思い出させるんだよ
(><)ぴえん
彼が元気そうでよかった。これが率直な感想。SNSの「知り合いかも」機能は僕にとってお節介おばさんそのものだ。20年近く姿形を見ず、情報を永久に遮断していたのに。スマホ画面の中の男の顔はかろうじて耳奥に刻まれた甲高い声を思い出させた。この笑顔…そうだ、こんな表情で笑っていた。すっかり大人の顔になったじゃないか。君は。
きつい業界に入りながら奮闘する彼の姿は、仕事を言い訳にして大好きなものを書いていない僕の限界を否応なく自覚させる。あんな彼でさえ命削ってるのに。
あれは…高校2年のときだっけ…「バイトでも何でもいいから何かやれ」あの言葉は、時間を無駄に溶かす僕を本心で哀れんだのだろうね。
あー我ながら頭にくる。「元」友人の未来を憧憬の眼差しで地団駄踏むのが自分のなりたかった姿なのか。
あー我ながら情けない。自分に発破をかけてはその火が消えるのが早い。油が足りない。ガソリンが足りない。
あー我ながら愛がない。独りの僕のことを心配してくれていたのは彼なのに。数十年ぶりに見た彼を妬んだ。劣等感を抱いた。
実を言うとね、あれからいいこともあったんだ。だから君のことを恨んだりなんかしてない。過去は振り返らない。でも、ほんのちょびっとだけ妬ませて。また頑張れるから。
やろうと思ったそばから自信なくすのもうやめたら?僕だってプロなんだから。よし、頑張ろう。明日も5時起きだ。
…でもアレだなぁ。彼に僕がSNS見たこと知られたら恥ずいな。あ、でも足あととか付くの…かな…え?
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