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日記という名の短編エッセイたち

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取るに足らない日常の出来事、なんて思うのは本人だけかもしれませぬ。
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記事一覧

冬がはじまるよ

定期検診で病院に行ったあと、ふと思いついて大きな公園に行ってみた。 旭山記念公園。札幌市中央区にある。 よい天気だが寒い日だった。 時刻は昼過ぎなのに、たぶん7度か、もしかすると5度くらいだったかもしれない。ジャケットの上にウルトラライトダウンのロングコートを着てブーツで武装していたが、手袋がないと無理なくらい寒かった。 この公園は街の中だが山の中腹みたいなところに位置していて、札幌市内を一望することが出来る。 バスを利用しても中心部から30分強で着いてしまう。ちょっと

Happy Halloween Day 31

Happy Halloween! って実際に英語圏で使われている挨拶なのかな? 英語圏で暮らしている皆さんにぜひうかがいたい(コメント欄で教えて下さい)。 わたしは半世紀以上前にアメリカに住んでいた。しかし Happy Halloween と言った記憶があまりない。幼かったせいで挨拶言葉を知らなかったのか、それとも当時はそういう挨拶の仕方をあまりしなかったのか。 経験した1960年代のアメリカ東海岸の住宅街のハロウィンは、それなりに賑やかだけど町内会のイベントみたいな素朴

カフェが好きだ! Day 30

「カフェでまったり」が大好きだ。 趣味に「カフェめぐり」と書くくらいには。 カフェにはだいたいひとりで入る。 ひとり行動が圧倒的に多い人生なので必然的にそうなっちゃうのだけれど、人と一緒が苦手なわけではない。 初めての場所だと連れがいた方が入りやすい。けれどそうすると珈琲や紅茶の合間におしゃべりもしなくてはならず(それはそれで楽しい)、 「ポッカリと開いたひとりの時間と空間」 ではなくなる。 ひとりカフェと、連れカフェでは目的が違うのだ。 いろんなカフェがある。 木のぬ

旅したり、根を張ったりしながら暮らすこと

 「旅をするように暮らす」、「暮らすように旅をする」。こういうフレーズに憧れ続けて、もうずいぶんになります。 自分に向いていないかもしれない、と、うすうすは気づきつつ。  だって、ドロシーの言うとおり、わたしにとっては「おうちがいちばん」なんですもの。  上記のフレーズを実践している友だちがいます。実際に旅をしていたり、旅をするなら、現地の暮らしをなぞるように滞在してみたり。魅力あふれる人たちで、わたしは、もしかしたら、旅に憧れるという蓑を被って、彼女たちに憧れているのかも

感情が乏しい悩み Day 3

この毎日更新チャレンジを始めたのはもっと文章が上手くなりたいという動機……なんだけれど、その根っこにあるのは自分の感情をもっと豊かにしたい、という思いだ。 とにかく書こう、と始めたものの、3日目にして (それ、どうやったら??) と行き詰まりを感じている。 わたしは喜怒哀楽の幅が狭い。別の言い方をすると、感情の解像度が低い。 (と自分で思う) もっと若い頃はこんなんじゃなかったと思うのだけれど、いつの頃からか「すごーく有頂天になって喜ぶ」も、「悲しくてさめざめと泣く」こ

【日記】のようなもの、ふたたび

毎月、遠距離介護に来ている。 介護と言っても身体的な介助は必要なく、ご飯を作ったり掃除洗濯をしたりといった家政婦さん的な役割なので気は楽だ。 認知症がないので話も通じるし。 親は四捨五入すると100歳である。なんと! こうやって文字にしてみるとその事実にあらためて驚く。 本人も「なんで生きてるんだろうなあ。友人縁者もみな死んでしまった」と言う。配偶者も逝き、兄弟姉妹誰も残っていない。同期どころか10年、20年も後輩の人々が世を去って会えなくなっている。 長生きはおめでたい

