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レゴ®︎シリアスプレイ®︎のモデルから、意味が浮かび上がる現象について

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎で頻繁に聞かれる感想がある。
 そのうちのひとつが「適当に作ったモデル」が意図せず意味あるものになっていることについて驚かされたというものである。

 この現象については、科学的な検証はしていないが、仮説はある。

 といっても大したものではなく、人間は抽象化されたイメージ(ここでは「ひな形」と呼んでおく)でかなりの量の記憶を保持していると思われ、モデルの特徴と脳内に記憶されたイメージとを重ね合わせているのだろうと思われる。

 この抽象化されたイメージの記憶と、目の前の視覚情報との重なりがもっとも強く現れるもののひとつに人の顔の認識がある。詳細なメカニズムは完全に明らかになってはいないようだが、基本的には顔についてのイメージの記憶を「ひな形」として持っているから起こると考えられている。

 レゴのモデルでも(おそらくそれに関わらずデフォルメされたマンガのイラストでも)、同じように何かと重なってみえるのは、まずわれわれの脳内に何らかのイメージの「ひな形」があることが影響しているのは間違いない。

 さらに、その「ひな形」にはさまざまな関連情報が付随しているときがある。例えば「サル」という「ひな形」については、手足を器用に動かし、木に登るのが得意で、キーキーと鳴き、集団を作って社会的な生活をする,,,などの情報である。 

 脳内では「ひな形」が高速に検索され、目の前のモデルと何らか重なったとき、そのモデルを(「ひな形」の)メタファーとして見ることができるようになったといえる。

 もちろん実際には、脳内に形成されたイメージである「ひな形」と目の前のモデルが「完全に」重なることはほとんどない。そこで、レゴ®︎シリアスプレイ®︎では、「ひな形」に重ならない部分については、ブロックの色や形を手がかりに意味をつける。この部分に対しても、本人には無意識に近いレベルで、個々のブロックの色や形から何らかの別の「ひな形」が脳内で想起されていると考えられる。

 このような仕組みによって、適当に作ったものでも、その作品の製作者は瞬時に脳内の一致度が高い「ひな形」を無意識のうちに検索し、重ねる。結果、その意味を知っていたかのように意味付けできることに驚くのである。

はち

何に見えるだろうか?それはあなた自身次第である。

 なお、イメージ記憶の想起については、直前に注意がどのようなことに向けられているかが大きな影響を与えるという。ワークショップでは全体に向けて投げかけられた「問い」が一番強く影響を与える(問いの答えという文脈で「ひな形」が検索される)だろうが、それに負けず劣らず、公私の生活においての心配事や注意の向けている先が「ひな形」の想起に影響を与えるだろうと予測される。簡単に言えば、ワークの直近の関心や心配事、悩み事がモデルに現れ、結果として驚く人がでるということである。

 まさにレゴ®︎シリアスプレイ®︎で作られるモデルは、自分自身の心を映し出す鏡となりえるのである。

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