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「共有モデル」のワークについて考える

 参加者がそれぞれ作ったモデルから「ゆずれないこと」を表している部分だけを抜き取る。そして、その抜き取ったパーツを材料として持ち寄り、一つのモデルへとまとめるという「共有モデル」作りの技法がレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドのなかにある。

 この技法の中には、全員の意思を等しく反映させるという思想がある。

 ここで注意しなければならないのは、実際に「共有モデル」には、全員の意思は「ゆずれないもの」だけでなく、それらの関係性を説明するストーリーも含まれるということだ。

 そしてこの「共有モデル」のストーリー作りのときには、参加者全員でどのような配置にするかを話すことになる。

 その話し合いの中で、一人もしくは少数の人だけがストーリーに大きな影響を与えることのないようにしないと「全員の意思を等しく反映させる」ことから離れてしまう。

 一応、ストーリーが少数の人だけのものにならないように、ファシリテーターが他の人にストーリーへの納得度を尋ねることをするが、気の弱い人は遠慮がちに「それでいいです」と答えてしまうかもしれない。

 ファシリテーターはできるだけそのような事態は避けたいので、それぞれの参加者の表情や態度の細かいところまでよく観察しておき、気の弱い人も、全員が等しくストーリー作りに関われるように立ち回る。

 作られたモデルもしっかりと見ないといけないが、一人一人の人間も同時に見ていく必要があるということである。

 ここで一つ、考えておかねばならないことがある。

 その一方で、ワークショップの参加者が所属する組織のカルチャーが、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドの思想や世界観から、大きくかけ離れている場合には「共有モデル」とストーリーが結果として反故にされてしまうかもしれないとの危惧がある。
 例えば、組織に絶対的なパワーをもつ人がいて(経営者や部署のリーダー)、その人が一人で組織の最終的決定をすることが慣例である場合には、他のメンバーと「共に等しい立場で作った」ストーリーは、その人の手で改変されたり、日々の業務では無かったかのようにされてしまうかもしれないということである。

 それを避けるには、ワークの最後に時間をとって、この「共有モデル」の体験を振り返ってもらう(日頃の組織内の意思決定と比較する)ことが必要だろう。
 そして今回のワークの成果である「共有モデル」を良い意味で、どのように実際の組織の日常に持ち込めるか、しっかりと検討してもらわねばならない。

 この時間をとるべきかどうかは、組織のカルチャー次第であるので、事前の打ち合わせで、組織のカルチャーについて探りを入れておく必要がある。

 ワークショップの時間だけでなく、それ以前の段階がワークショップの効果に影響を与えるということを忘れてはならない。

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