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 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを活用した「未来を旅するワークショップ」について(2)

 2022年の1年間をかけて開発してきたレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを活用した「未来を旅するワークショップ」について、前回の記事では、このプログラムを開発しようと考えた動機について書きました。

 今回は「未来を旅する」ということはどういうことか?についてです。

未来は予測できない

 最初は「未来を予測する」ということで、開発メンバーを募り、意気揚々とプログラムを考え始めました。

 それを考える際に、未来予測のための基本的な考え方や方法の書かれている本や、未来予測の本を集めて読書会を何度かしました。

 その中で分かってきたのは「未来は予測できない」ということです。身も蓋もないですね。

 もう少し正確にいうと、人口や一部の技術進化などかなり正確に予測ができる数字は存在します。ただ、その予測できる部分のほかに、小さく予測できない部分が入り混じって未来の社会事象は形成されていくわけです。

 でも同時に「未来が予測できないなら、なぜ私たちは未来を描こうとするの?」という問いも生まれてきました。私たちは、未来に惹きつけられますし、未来社会を題材とした物語が大好きです。

 未来は予測できないのですが、未来のことを考える物語は好きな人が多い。
 そのことに逆に惹きつけられました。

人間の変わらない部分を知る

 未来が予測できないなら、過去を描くプログラムにしてみようかと考えたこともありました。その時も似たような問いが出ました。「なぜ私たちは過去を知ろうとするのか?あれから時代は変わっているのに」。

 歴史を知る意義はいろいろな方が説明をしていますが、私が一番そうだなと感じるのは「昔も今も変わらない部分が人間にはある。それを歴史の中で見抜ければ、今からのことを考えたり判断する参考になる」というものです。
 歴史小説も、単なる昔の話ではなく今の自分に重ねて読む人は多いのではないでしょうか。

 この「変わらない部分を知る」ということに行き着いたとき、「未来予測ワークショップ」のコンセプトを掴んだ感覚になりました。

 未来でも変わらない人間の部分を知るために未来を想像してみる、ということですね。
 そして人間の変わらない部分を知ることができれば、人間の変わりやすい部分も知ることもできることになります。

未来を考える中で、自身を知る

 個人に当てはめれば、いろいろな状況の中でも変わらない自分自身の軸を知ることにもつながります。それが自分の「コア・アイデンティティ」に触れることでもあるわけですね。同時に大切だと思っていたことが意外と大したことがない(未来にとっても自分にとっても価値がない)ことを知ることもあるのではないでしょうか。

 これをビジネスに当てはめれば、変わらない部分は磨き続け(掘り下げる価値がある)、変わりやすい部分は変化に備える(探索範囲を広げて代替物を探す)ことにつながります。
 これは、今、注目されている「両利きの経営」を実現するためのヒントも得られるかも知れません。

 このようなことを考えると、ますますこのプログラム開発への気持ちが高まっていきました。

 ワークショップの試行をしてその考えをますます強めた私は、「未来予測」という言葉から、「未来を旅する」という言葉に変えることにしました。
 (つづく)

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