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恋愛とお金とパートナーシップ

先日アップしたカフェの一コマから連想する『世界』を書きながら、ふと思い出したことがあった。そのエピソードも入れたら、長すぎる上に横道に入りこんでしまいそうだったから、別の投稿用に下書きを保存しておいた。

読み返してみると、若気の至りというか、勘違いヤローというか、脳内お花畑極まりない。恥ずかしいから、そっと消してしまおうかとも思ったが、この時があるから今がある。せっかくだから自戒を込めて、ここに晒してみよう。

若き日の苦い思い出だけど、パートナーシップについて最近読んだ本から学んだことも交えて、お金と恋愛にまつわる悲喜こもごもを綴ることにした。

妄想と現実のはざま

その思い出は大学3年の時のこと。一つ下の男の子と遊びにいくことになった。カラオケの後に、ファミレスで夕食という流れ。

実は、男の人と二人だけでどこかに行くっていうのは、人生初だった。

大学に入学するまでは、片思いの相手を遠くから眺めるだけでときめく少女漫画の一話目あたりがせいぜい。自転車を押しながら一緒に帰りたいなとか、放課後に○○屋のかき氷デートしたいなとか、妄想だけが育っていた。

時代がばれるが、当時はやっていたミニスカ・ルーズソックスとは、ほとんど縁のない地味JK。ちなみに、バス通学。

そんな高校時代を過ごしたからか、異性と二人きりというだけで、手に汗がじわり。緊張でちょっと挙動不審。歌える曲も知ってる曲も少ないのに、カラオケなんか来ちゃってアウェイ感、満載。

しかも、彼にほのかな恋心を抱いていたから、たちが悪い。「二人だけで遊ぶってことは・・・」と、初心な20歳そこそこの女は、おもいっきり期待していた。

カラオケも無事に乗り切り、レストランでの会話もまあまあ弾んだ。なんかいい感じかもと思いながら帰ろうとしたその時、コトは起きた。

恋愛は頭の中で起こっているんじゃない。レジ前で起こっているんだ!

あれ、伝票がない!!

さあ会計しようとレジまで来たところで、顔を見合わせる二人の男女。お互い、伝票は相手が持っているとばかり。

焦って探すと、テーブルに置いたままだった。さっきまでのにこやかな空気が、一瞬でぎこちないものに変わる。『そっちが払うと思ってた。。。』と、無言の圧力を感じた。覚えていないが、カラオケ代は彼持ちだったかもしれない。

男の人と二人っきリのシチュエーションで、お財布クエストなんて経験値ゼロ。レベル上げの方法は、それこそ愛読していた少女漫画や恋愛ドラマで脳内シュミレーション。

奢りでも割り勘でも、レジの支払いは男性のしごと。彼が払った後で「ありがとう。半分出すね」と言うものだと、勝手に勘違いしてしまっていた。

でも、彼は恋人同士という訳でもないし、年下だし、自分がすべてやるとは思っていなかったのだろう。お互い学生。「男だから女だから」は関係なかった。イヤ、単にわたしに気がなかっただけか。。。

しまった、ここは自分が払うのか!!

そう思った時には遅かった。その後、二人がどうなったかは推して知るべし。。。

本当にほしいもの

それから何度か恋愛をして、『お金を出してもらう=求めている愛情ではない』と知った。贈り物をもらっても、特別に嬉しいと思えないことに気がついた。

「誕生日プレゼントをあげるよ。何がいい?」と聞かれても、これ!って言うものがなかった。

アクセサリーをもらったこともあるけど、どことなく違和感があった。恋人同士だからという理由でリクエストしたようなもの。実は実用的なものが欲しかった。そう正直に言えなかったのは、彼に恋していたというより、恋愛をしているって実感したかったから。あの時の彼には申し訳ないことをしたな。

思えば、恋愛において心が躍ったことは贈り物じゃない。一緒に旅行に行ったり、家で料理を作ったり、友達も交えておしゃべりしたり。そんな日常のひとときを過ごすことの方が楽しかったし、嬉しかった。

サプライズや誕生日でもらった物は時が経つと色を失っていく。でも、二人で過ごした日々の想い出は色あせずに記憶に残っている。

片想いしていた先輩と行ったラーメン屋。前彼と訪れた京都。夫とつきあっていた頃に見た夜空。

今でも、目を閉じるとかなり鮮やかに蘇る。

胸の高鳴りと頬の熱を感じながら、平常を装いつつ食べたラーメンの味。

駆け足で観光した修学旅行の時から変わらず佇むお寺や神社を、古都の空気感を堪能しながら、ゆったりと巡った穏やかな一日。

遠距離恋愛中、空港に迎えに来た彼の車が鳥の糞だらけだった上に、見上げた満天の星空は、その糞が空いっぱい撒き散らされたかのようだったこと。久しぶりに会えたのに、ロマンチックの欠片もなかった大晦日の夜。

過去の彼たちには未練は全くないし、「糞だらけの夜空」は笑い話になってるし、どんな『時』も大切な想い出。今でもそっと心の宝石箱に入っている。時々、ちょっと出して眺めると、温かい気持ちで胸がジンと鳴る。

あなたのLove Languageはどれ?

