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smashing! どとうのごとくおいわいを・1

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。経理担当である税理士・雲母春己と、そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗は付き合っている。そして二人と一緒に住み始めたのは伊達の後輩で恋人、設楽泰司。

「見てください設楽くん!あの橋の形状はどうなっているんでしょう初めて見るタイプなのですが傾斜角度のそ」
「雲母さん、お弁当もう一ついりますか?」
「いえ大丈夫です、ほら、アイスクリームを頂かなくては!」
「新幹線のカッチカチバニラアイスは定番ですね」

今日は雲ひとつない快晴。昼過ぎから雲母と設楽の二人は、とある緑豊かな地方都市に向かっていた。そこには二人の「主君」である伊達が、学会的な集まりに出席するために前日入りしている。明日は伊達の誕生日だというのに。今年は僕たち、何故かお誕生日とお仕事が鬼被りしますね、しょんぼりして見える雲母。丁度二人とも連休中だったため、設楽はある提案を持ちかけた。

雲母さん、いっそ訪ねて行きませんか、伊達さんの宿泊先まで。

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「伊達さんビックリするでしょうね!楽しみです」
「ですね」

そろそろチェックインするべきだろうな、二人の荷物がこれ以上増えないためにも。スーツケースは既に特産物や土産物でパンパン、どでかいキャリーバッグまでぶら下がっている始末。雲母は早速フロントへ。手続きを待つ間、手持ち無沙汰な設楽はロビーの上質なソファーに腰掛け、辺りを見回す。中央を飾るのは見事にアレンジされた大きな向日葵。その側では和服姿の一人の男性が、活けられた花を眺めていた。紺色の夏紬の着流し、切長の目が美しく、短髪を軽く後ろに撫で付けた男性はほぼ年齢不詳、場にそぐわないほどに美しい容姿をしていた。

「学会が終わるのは夕方でしょうから、ご飯でもいただきませんか?ここの最上階に…」
「あ、いいですね。行きましょう」

あの御方とても素敵だと思いませんか?雲母がそっと耳打ちする。見透かされたのか、ちょっとだけ焦る設楽に満面の笑顔を向けた。






続きます

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おそらく上中下になるかと…
気長にお待ちいただけたら嬉しいです💖


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