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『学習する組織』をレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドの文脈で読む(20)第Ⅳ部 第14章「戦略」8つの戦略ケース p412~

 前回のNoteでは「学習する文化」を作るための枠組みについて紹介した。

 この後に、本章の「戦略」では8つの戦略のケースが紹介されている。それぞれケースのタイトルには、学習する文化を育んでいくための取り組みポイントが反映されている。8つは、各組織の事情により、どこからも取り組むこともできるが、文章全体では1のほうから、徐々に積み上げて文化を育てる話としても読めるようになっている。

8つの戦略のケース

1.学習と仕事を一体化させる
 AAR(アフター・アクション・レビュー)という実践の後にすぐに振り返るような仕組みをいれる。過去の実例を共有し、振り返りを促す訓練を受けたファシリテーターを配置するとなおよい。

2.そこにいる人たちとともに、自分のいる場所から始める
 経営陣の働きかけや後押しを待ったり期待せずに、自分のいる場所から始めてしまう。社員の一人一人に才能と志があり、それを引き出すことが可能だという信念を揺るがずに持つことが重要である。

3.二つの文化を併せもつ
 上記の「2」での成功が逆に変わった人々だと周りから思われ、指示が広がらない結果になることがある。組織管理の伝統的な考え方と「学習する組織」の考え方の両方を行き来するような進め方が重要である。その一つとして、伝統的な考え方の管理者に向けて「目標を設定しそれを達成する」ことは約束しつつ、その目標レベルは控えめにして「学習する文化」を育んで結果として大きな成果を出すというパターンがある。

4.練習の場をつくる
 いきなり成果が求められるような形で「学習する文化」を作ろうとするのではなく、「感覚をつかむまで失敗できる場」を設ける。階層性組織を引きながらも、「キャンプ」のような場を設け、そこではフラットにいろいろ試したり、時には遊ぶ場を設けるのである。また、通常の事業とは切り離して新規事業を育てていく仕組みなども同じ発想に立つ。

5.ビジネスの中核とつなげる
 自分たちのアイデンティティを問い、自分たちが何者であるか、どのようなビジネスをすべきかを見直す。その意識を軸に「イノベーションをしていかねばならない」という気持ちを引き立て、学習を広げていく。

6.学習コミュニティを構築する
 自分たちの深いところにある問いや志が明確になり、その組織の本質とつながっていくと「コミュニティ」が生まれてくる。「コミュニティ」は共通の目標や意味の共有にもとづく。そこではフラットな関係での対話が重要であり、管理をしようとしてはならない。

7.「他者」と協働する
 必ずしも自分たちと同じではないと思える人たちと共に取り組む何かをすることで新しい視点や変化が取り込まれる。それは自分たちを偏見や視野の狭さから解放する。

8.学習インフラを構築する
 正規教育、練習、結果の調査研究、基本方針の整備などをしっかりと仕組化していく。

レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドは戦略のどこに貢献できるか

 8つの戦略ケースの観点から考えると、以下の点において「学習する文化」への戦略行動をレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドで支援できそうである。

・「1.学習と仕事を一体化させる」において、AARの言葉にしにくい部分を、言葉にするためのセッションを実施する。

・「4.練習の場をつくる」において、「キャンプ」のような場での対話を促す方法の一つとして取り入れる。

・「5.ビジネスの中核とつなげる」ことにおいて、一人一人が感じる自分と組織のアイデンティティを考え、表現することの支援としてワークショップを実施する。

・「7.「他者」と協働する」ことにおいて、「他者」と短い時間で強いつながりをつくるための支援としてワークショップを実施する。

・「8.学習インフラを構築する」の学習インフラの一つとしてレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを使ったワークショップの定期実施を組み込む。

レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドは、文化の相互理解や関係の質の向上に全般的に寄与することができるので、他の項目においても、さまざまな導入の機会を考えることができそうだ。

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