見出し画像

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを活用した「未来を旅するワークショップ」について(1)

 2022年1月からほぼ1年かけて「未来を旅するワークショップ」を、同じレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドのトレーニングを受けたファシリテーター仲間と開発してきました。

 これからも内容は改良しつづけていくつもりですが、開発も一区切りついたので、この開発過程で考えたことや学んだことを少しずつ書いていきたいと思います。

メソッドの可能性を知りたかった

 まずはどうしてこのようなプログラム開発をしようと考えたかについてです。

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを活用したワークショップは、基本的にクライアントの抱えた問題に寄り添ってプログラムをオーダーメイドに近い形で作っていくことがほとんどです。

 ですから、具体的な開催対象なしに、このようなテーマのコンテンツを開発すること自体は珍しい部類になると思います。開発しても実施対象が明確でないのに開発する意味があるのかということです。

 それでも、私がこのプログラム開発に取り組んだのは、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドそのものに惹かれ、その応用可能性を理解したいと感じ、そのメソッドを研究対象にしているということが、まず根底にありました。

 そして、その応用可能性について理解を深めていくには、3つのアプローチがあると考えています。

可能性を知るためにメソッドの原理を理解する

 ひとつ目は、メソッドの原理を理解するというアプローチです。どうしてレゴ®︎ブロックを使ってモデルを作ると、そうでない時に比べて、いろいろと気づきが生まれたり、普段考えないようなことまでスムーズに考えることができるのか。その理由を神経科学や認知心理学、教育学、経営学などの著書を頼りに紐解いていくことで、応用の可能性を予測するということです。

 実際、メソッド開発者のロバート・ラスムセン氏はそれらの学問分野の考えを取り入れてメソッドを開発してきたと述べています。まず、彼がそのために使った理論や研究を知り、さらにメソッドの価値を知るために、それらの学問分野の後続・関連研究を知ることも良いと考えています。

 開発時に使った研究だけでなく、その後続・関連研究からメソッドの価値を評価しなおすというアプローチは、開発者であるラスムセン氏も彼のメールマガジン「The GAZETTE」の中で採用しており(毎号ではありませんが)、今でも様々な分野の関連研究を見つけてメソッドの価値を確認されています。

 このメールマガジンの日本語訳と注釈をつけたNoteを書いていますので、関心のある方はぜひお読みください。

可能性を知るために他の実践事例を知る

 ふたつめは、実際に他のトレーニングを受けたファシリテーターがどのようなことに対してどう使っているかの事例を収集することです。

 ファシリテーター限定の交流ページでは「こんな使い方をしました」という事例報告が頻繁に投稿されますし、Zoomなどオンラインで定期的に事例報告会が行われます。ときには実施現場を見学させてもらったり、可能なときは参加者として場に加わって体験することもします。

 また、年に1回ペースでデンマークで開催されるグローバル・ミーティングや、複数国からなる領域単位のローカル・ミーティング(日本はアジアの一国なのでアジアン・ミーティングの一角となります)では、選りすぐりの事例が発表されますので、開催地に出向いてのそれらのチェックも欠かせません(円安つらい…)。

 最近では、有志のファシリテーター達によってThe LSP Magazine という雑誌も発行されるようになっています。

https://lspmagazine.com

https://lspmagazine.comのサイトより

 これらの事例をデータベースにしていくことで、(公開されていない実践もたくさんあるので完全ではありませんが)ある程度、応用の範囲を見てとることができるはずです。データベースの作成はまだ手をつけていませんが、これから着手していかねばならないことであると認識しています。

可能性を知るために「雛型プログラム」を開発する

 みっつ目がメソッドの可能性を確かめるための「雛型プログラム」を作るということです。今回の「未来を旅するワークショップ」のプログラム開発はこのみっつ目のアプローチに当たります。

 私は日々、このNoteサービスを使っていろいろ書いていますが、その中で次のような記事を書いたことで「雛型プログラム」を作ってみたいと感じました。

 ここですでにワークの構想など語られていますが、実際にこの後、プログラム開発をする中で、この構想から、かなりの見直しをすることになっていきました。その中でレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドとその可能性について、一段と理解が深まってもいきました。

 そのような意味でも、実際にプログラム開発するというアプローチを今回とったことは間違いなかったと感じます。(つづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?