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smashing! きみはつるばら


小越優羽。俺は庭師。
庭師と言っても、ほぼ何でも屋。エクステリアから造園まで幅広く、日本庭園はもちろん、英国風でもバリ風でも何でもやらせて貰う。俺は和威じいちゃんが生きていた頃から色んな技術を教えて貰った。庭師は俺にとって、全ての知識を活かすことの出来る天職だと思っている。

家で俺を待つ彼は、結城卓。
ちょっとだけ俺より大人だけど、俺が今まで見た人間の中で一番綺麗で、我が儘で、驚くほど頭が切れて気難しい。けど甘えん坊。どんな樹木や植物よりも手が掛かる。でもそれ以上に俺を心から癒やしてくれる。
深い琥珀色、ビー玉みたいな大きな瞳。くるんと上向いた長い睫毛。陶器のような滑らかな肌に瑞々しく弾力のある唇。しなやかで柔らかい肢体。すらりとした頤の先、小さな棘のように尖る喉仏。君が女の子ではない印の一つがそこにある。
手足の先までピンクでつやつやしてて、まるで小さなバラの蕾。壊れ物扱うように、頭の天辺からつま先までキスして、潤んだ瞳がはしたなくお強請りするようになってようやく、一番深いところまで辿り着くのを赦される。


水だって肥料だって剪定だって、いくらでも君の仰せの通りに。いつだって俺は君のための、君だけの庭師。


君は何より手の掛かる、俺の可愛いつるばら。




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