最近、The 5 Love Languagesという本を知った(ちなみに、日本語版「愛を伝える5つの方法」はKindle Unlimitedで読み放題)。

この本によれば、人にはそれぞれ愛情を受け取るタンク(ラブタンク)があって、その人のLove Languageで愛情を示すと、そのタンクに愛が貯まる。つまり満たされる。

「あの人はなんでこうなの!!」「どうして〇〇してくれないんだ!!」「私は/僕はこんなにも▲▲してるのに!!」という不満は、お互いのLove Languageが異なっているということを分かっていないから。相手のLove Languageを理解することで、パートナーシップを前向きに繋いでいくことができる。

著者は、Love Language(愛を伝える方法)を下の5つに分けている。そして、それぞれの「言葉」がどんなもので、具体的に何をしたらいいのか、一つずつ示してくれている。(原書、翻訳本を参照)

【The 5 Love Languages】
① Words of Affirmation ---「肯定的な言葉」
② Quality Time ---「クオリティ・タイム」
③ Receiving Gifts ---「贈り物」
④ Acts of Service ---「サービス行為」
⑤ Physical Touch ---「身体的なタッチ」

①〜⑤の中で、自分にとって何が一番大切なのか、なくても困らないものは何か、考えてみるとおもしろい。パートナーのいる人は、相手を観察してLove Languageを推測してみたり、何が大事って聞いてみると、お互いのことをもっとよく理解できるはず。

わたしは一緒に何かを楽しむという時間や経験が好き。だから、一番大事なLove Languageはクォリティ・タイム。

ただ近所を散歩したり、知らない場所を旅行したり、ソファーに座って外を眺めながら語り合うのが好き。

著者によると、

「クオリティ・タイム」という愛の言語の本質は、配偶者に心から注意力を注ぐこと

しかも、それぞれのLove Languageには方言があるということで、わたしの場合は中でも「有意義なアクティビティ」の方言があると分かった。

有意義なアクティビティには、「いつまでも残る思い出」という副産物があります。

という一文は、まさに前述した過去のエピソードの通り。想い出を心の宝石箱に大切に取っておいていることに他ならない。

でも、夫の愛情タンクは違う。ほとんどスキンシップ。

小さい頃から、ハグや頬のキスが当たり前の環境で育っているから、親密な人との心の距離が近いのだろう。わたしは握手すら日常になく、手をつなぐのでさえひと目を気にしていたぐらい、身体的タッチは求めていなかった。

特に、ホルモンの関係でハグさえ嫌がった産後数年は、夫にとって苦行だったようだ。スキンシップが足りないんだって分かっていても、どうしても無理だった。産後クライシスが起こるのも頷ける。

今ではそんな時期も過ぎて、わたしは夫の「言葉」を、夫は私の「言葉」を意識して使うようになった。お互いに相手にしてほしいことを確認し合っっている。それでもまだ、すれ違ったり不満を抱えたりする時もある。だけど、それでラブタンクが減っても、タンクを満たす方法を知っているというのは心強い。

まだ挽回がきく間に、相手のタンクを満たす選択をしていきたい。

ちなみに、第3の言語「贈り物」に値段の高い低いは関係ないと、著者は言う。プレゼントという目に見える形で、愛情を表現してもらいたいというのが、この言語を持つ人の特徴なんだそうだ。贈り物の価値の有無や値段の数字で愛情の深さを感じるのではない。

しかも、性格が消費型と貯蓄型に分かれているから、

貯蓄型の人は、愛の表現にお金を使うという考えに対して抵抗を感じる

ようだ。

わたしはダンゼン貯蓄型。だからプレゼントされても、そんなに嬉しいと思わなかったし、貰ったものに愛情も残らなかったのだろう。

外側の知識じゃなくて、相手の中の「言葉」を読み取る

恋人同士は○○するものだ。男の人は女の人に奢るのがかっこいい。贈り物は高価なほど愛情が深い。

そんなステレオタイプな幻想に惑わされていると、見当違いなことをしてしまう。それよりも、相手の内側にあるLove Languageを読み取ることがパートナーシップを続けていく秘訣。二人の仲がもっと強く結びつく。

愛情を相手が分かる「言語」で示すこと。
・相手の愛情表現を察知すること。
・自分のLove Lanugageを理解すること。
・それを相手に伝えておくこと。

心と心が深く繋がるために、親密な関係のパイプをもっともっと強く結びつけるために、愛の伝え方を知ることが大切。

それは、お金かもしれないし、時間かもしれない。行為かもしれないし、言葉かもしれないし、触れ合いかもしれない。

お互いのソレを探し当てるのも面白い。

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