【日記】退職してそれから

3月末に30年以上働いた職場を定年退職した。 本来ならば3月31日で仕事終了だったのだが、3月後半はこの間書いた「またかよ入院日記」の顛末で明け暮れており、心静かに皆さんにご挨拶をしたり片付けものをしたり、という状況ではなかった。とりあえず場所を空け、私物を怒濤のように処分し、息せき切って走るように入院してその後しばらくは寝たきりだった。 4月になってからも、退院はしたものの開腹手術の影響は大きく、「普通の生活」と言いながら半分病人のような養生を続けた。やっと以前のように

春から初夏へ

5月から6月にかけては北海道の花が最もにぎやかな季節です。 4月になるまでの、雪の白とあとは灰色か黒という水墨画みたいな世界から一斉に小さな緑が芽吹き、その後を追ってカラフルな花が咲き乱れます。桜はその中のひとつでしかなく。 数日前に花を求めてお散歩してきたので画像を貼っていきましょう。 満開の藤棚の下に立つと、頭の上がどこもかしこも薄紫の花で埋め尽くされていて圧倒されます。「絢爛」という言葉が似合います。 北海道では東京でよく見かける紫色の大きなツツジはあまりありませ

ホームベーカリーがすごかった

毎週末、移動販売のパン屋さんから買い溜めしている朝食用のパンを、今週は息子にあげてしまったので、週の初め早々に買い置きのパンが切れてしまいました。 翌日は白米にもち麦を足して、もち麦ごはんと味噌汁で朝ごはんにしましたが、パンがあるときは「白いご飯が食べたいな」と思うくせに、いざパンがないとなると、無性にパンの朝ごはんが食べたくなる、あまのじゃく。 スーパーに行けば、安くておいしいパンが売られていますが、ここは一つ、自分で焼いてみるのはどうだろうと思い立ち、納戸にしまい込んで

夜の読書タイム、はじめました

最近、夕食を食べたら、さっさとお風呂に入って、寝室にこもるようになりました。理由の一つは、訳あって朝5時半に起きているからです。 冬の間は、編み物をしながら、動画配信サービスや録りためたテレビドラマを見て、夜更かしして、朝はギリギリまで寝るという生活でした。 それが、早起きをするようになったので、睡眠時間を確保するために夜更かしできなくなりました。冬から春へと、いつしか季節も変わって、もこもこの毛糸に触れるのはちょっと暑いと感じるようになり、編み物もお休み中。 そこで、

初夏は夕暮れ

仕事帰りの午後7時。 西の空はオレンジ色のグラデーションを描く。五月半ばのこの季節は、田植えの時期で、あぜ道で小さく区切られた水田に、小さな稲の苗が整然と植えられている。 まだ苗が小さいので、田んぼの水面は、まるで湖面のよう。 その水面に、夕焼けが映って美しい。 ありきたりだけど、千年昔から変わらない自然の美しさには、何も敵わない。

【日記】春です

「入院日記」連載中ですが、春を見つけたのでちょっと挿入させて下さい。 北海道にも、やっと本格的に春がやってきたようです。桜は中心部では終わり、今はチューリップの花盛り。 今日は春を探しに行きました。 行ったのは百合が原公園という、札幌市の北の方にある公園です。ここは花がたくさんあって見応えがあります。今はまだ春先なので少ないけれど。 歩いていたらマグノリアが。 マグノリアって「木蓮」の種類全般を指すみたいです。様々な色があります。 チューリップはこれから。 あ、大通公

延々と続く小さな絶望こそつらいのかもしれない

書類の整理をしていたら、ホチキスの針で指を刺してしまった。中指の腹の皮がめくれた。 血も出ないほどの小さな傷だけど、スマホを持ったり、キーボードを叩くたびに、チク、チクと痛みが走る。 めくれた皮膚が、触れたものに引っかかると痛みが増す。わずらしくなって、浮いた皮膚をぷちっとちぎると、傷口が赤い点になって現れた。失敗だった。 それから四六時中、チクチクするようになった。かゆみと区別がつかないくらいの痛さだけど、これが存外、ストレスになった。いたっと思うたびに集中力が途切れる。