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短編小説 Life with cat 1

「日中は気温も上がり、暖かく春らしい日々が続いておりますが、皆さんはどうお過ごしでしょうが、私事ですが・・・」

朝ご飯を終え、歯磨きしながらテレビを眺めている。
ニュースでは気温も上がってきていると言っていることからタオルを鞄に入れないといけないと思い、タンスを開ける。

社会人2年目となる4月、仕事での責任感や人間関係で精神をすり減らす日々。最近ではバイトやゲームばかりしていた大学生活の自堕落な日々が楽しかったと感じてしまう。

「俺ってなんで働いてるのかな、」

つい言葉に出してしまった。
憂鬱な気持ちを抑え、スーツを羽織りクロスバイクに足をかける。

それぞれ悩みを抱えているのだろうかすれ違う人の表情は暗い。
片道10分程度の通勤路もイヤホンから聴こえてくる洋楽が心を満たしてくれる。

会社の駐輪場のクロスバイクを停めタイムカードを鞄から取り出していると、明るく野太い声が聞こえて来る。

「おはよう、一平。どうした少し疲れているのかい?疲労回復には豚肉がいいぞ・・・」

面倒見の良い上司の武智さんだ。新人教育の担当で今でも何かと声をかけてくれる。良い先輩であり憧れを持っているがこの人は苦手でもある、、

「まだまだ武智さんのように要領良く仕事が出来なくて、迷惑かけてないか考えたりして少し、」

「そんなこと気にする必要ないと思うぞ。真面目な一平のことだ、何のために仕事してるからとか考えたりしたんじゃないか。」

これだ。今朝呟いた言葉を聞かれていたのかと思うくらい勘が鋭いところ。
見透かされてるようで苦手に感じてしまう。

「まあとりあえずいつでも相談に乗るぞ。今日も頑張って行こうな!」

そういうと足早に会社内に消えていく。
タイムカードを押し、自分のデスクに座り朝礼を待つ。
そしてまた今日が始まる。

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