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佐久間イヌネコ病院 luv.22 リウとマユミ

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出会いはありがちな感じだったけど、お互い同性は初めて。そして立ち位置的にはガチで「禁断」。ヘタすると俺捕まってた。未成年だなんて知らなかったんです。当時どっかのお偉いさん達が不祥事で必死で言い訳してた気持ちすごくわかる。

真弓は背が高くてね、170前後の俺には、183って数字はけっこうな憧れなんだ。ひょろっと細っこいけど目つき悪いしそんであの、なんての?若い子のファッション?俺いまいちわかんないんだけど、テロテロのスカジャンみたいなやつがさゴールドだったりすんのよ。付属品もすごいね、いっぱい鎖もついてる。これなにを繋いでるの?って聞いたらさ「俺の中の悪神を封印してるんだ」…ってわからんわ。

真弓は高校卒業してすぐ銭湯を継ぎたいってお父さんに申し出た。そしたらお父さん大喜びで。なんでも昔からの夢が駄菓子屋。銭湯と一緒くたの今の住居の隣、元の実家を改装し駄菓子屋さんを開店する運びに。
俺は挨拶を済ませ真弓ん家に転がり込み、年が近いせいか無事打ち解けられたお父さんもその後、無事「駄菓子屋」モードの隣家へ。簡単な引っ越しやなんや手伝って、真弓はすっかりがらんとした居間で、心なしか気の抜けた様子で佇んでた。

「俺いるから寂しくないでしょ?」
「別に寂しくはない。隣だし」
「えーだっていまそんな顔してたじゃん」
「別にしてない」

父ちゃんが決めたんならそれが一番いい。ぶっきらぼうに言って真弓が台所に向かう。そろそろ夕飯の時間。真弓のご飯は一見大雑把だけどけっこうバランスも考えられてる。あの綺麗な仏頂面で一生懸命、俺の苦手な人参やピーマンを木っ端微塵切りにしてるの見ると、心の真ん中辺がどうにもくすぐったくて仕方なくなる。

細っけえ人参とピーマン入ったハンバーグと、雑穀ご飯となめこの味噌汁と白菜の浅漬け。ハンバーグちょっと崩れてるし味噌汁は激熱だったりするけど、お父さんがいるときに出てきたご飯とは、明らかに違った。

全部、俺の好きなものしか出てこなかったんだ。

そのあと、遠距離に阻まれた10年込みで、真弓とは通算17年の付き合い。こんなに長く俺に、俺だけに寄り添ってくれたことが。

何よりも嬉しい。



/九十九龍一
 羽海野真弓
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佐久間イヌネコ病院
羽海野マミたまの彼氏の
リウ・ツクモ先生が帰国して
お風呂屋さんに転職しました
食堂に南アフリカ料理が(院長)





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