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新入社員OJTとレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドとの接点

 博報堂大学がまとめた『「自分ごと」だと人は育つ』という書籍を読んでいる。

 新入社員を仕事の中でどう育てるかを論じた本である。
 博報堂らしく、新人を育てることに関するコンセプトがわかりやすく簡潔に整理されている。

 非常に様々な学びが詰まった本であるが、本記事では、私が非常に大事だと感じたポイントを2つほど紹介したい。

サーチライト型の成長モデル

 まず、近年の社会人にとっての成長モデルは様々な人々の話を聞いて方向性を見出す「サーチライト型」であるということだ。
 ちなみに、対比される旧来の成長モデルはサークル(同心円)型で、いわゆる「これができて一人前」のイメージがあってそこに近づいていく感じである。

 サーチライト型の世界では、様々な人たちの学びを吸収し「自分らしい成長」をしていく。他の人の話を聞き、自分自身との組み合わせを考える、これはレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使ったワークとの親和性が非常に高い。

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドでは皆がそれぞれに共通の問いに対して自分の考えや思いを反映した作品をつくる。参加者はそれぞれの作品を見ながら、その説明を聞く。
 そのワークの中で進んでいるのは、まさに自分と他者との作品のつながりの探索である。ワークショップの結果として、参加者はそれぞれ他の人の意見を吸収していった先で、自分の考えの成長(アップグレード)を果たすことになる(ワークの中でそのことはあまり強調されることはないけれども)。

 要するに、サーチライト型の成長とは、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを活用したワークショップで起こっていることでもあるのだ。

新人の心を見る・トレーナーの心を見せる

 本書で私の目がとまったもう一つは「任せて・見る」というキーワードである。本書では、新人教育はいくつかの段階を経て進むと考えている。大きく前半は「任せて・見る」で、後半は「任せ・きる」とされる(本書ではさらにそれらを細部まで論じている)。

 このうち前半の「任せて・見る」では指導する側が少しやってみせ、新人にさせてみてそれを「見る」ということである。単純な作業なら、新人の動きを「見る」ことはそれほど難しくないだろう。しかし、より多くの情報を扱う複雑な仕事になると新人の動きを「見る」ことが難しくなる。
 ゴールイメージや仕事の前提や注意の向け方など、何がどこまでわかっているのか、ストレスや感情面なども含めて把握することはそう簡単ではない。
 そのため、トレーナー側は新人に寄り添う、すなわち「伴走していく」ことが求められる。

 日々の仕事で伴走していくことは、トレーナーと新人社員との関係性維持のためにも重要である。
 さらに追加の機会として、お互いに考えていること・感じていることを、心理的な安全性を確保した上で見せ合うために、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドによるワークショップは効果を発揮する。

 トレーナーは新人社員の考えや気持ちを、逆に新人社員もトレーナーの考えや気持ちを理解する機会を得ることで、OJTはぐっと進めやすく、結果として成長もより促されることになると考えられる。


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